都会の人は冷たいって本当?20代女子に聞く「地方移住」と「上京」のリアル

今どき20代のリアルって? 地方移住と上京について、とことんお喋り!

CanCamを盛り上げてくれるインフルエンサー集団〝it girl〟。日常生活の些細なことから社会問題まで、20代の等身大目線で喋り倒す連載。3人集まればトークが止まらないのが女のコってもの。第4回は、上京や地方移住を経験した3人に聞く、それぞれの住・労働環境と将来を考えるトーーーーク!

▼第一回:SNSのモヤモヤ

▼第二回:ミスコンの光と闇

▼第三回:働き方のアプデ


vol.4 地方移住と上京のリアル

今回の座談会に参加してくれたのはこの3人!

竹本萌瑛子さん(ライター、SNSプランナー、モデル)
熊本県出身、東京都在住。新卒でYahoo!に入社し、’23年3月からはフリーランスとして活動中。大学進学を機に上京後、引っ越しも何回か経験し現在は渋谷区住み。
@moeko_takemoto
安藤美詞さん(地方テレビ局員)
埼玉県出身、高知県在住。渋谷区の大学在学中はインターンに励み、高知のテレビ局に就職。編成業務部という部署で番組素材の管理やSNS運用などを担当している。
@mjc_03ma
戸田綾香さん(大学院生)
愛知県出身、滋賀県在住。大学進学を機に滋賀でひとり暮らしを開始。今年4月から広告代理店に就職するため、上京予定。今は大学院2回生で、日々化学の研究に没頭。
@__aya.photo

──みなさん、それぞれの上京や移住のきっかけを教えてください!

【竹本】高校時代、やりたいことはなかったけどなんとなく東京に行きたいなって気持ちがありました。熊本にいると、地元の大学に進んで、銀行とか決まった企業に行くルートみたいなものがあったので、将来が想像できてしまうのがつまらないと思ったんです。

【戸田】私は出身が愛知で、大学進学を機に滋賀に移りました。もとは関東の大学に行きたかったこともあり、就活で上京に再挑戦。4月から東京の広告会社での研修が決まっています。配属希望は東京で出すつもり!

【竹本】「とりあえず東京に行きたい」が動機になった点は、私たち一緒ですね!

【戸田】そうですね。やりたいことありきでなくて、漠然と「若いうちは仕事頑張りたいし、東京に行ったほうがいいのかな」って。

【安藤】私は埼玉出身で関東育ち。今は高知のテレビ局に勤めています。実は大学時代、インターンで訪れた農家がたまたま高知で、その頃から「すごくいいところだな、地方に住むなら高知がいい」って思ってたんです。

──住んでみていちばん驚いたことは?

【安藤】地方は家賃が安いと思っていたので、住んでみてびっくり。家賃は給料の3分の1が目安ってよく聞くけど、その範囲内だと古い物件が多く、オートロックが少なくて。

【戸田】治安がいいから必要ないってことなんだろうけど、実際気になりますよね。

【竹本】私も家選びは何かしらの妥協を強いられたな…。駅徒歩15分以上かかるけど築浅で、まあ相場よりは安いかなってところを狙ってました。

【戸田】私は最近上京に向けて家を少し調べてみたんですが、高すぎてびっくり。今住んでいるところはかなりお値打ちだったのかもって思いました。駅徒歩時間や築年数に関しても、満足いく部屋に住んでいます。

──物価に関して、それぞれの地で暮らしてみて感じたことって?

【安藤】とにかくガソリンが高い! 関東から車で来た友人に驚かれます。

【竹本】東京はパーキング代がめちゃくちゃ高くて、 帰省すると「安っ」てなります。

【安藤】高知の駐車場はすごく安いので、そこは助かってます。食費も安く収まってますし、家賃やガソリンが高い分は他でうまいこと調整できているのかも…?


──東京はトレンド最先端って本当?

【戸田】ファッションに関しては、地方と東京の違いを感じますね。東京に行くと「露出多い!」って思います。背中が開いてたり、脚を見せたりするような服を着てる人を滋賀ではあんまり見かけなくて。東京へ行くたび、大胆で素敵だなって思っています。

【竹本】私も上京したてのとき、女子高生のスカートの短さにびっくりしました。

【安藤】私は高知に来てからおしゃれをしなくなりました(笑)。買う場所が少なくて…。ウィンドウショッピングが好きだったので、気軽にできなくなったことがちょっと悲しい。

【竹本】私は通販メインですが、外に出て買う選択肢も残したいですよね。自由に選べるってことが重要なのかも。

【戸田】選べるって意味では滋賀は中間かもしれません。県内の買い物施設はそんなに充実してないけど、JR線1本で京都や大阪、兵庫にも行けて便利。…交通費がかさむけど。


──リモートワークが普及し、比較的どこでも働ける中で今の場所にいる理由は?

【竹本】上京のきっかけにもなった、地方だと今後のルートが見えるのを感じるというのが大きいかも。地方にも新しい働き方ができるベンチャー系企業はありそうだけど、あんまり知られてなくて、就職や転職先の候補に上がってこないのかなって印象があります。

【戸田】私の地元でもそれは感じてました。銀行員や公務員がよしとされるような…。

【竹本】その道にはその道の楽しさもきっとあるけど、選択肢や可能性という意味では見えづらいのかなって。

【戸田】ちなみにテレビ局って、自分で希望して東京の職場に行く制度はあるんですか?

【安藤】私の会社は一応、東京支社もあります。今の会社が好きだし、いつか東京に戻りたいから、異動希望は出してるんですけど…地方のテレビ局は人手不足なのですぐには難しそうかも。

【竹本】リモートは難しいんですか?

