今度こそ「2度目まして」に強くなる!
最近、読者世代から聞こえてくる…実は「初対面」よりも「2度目」のほうが苦手!という声。 そこで、『2度目の会話が続きません』の著者でありコミュニケーションの達人、野口 敏さんにコミュニケーションのアイディアを聞いてみました。
教えてくれる先生は…
(株)グッドコミュニケーション代表取締役。著書は累計25冊以上、120万部超えのベストセラーを持つ。話し方教室TALK&トークを主催。
『2度目の会話が続きません』/サンクチュアリ出版/¥1,540
そもそも…初対面よりも2度目に会ったときのほうがしんどい理由って?
相手と関係を築けていないことが2回目に緊張する理由!
なぜ初対面よりも2回目に会ったときのほうが緊張するのかというと、相手と関係性を築けていないからです。だから2回目でも初対面みたいな感覚になる。しかも事前に用意していた初対面用のテーマはもう使い切っているので、しゃべる言葉がない苦しい状態になっています。
そもそも多くの人は、コミュニケーションは「言葉」だと思っていますが、実はそれだけではありません。
心理学の〝メラビアンの法則”によると、コミュニケーションにおいて、言語情報は7%、視覚や聴覚情報が93%影響すると言われています。つまり言語よりも、表情や声質、身振り手振り、アイコンタクトなどの様々な非言語情報から、私たちは「この人は共感できる人か? 信頼できる人か?」と印象を測っているのです。大事なのは、気持ちをキャッチボールすること。話す内容以上に、私はあなたを受け入れたいです、否定しませんという気持ちで接して、安心感を持ってもらうことが最も大切。コミュニケーション上手とは、たくさん話せる人というよりも、相手と気持ちやイメージを共有しているような感覚になれる人のことだと思います。
力の弱い人類が生存競争の頂点に立てたのは、仲間と協力する能力に長けていたから。力の強い動物にも、協力して戦い生き残ってきました。つまりコミュニケーションは私たちの基礎。苦手だと感じる人も、少し意識を変えるだけでコミュニケーション上手になれるはずです。
教えて先生! 2度目ましてに強くなるにはどうしたらいいですか? Q&A
事前調査をした〝2度目まして〟が苦手な読者のみなさんの悩みに、野口先生がお答え。〝2度目まして〟に強くなる極意を教えてくれました!
Q. 前回ひととおり聞いてしまったので、2度目でする会話が思い浮かびません
A. 自分の日々を思い出してみて! 実はネタは無限にあります
会話には〝情報系の話〟と〝暮らしの中の私の話〟の2種類があります。情報系の話は「NISAのNは日本のN」というようなうんちく話。ためになってもその話ではお互いのことは何もわかりません。楽しい会話とは、お互いのことが多少わかる人柄や暮らしぶりの話のほう。それには「こんな話、誰も聞きたくないだろう」くらいがちょうどいい! 共通テーマは趣味や学校、スポーツしかないと思っているかもしれませんが、実は無限にあります。例えば「寒いときに私はどうしているのか」みたいなテーマでいいんです。役に立たないけれど記憶に残る話は、初対面では話しにくいので、むしろ2度目ましてでするのにピッタリだと思います。
Q. 自分のことを話すのが苦手で、相手に質問ばかりしてしまいます
A. 人は意図のわからない質問に警戒するものです
例えば、よく知らない人に突然「寒いのは苦手ですか?」と質問をされても、意図がわからなくて不安になりますよね。しかし「私、寒いのが苦手なんですよ」と自分の話をしてから「●●さんはどうですか?」と聞かれると、そういうニュアンスで聞いているんだなと思えます。だからまず〝暮らしの中の私の話〟から会話を始めるのが大事です。自分の話が苦手な人の中には、ダメな部分を見せたくないと思っている人がいますが、人はそういう部分に親しみを感じるもの。いいネタができたと思って、一度軽い気持ちで話してみてください。
Q. 2度目ましてで、相手の印象に残る方法って?
A. 1度目のときに、相手のことをよく覚えておくこと
オフィスのシーンであれば、初めて会った人との会話や印象をいただいた名刺の隅にメモをすると思います。そのメモを2度目ましての前に確認して、「前に●●が好きだとおっしゃっていましたよね」と話題にするのが大事。これは「●●以外に好きなものありますか?」のような質問をいきなりするのではなくて、まず話題にあげるというのがポイント。コミュニケーションを深めるには相手について知ろうという姿勢を見せることが重要です。
春は新しい出会いが増える季節。ぜひ野口先生のアドバイスを参考に、「2度目まして」を克服してくださいね!
イラスト/沼田光太郎 構成/西村真樹 WEB構成/久保 葵