4月に入社した方は、新社会人として1か月が経つという今日この頃。やりがいを感じている反面、「あれ?ちょっと思っていた会社と違うかも……」とその会社で働き続けることに不安を感じている方もいるのではないでしょうか。実は、入社して1年以内で退職を考えるという人も少なくありません。
そこで、株式会社AlbaLinkが入社1年以内に会社を辞めた経験がある333人を対象に行った、「会社を辞めた理由」に関するアンケート結果を紹介します。
辞めた理由1位は「人間関係が悪い」
入社1年以内に会社を辞めた経験がある333名に「辞めた理由」を聞いたところ、1位は「人間関係が悪い(107人)」でした。2位「仕事内容が合わなかった(67人)」、3位「求人票と実際の条件が違った(43人)」、4位「ハラスメントがあった(30人)」と続く結果が出ました。
「人間関係」を挙げる人が圧倒的に多いですね。加えて、「求人票と実際の条件が違った」「ハラスメント」「残業未払い」など、コンプライアンス意識の低さに失望して退職したという人も目立ちます。
では、実際に寄せられた声を見てみましょう。
<7位 残業代・給与の未払い>
- サービス残業が多かった(25歳 男性)
- 残業代が満額支払われなかったから。「入社3年未満の人は会社に利益をもたらしていない」という謎の理由から、会社に報告する残業時間を上長のさじ加減で決められていました(30歳 男性)
- サービス残業が当たり前だったため(37歳 女性)
お給料に関しては生活も関係してくるため、頑張った分の見返りがないと今後が不安になりますよね。
法定労働時間を超えた場合は残業代が支給されると決まっており、管理職ではないのに残業代が出ないのは労働基準法違反。みなし残業(固定残業)の場合でも、想定される時間を超えて残業した場合には、残業代が支給されます。この部分が守られていないコンプライアンス意識の低さなどが原因で、退職を決めた人も多いのではないでしょうか。
<6位 教育・研修体制が手薄>
- 指導員がおらず、初日からひとりにされて不信感があった。また何も教えてもらっていないのに、「わからない」と言ったら怒られた(23歳 女性)
- スキルが活かされない研修をさせられるなど、人事の在り方に疑問を感じたため(31歳 男性)
- 研修指導がなかった。辞めていく先輩からの引き継ぎノートのみで業務にあたるのは限界があった(41歳 女性)
特に1年目だからこそ、指導が手薄だと不安になりますよね。「教えてもらうだけではダメだ」というのもわかりますが、働いていくうえで必要な最低限の指導はして欲しいところ。実際、知識や経験がないためにミスしたにもかかわらず、理不尽に叱責されて自信とやる気を失ってしまった人もいました。
<5位 長時間労働がツラい>
- 仕事が遅くまで続き、終電で帰れないことが多かった。会社で寝泊まりすることがあり、体を壊してしまった(27歳 男性)
- 仕事の拘束時間が長く睡眠時間も取れず、心身ともに疲れたからです(34歳 男性)
- 残業が多く、私生活が楽しめなくなったから(51歳 女性)
長時間労働が続くと、体力的にも精神的にもツラくなってきますよね。休日出勤もあるとさらにプライベートの時間がとりにくくなるため、リフレッシュもままならず悪循環。ワークライフバランスがよくないため、退職を決意した人も多いことがわかります。
<4位 ハラスメントがあった>
- 入社前に「母親の看病があるので過度な残業はできない」といったら、上司にパワハラされた(23歳 男性)
- パワハラが横行していたため(32歳 男性)
- 入社間もない頃から経営層や先輩から言葉のパワハラを受け、精神的にしんどくなった(46歳 女性)
近年、改善の動きは出ていますが、パワハラやセクハラに悩んで退職した人もまだまだ多いことがわかります。「ハラスメントを止める人がいない」「ハラスメントの通報窓口が機能していない」という職場もあるようです。
<3位 求人票と実際の条件が違った>
- 求人では「月給」と出ていたのに、最初は未経験だからと業務委託で働くことになったため(27歳 女性)
- 面接では「出張がない」と言われたのに、実際には出張があったから(36歳 男性)
- 入社前に聞いていた条件とあまりにも違っていたため(45歳 女性)
違った条件は「雇用形態」「給与」「仕事内容」「勤務時間」など。心身にくる負担以上に、会社への不信感を抱いてしまいます。「他にも条件が変わっているのでは?」と疑っちゃいますよね。
<2位 仕事内容が合わなかった>
- アパレルショップの販売員をしていましたが、カフェやブライダルでの接客とは違って「服を買ってもらうように接客する」のが自分とは合わなくて辞めました(23歳 女性)
- 最も行きたくない部署に配属されたため(39歳 男性)
- 事務希望で入社したがテレアポの担当になり、「どうしてもできない」と思って辞めた(40歳 女性)
「入社したら希望と違う部署に配属された」「実際に働きだしてみたら職種が合わなかった」などの理由で退職した人も多数。特に部署異動ができない場合、退職を考える人が多いようですね。社会人としてやっていけるのかという不安も重なって、自信をなくしてしまう人も多そうです。
<1位 人間関係が悪い>
- 直属の上司に恵まれなかったため(29歳 男性)
- 人間関係が悪い職場だったからです。いつも空気が重たく、マネージャーが事務所にいるときは心なしかみんな緊張しているようでした(31歳 女性)
- 指導してくれる人と合わなかった。また仕事中にプライベートな話をしつこく聞かれ、嫌気がさしたため(43歳 女性)
職場の人間関係が悪いと、ストレスを感じるだけでなく、話しかけにくさを原因に業務に支障が出ることも考えられます。ただし、距離が近すぎるのも問題のひとつ。実際に入社してみないとわからないことだけに、難しいところではありますよね。
「ちょっと無理かも」退職した時期はいつ?
