WI 「ファッション・美容」にかけられていたお金はどこに行ったのでしょうか?
佐藤 今はライフスタイルまわりにお金や時間をかける人が増えています。たとえば食や食器、友達とバーベキューに行くことやおうちでごはん会をすること……そういうものに対する比率が上がっている、と思います。
WI そのように消費の傾向が変わっていった理由はなんですか?
佐藤 やはり、ここ数年の不況ではないでしょうか。「安定した家の生活っていいよね」という意識がどんどん高まっている気がしますね。結婚して子どもがいることを含めてお仕事にしている「ママタレント」ブームもそうですが、「現役で独身でバリバリとモテている」よりも「ある程度のところできちんとした家庭を築く」ということが価値が上がっているので、そこにアプローチする企画を増やしていきたいです。料理やインテリア、友達と楽しむ何か……。もちろんファッションも提案していきますが、それだけではなく、厚みのあるライフスタイル全体を提案していきたいと考えています。
WI このインターネット全盛期に、雑誌はどうあったらよい、と考えていらっしゃいますか?
佐藤 ……雑誌って、ある程度「マニアでいい」と思っているんですよね。
WI マニア!
佐藤 はい。たとえばインターネットには100万の情報がタダであふれています。でも、その中で欲しい情報って「自分に合っている、たった100の情報」。でも、その100を探すことはなかなか難しい。気になる情報を検索したところで、本当に欲しい情報と、ウソやコピペや薄い内容のものも、同じように並べられて、山のように出てきます。その区別がなかなかつかないから、確かに「100万の情報もある」けど「0の情報しかない」とも言えます。それに対して「確実にあなたが好きな情報だけを集めておきましたよ」という「100の情報」を提供するのが雑誌です。
WI 確かに……改めて雑誌を読むと、全ページものすごく作りこまれているな、と驚きます。
佐藤 もちろんネットのほうが情報が早いことも多いですし、自分に合った情報をその中から集められる時間とスキルがあればいいですが、なかなか難しいですからね……。そういうときに、雑誌を読んでくれたらいいな、と思います。
WI さて、少々お話は変わりますが「雑誌の編集長」とはものすごく多忙なお仕事だと思います。疲れたときどうやってリフレッシュしていますか?
佐藤 私はスポーツ観戦ですね。ラグビーでもサッカーでもゴルフでも、スポーツ観戦が大好きなので、春の号からスポーツにまつわる連載を『AneCan』でも始めます!
WI お! ちなみにスポーツの魅力ってなんでしょう?
佐藤 スポーツの見方を知っていると、人生の楽しみがひとつ増えるんですよ。テレビでワールドカップやオリンピックを観るにしても、実際観戦に行くとしても、まったくルールを知らないと楽しめないけれど、ちょっとそのスポーツについて知っていると面白いじゃないですか。男の子と共通の話題もできるし、人生で楽しめることを増やそうよ、という一環ですね。みんなで楽しめて、すごくお金がかかるわけではなくて、旬な感じを味わえる。そんな「スポーツ」の魅力はもっと伝えていきたいですね。
WI ありがとうございます。最後に、編集者として心掛けていることや、どんな『AneCan』を作っていきたいか教えてください。
佐藤 私の編集者としての目標は「読んでくれた人に響く記事をつくること」です。私たちはアーティストではないので「作りたいものを作る」のではなく、「それを読んでくれた人に役に立つものを作りたい」と思っています。そして、読むだけではなく「読んでくれた人のたちの行動を変えられるような雑誌」が作れたらいいな……と。雑誌に載っている服を実際買ってみよう、と思うこともそうですし、レシピの料理を作ってみよう、メイクを真似してみよう、でもいい。何かしら読んだ人に残って、行動が変わるような……そんな雑誌が作れたらいいな、と思います。
自分のことで恐縮ですが、実際『AneCan』を読んで同じ服を買うことがよくある「平成のアラサー」なので、まさに『AneCan』ドンピシャ世代。毎月毎月、かわいい写真で役に立つ内容の響く特集が組まれているので、本当にもっと読まれていってほしい雑誌です。
2015年はモデルの結婚・出産が相次ぎ、新しいモデルもふたり増え、絶好調の『AneCan』。2016年、さらにどのように進化していくのか楽しみですね!(後藤香織)
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