「押印」と「捺印」の違いをわかりやすく解説!
契約書などを交わすときには、「ここに押印をお願いします」などと言われることがありますよね。ですが印鑑を押すときには「捺印」という言葉も使われます。今回は、この「押印」と「捺印」について、何が違うのかを解説します。
「押印」と「捺印」の違いってなに?
まずは「押印」と「捺印」の意味を知るために辞書で調べてみました。
「捺印」の意味
なつ‐いん【捺印】
印判をおすこと。また、おした印影。押印。
捺印とは印をおすことや、押した印の影のことを言うよう。意味の中に「押印」とも書かれているため、あまり違いはないのかもしれません。
「押印」の意味
おう‐いん【押印】
印を押すこと。捺印 (なついん) 。「署名して—する」
[補説]当用漢字の制定などにより、捺印に代わって用いられるようになった語。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
押印の意味も印を押すこととあります。補足説明にもある通り、最近は捺印よりも押印を使うことが多くなったようです。
「押印」と「捺印」の違い
結局、押印と捺印の違いは何なのかというと……。
押印は「記名押印」の略語で、印鑑など自著以外の方法で氏名を記載することを言います。一方の捺印は「署名捺印」の略語で、自分で自分の名前を書き、そこにハンコを押すことを言います。
この自分で名前を書くかどうかが大きな違いなんです。
「押印」と「捺印」は法的な効力が違う?
押印と捺印って、同じように契約書にサインする際などに使われますが、法的な効力は同じなのでしょうか。
結論から言ってしまうと、押印も捺印も法的な効力は認められます。
ただし、民事訴訟法第二百二十九条には、
文書の成立の真否は、筆跡又は印影の対照によっても、証明することができる
とあるため、自分で自著をする署名捺印の方が証拠能力が高くなります。
参考:e-Gov法令検索「民事訴訟法」
「押印」とも「捺印」とも違う?「調印」とは?
押印と捺印の違いがわかったところで、同じように印鑑を押すときに使われる「調印」の意味も調べてみましょう。
調印の意味
ちょう‐いん【調印】
条約・協定などの内容が確定したとき、それに関係する当事国の代表者がその公文書に署名すること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
調印は国家間の条約締結などの際に使われる言葉だったのですね。調印を経験する人は、総理大臣など限られた人のみ。意味は知っていて損はありませんが、自分で使うことはなさそう……。
【まとめ】
押印と捺印、調印の意味や違いについて解説しました。不動産の賃貸契約や自動車の売買など、個人でも契約書に押印・捺印を求められることはあります。意味を正しく知っておくと間違えずにすみますよ!