会食で使える会話術を『超雑談力』の五百田達也さんにASK!
会食は、友達作りの飲み会ではなく、「仕事を円滑に進めるための親睦の場」です。笑いを取る必要なんてまったくないし、最低限「今日は楽しかったな、また一緒に仕事をしたいな」と取引先になんとなく思わせることがポイント。そのための会話術こそ「雑談力」。『超雑談力』の著者・五百田達成さんに会食での雑談力ルールを教えてもらいました!
教えてくれたのは…
ビジネスシーンでの「心の距離を少し近づける」簡単な会話術をまとめた著書『超雑談力』は、幅広い世代に支持され、100万部を超える大ベストセラーに。
Rule 01:相手の目を見て笑顔で話を聞くべし!
「会食で相手側の若手社員が早く帰りたそうな顔をしているのを見ると、自分がもてなされる側だとしてもすごく気を使ってしまう」という管理職世代の声をよく聞きます。笑顔で目を見てちゃんと話を聞いてくれているだけで、会食は成り立つし、年齢の離れた相手も安心できるもの。ビジネスパーソンである自分が「会社の人間」として会食に参加している意識を持ち、せめて相手に気を使わせることはないようにだけ心がけましょう!
Rule 02:面白い話をしようとするな! ただ会話のラリーを続けよう♪
雑談の目的は、「人間関係の構築」です。初対面の相手と話を進める、2~3回目の相手ともう一歩踏み込んで仲よくなる、どんな関係であれ会話を通じてお互いの警戒心をとき、スムーズな関係にシフトすべき。そのとき、ビジネストークの正攻法である「わかりやすく結論から話す」や「オチや結論をつける」をしてしまうと、すぐに雑談は終わってしまうので要注意。大切なのは「内容」ではなく、「ラリー」です。ただただ話を広げて、続きさえすればそれでよいのです!
/ふわっと打ち返してラリーを続ける!\
Rule 03:ノリがよい=最強の雑談です! リアクションのあ・い・う・え・おを意識して
いちばん大事なのは、相手の話に対するリアクションの大きさ。冗談のようですが、たったこれだけのことで相手は「興味を持ってくれている」とうれしい気持ちになり、「気が合いそうだ」と自然と心の距離を近づけてくれるのです。とっさに出せる簡単なリアクションの「あ・い・う・え・お」をご紹介します♪
Rule 04:基本的に「教わる」というスタンスで、相手にたくさん話してもらうべし!
そうはいっても相手との距離感を推し量るのは難しい。そんなとき、若手社員にオススメしたいのが、「仕事相手」とへりくだりすぎるのではなく、「先生と生徒」のようなちょうどいい上下関係に持ち込むこと。例えば、「最近わからないことがあって…」など少しだけ自己開示をしたり、「はい! 質問があります!」と挙手をして尋ねたり。そうすることで仕事のようなプライベートのような絶妙な距離感を生み出すことができるのです。
Rule 05:会話が自分のターンになったらボールは長く持たずにすぐに相手にパスする!
「最近の若い人はどうなの?」とざっくりとした若い世代代表としての意見を求められることもあると思います。自分のターンが長いと、本来必要ないはずの「オチ」を求められかねません。会食の場では相手に話をたくさんしてもらうことのほうが相手の満足度が高いので、簡潔に回答してすぐに話を戻しましょう!「〇〇さんの時代はどうだったんですか?」とすかさず質問するとgood!
Rule 06:“近い話”と“遠い話”で相手との距離感をコントロールせよ!
とっさに会話につまると、天気の話や政治など自分と“遠い話”をしてしまいがちですが、これはまったくのナンセンス。会話が上滑りしてしまい、生の感情のやりとりができずに心の距離は変化なし。同じ天気の話でも「昨日の台風、ゴーゴーと風がすごくて眠れなかったです」のように擬音を使って、エピソードまじりに話すと心の距離が近づきます!