【安藤】できないことはないと思います。でも地方局は人手不足だと、どうしても部署をまたいでのマルチタスクになってしまうので、ひとつの業務はリモート可能だとして、もうひとつは現場、みたいな部分はあります。

【竹本】今はどこでも働けるっていうけど、ほとんどがベンチャーだったりITだったりで、実際難しい職業もありますよね。

【戸田】竹本さんは、今のお仕事だとリモートも可能なんですよね?

【竹本】ただ、東京にいたほうが仕事をもらいやすいんじゃないかなと考えることもあって。離れたら減るんじゃないかと不安です。

【戸田】ちょっとわかるかもしれない。私の就職先は関西支社もあるんですけど、アットホームな雰囲気だよって先輩から聞いたんです。でも20代は仕事頑張りたいなって思うと、周りがバリバリ働いている東京で一生懸命ついていくほうがやりたくて。

【安藤】すごい、前向き!

【戸田】反面、やっぱり自然も好きで…。地方のホテルサブスクみたいなサービスがあるらしいので、契約して月に数回は広いところでのびのびしたいなって思っています。

【竹本】何それ、めっちゃいい!

【戸田】理想は山の中でも仕事する日をちょっと作ること!


──よく都会の人は冷たい、地方は温かいと言われますが、感じることはある?

【戸田】あるかも。今住んでるところは学生ひとり暮らしが多いんですが、私が移ってすぐ熱を出したとき、みんなが飲み物とか持ってきてくれて。助け合いの精神を感じました。

【竹本】ハートフル!

【戸田】逆に都会は、マンション内の隣人とのつきあいが淡白そうだなっていうイメージ。

【竹本】それあります。実家はマンションだったんですが、エレベーターで人と会ったら絶対に挨拶する風潮があったんです。面識ある人にもない人にも。でも東京だと、なるべくみんな目を合わさないようにしてて(笑)。

【安藤】ここからプライベート! みたいな感じありますよね。

【竹本】そうそう。エレベーターで私より早く入った人がいて、待ってくれるかなと思ったら速攻「閉める」ボタン。みんな警戒心が強いなと感じます、わかりますけどね。

【安藤】高知では犯罪がほぼないし人も少ないので、警戒心はまったくなくなりました。

──ぶっちゃけ友達ってできますか?

【安藤】できないです(笑)。私は職業柄、外部の人との関わりが全くないので…。ひとりだけ高知に友達がいるんですけど、それも関東で就活中に仲よくなった人です。

【竹本】東京にいると、共通の趣味とか紹介とかSNSとかでつながっていくのをすごい感じますね。気軽に友達ができる、知り合いが増えるのは、上京してから1、2番目くらいによかったことだなと感じます。


──今後上京したい、地方移住したいという願望はある?

【安藤】具体的にいつ頃どうなりたいとかはないんですけど、将来結婚するなら東京がいいっていうのはずっと思います。 

【戸田】えっ、なんでですか? 

【安藤】やっぱり自分の出身地周辺で暮らしたいし、子育てをするなら親の近くにいたい。なので東京近辺がいいな。

【竹本】出身地だと色んなことの勝手がわかってますよね。東京出身のコに、中学受験は当たり前とか聞くと「えっ」ってなりますし。私がもし東京で家族を作るってなったら、ちょっと将来を描きづらいかもしれない。

【戸田】私は東京の普通の人になるんだったら、地方のお金持ちになりたいかも。家買います。

【竹本】めっちゃわかります。やっぱ家ですよね、家賃がちょっとばかばかしくて。ひとりで生きるなら東京はいいなと思うんですけど、家族ができるなら地方移住はあり。

──住んだからこそわかる、地方と東京それぞれのメリット、デメリットって?

【竹本】東京は遊ぶ場所はいっぱいあるけど、どこに行っても人が多いせいで、逆に選択肢が限られるのはあるかも。

【安藤】地方では関東で当たり前にできてた買い物とか遊び方はできないけど、代わりに自然豊かできれいな景色があるのがいいところ。あとは人が温かいし、食がすごく美味しいので元気にやっていけます。

【戸田】めっちゃわかる。探せば穴場的な安くて美味しい地元のお店がたくさん出てくるの、楽しいですよね。

【安藤】でもやっぱり物足りなさはあるかな。

【戸田】そう思うと名古屋ってちょうどよかったなと思います。東京も関西もすぐ行けるし、程よく自然や公園もあって。

【竹本】新幹線が便利で羨ましいです。地元が九州ってなると 飛行機が早いんですけど、年末年始とか高いから。高知も同じかな?

【安藤】です。直通は飛行機しかないので…。

──ちなみに、住むならどこがいい?

【竹本】熊本ももちろん帰りたいけどやっぱり東京は便利だし、何より楽しくて。千葉や埼玉、神奈川とか、その辺もちょうどよくて暮らしやすいのかなと思ったりします。

【安藤】私も東京近郊かな。

【戸田】私も! 名古屋に戻ると、知り合いが多すぎて。ありがたいんですけどね。安心して帰れる場所を名古屋にして、頑張る場所は別に置いときたいなって思います。

【竹本】素敵な考え方!


編集後記

エディターK(社会人1年目):静岡県出身。将来は瀬戸内海の島で暮らしたい。

私自身、地元では進学や就職ほか諸々の選択肢が少ないと思い上京しましたが、取材を通して今は地方に住むという人生設計ごと選べるようになったんだ…と実感。今回のお話にも何回か出てきた「選択肢」は年齢や環境とともに刻一刻と変わるので見逃し注意です。

CanCam2024年3月号「CanCam it girl総研」より
イラスト/佐藤麻美 構成/川口里那 WEB構成/久保 葵