入社1年以内に会社を辞めた333名に「退職時期」を聞いたところ、平均は5.5カ月。最も多かった時期は「6カ月」でした。
入社から半年が経ち、仕事の環境に慣れてきた中で、「人間関係・労働環境の悪さが改善されない」「希望の仕事内容に変わる気配がない」と気づき、退職を決意する人も多いのではないでしょうか。
また、1ヶ月以内に辞めた人や「試用期間の3ヶ月で辞めた」という人も多いです。給料の未払いなど会社のコンプライアンス意識が低い場合は特に、すぐ辞める決断をする人が多そうですね。退職理由に「人間関係」が多いことを考えると、職場での関係性が深くなる前に見切りをつけた方が多いのかもしれません。
退職者の約9割が「後悔していない」
また、「入社1年以内に会社を辞めたことを後悔しているか」と聞いたところ、「全く後悔していない」「あまり後悔していない」と答えた人が合わせて89.2%と全体の9割近くに。一方で「後悔している」という人は1割ほどにとどまり、後悔していない人の方が圧倒的に多くなっています。
1年以内に退職する場合、仕事内容や労働環境から、短期間でかなりのストレスを受けていることことが考えられます。そのため、「早めに辞めてよかった」という人が多いのでしょう。
最期に、1年以内に辞めたことを「後悔している理由」と「後悔していない理由」を紹介します。
<入社1年以内に会社を辞めたことを後悔している理由>
- 給料は良く、続けていれば専門知識やスキルが身についていたかもしれないから(27歳 男性)
- 「辞める判断をするのが早かったのかな」と後悔しています。もう少し続けていたらなじめた可能性もあるので(33歳 女性)
- 1年足らずで辞めてしまうのは転職活動ではマイナス要素で、転職活動でかなり苦戦したため(47歳 女性)
「辞める判断が早かった」「転職活動で苦労した」などの回答が多く寄せられました。短期間で離職した場合、退職理由によっては転職活動が不利になったという声も。また、人間関係を理由に辞めた人からは「合わない人はどの会社にもいるので、もう少し我慢すればよかった」という声もありました。
早めに見切りをつけることで良い方向に向かうこともありますが、衝動的に辞めるのではなく、「退職・転職は自分のためになるのか」「転職によって解決する問題なのか」を一度冷静に考えたうえで決めることが大事なようです。
<入社1年以内に会社を辞めたことを後悔していない理由>
- 転職して、前の会社が本当にひどい会社だったと実感したから。もっと早く辞めればよかったと思う(23歳 女性)
- 続けていたら心身を壊していたと思うからです。「疲れているのに眠れない」「食欲不振」などの症状が出ていたので、自分を守るための最善の判断だったと思います(30歳 男性)
- 在籍していても自分のプラスにならず、時間の無駄になるから(50歳 男性)
「自分を守るために必要だった」「転職先が自分に合っていた」などの回答が寄せられています。
環境的な問題は退職や転職をすることで解決しますが、その際に負った心身のダメージは回復までに時間がかかります。もし、「続けていたら身体や心がおかしくなりそう」と感じるようなら、早めに職場を離れるべきだと考えます。
まずは自分を大切に
今回、入社1年目で辞めた理由として多く挙げられたのは「人間関係」。また、「残業代の未払い」や「ハラスメント」など、コンプライアンス意識の低さがきっかけという人も多くいました。
「短期離職は不利になるから、ツラくても3年は我慢するべき」と言われることもあります。しかし、法令違反が常態化している企業でハラスメントを受けながら働いていると、心身に大きなダメージを受ける可能性も。1年以内に辞めて「よりよい職場が見つかった」という声も多くあるので、自分を守るための選択として短期離職を考えるのは間違いではありません。転職のエージェントなどプロに相談しながら、まずは自分の体を大切に働きやすい環境を探してみるのもアリですよ。(岡美咲)