/相手との距離感を話題でコントロールできちゃうってワケね!\
Rule 07:わかりにくい会話のなかの登場人物には「あだ名」をつけて復唱
お酒が入った席での雑談となると、「そのときにその人が、その場で~」といった指示代名詞の多いわかりにくい会話がつきもの。そんなときは自分の頭の整理も兼ねた「あだ名話法」が効果的!「この前会ったその店の店主が偶然そこにいたんだよ!」「あぁ例の〝思い出カフェ〟の〝ロン毛さん〟ですか?」といった具合に指示代名詞に名前をつけるんです。すると、話を整理して復唱するだけなのに、カンタンに会話を盛り上げられるのでオススメです♪
/「あだ名話法」で心の距離がやんわり近づく♡\
Rule 08:会食の場では“反論”や“強い意見”はNG。相手の話を“肯定”して共感しよう!
しつこいようですが、会食はあくまでも「仕事相手との関係性を構築する場」であり、相手に自分のありのままの考えを知ってもらう必要はまったくありません。相手が自分の会社と今後もスムーズに仕事をするためには、多少相手の意見が違っていようと、グッとこらえて「私の意見」は胸にしまう。相手の話を肯定することも、ビジネスパーソンとしての心得のひとつです。
/言いたいことがあったとしてもここは我慢っ!\
Rule 09:“近すぎる話”はしないように、程よいところで切り上げてOK!
コンプライアンスの厳しい今の時代、よっぽどウマが合う場合を除いては、ビジネスパーソン同士が深い話をして、仲がよくなりすぎるのは危険です。程よい距離感を意識して。ルール06の応用ですが、ズケズケとプライベートな質問など自分と“近すぎる話”になったら、そそくさと切り上げて“遠い話”に話題を変えましょう! 「うーんまぁ色々ありますよね…。そういえば、先ほどの話に戻るのですが…」のように、濁してしまってまったく問題ナシ。
/ちょっと待ったー! この話は、ここまでです!\
Rule 10:会話が止まっても大丈夫。気楽に相手に頼ってしまおう!
ルールを9つ挙げてきましたが、よく知らない年上の人ばかりの飲みの席で気を張っていたら、なかなか思うように“雑談”を実践することが難しく、会話が止まってしまうこともあると思います。でも大丈夫。そんなときはルール04の応用です。「私、こういう場に慣れていなくて…どういう会話をするのが正解か教えてほしいです!」と思い切って尋ねてみましょう♪ 若者の特権です。たいていのオトナであれば、優しく会話を進めてくれるはずですよ。
/“雑談力”が身につけば、会食は不安じゃないね~♪\
返事に困るあるある…ニッチな受け答えも五百田さんに聞いてみました!
あるある質問 1:「かわいいね」とホメられたとき、否定しても感謝しても変な空気になる気がして…どうしたらいい?
いちばんNGなのは、「そんなことないです」と言い続けること。話が終わりません。ルール05を意識して、「えーうれしいです。最近〇〇のコスメを使ってから評判がいいんです!」で、美容トークに変えるなど、さっさと終わらせて話題を変えましょう!
あるある質問 2:「〇〇課の佐藤さん知っている?」など知らない人についての話題を振られても、話が広がりません…
大きい会社に勤めているとよくありそうな事案ですね(笑)。たしかに「共通の知人」でない限り話がすぐに終わってしまいますが、「佐藤という人間はわからないのですが、〇〇課と関わりが?」と質問をして「共通の話題」を探してみましょう!
あるある質問 3:「悩みはある?」と聞かれたとき、ガチ相談も変だし、ないと言うのもかわいげがないし…どうしたらいい?
実際に重い相談をするのは、ビジネスの間柄では避けたいところ。いい塩梅の自己開示をする「持ち質問」があっても良いかもしれません。しかし、ルール10のように「悩みがわからないくらい何も見えてなくて…」と質問返しするのもアリですよ!
忘年会や新年会で取引先との会食も増えるシーズン。適度な自己開示と相手との距離感のコントロールが肝心な「雑談力」を身につけて、初めての会食を乗り切って!
撮影/古水 良(Cheek one) スタイリスト/たなべさおり ヘア&メイク/久保フユミ(ROI) モデル/菜波(本誌専属) 撮影協力/橘 綾花、石塚大輔 構成/山下 樹 WEB構成/久保 葵