降水確率50%って結局雨降るの、降らないの?雨にまつわる疑問、気象予報士が答えます!

毎日のようにチェックしている「天気予報」。特に、生活や行動に大きな影響をもたらす「雨」については意識してチェックしている人も多いはず。
でも、これまで数え切れないほどの回数天気予報を見ているにも関わらず、「降水確率50%って、結局降るの?」「一時雨と時々雨って、どう違うの?」など、わかっているようでわからないことも多いですよね。そんな意外と知らない天気の疑問を、気象予報士の佐藤可奈子さんにうかがいました。

 

お話をうかがったのは…

気象予報士 佐藤可奈子さん

大学卒業後、通信販売会社「ジャパネットたかた」に就職し、テレビショッピングのMCとして商品紹介を担当。エアコンが売れ出す時期に夏の到来を感じたり、夜の冷え込みが厳しくなると羽毛布団が売れたりと、天気の影響力を生放送の通販で体感。2017年より気象予報士としてのキャリアをスタート。現在はNHKジャーナルやNHKきょうのニュースなどで天気予報を担当。掃除スペシャリストや整理収納アドバイザーの資格も活かし、快適な生活を提案する気象予報士として活躍。

 

Q.天気予報の「一時雨」「時々雨」は、何が違うんですか?

A.まとまって降るか、降ったりやんだりかの違いです。

「一時雨」「時々雨」には明確な基準があります。

一時雨…24時間の予報の中で「1回、雨が降る時間がある」(かつ、降る時間が6時間未満)
時々雨…24時間の予報の中で「雨が降ったりやんだりする」(かつ、降る時間が合計12時間未満)

「くもり一時雨」であれば、「基本はくもりで、どこかの時間帯だけ6時間未満」の雨が降ります。「くもり時々雨」であれば、「降ったりやんだりを繰り返す」でしょう。
また「くもりのち雨」は、24時間の予報の前と後で天気が異なり、雨が後ろになるケースを指します。

Q.降水確率が50%と出ている日にいつも困ります。結局降るんですか? 降らないんですか?

A.「1日の流れ」を見ると、同じ「50%」でも意味合いが変わります

降水確率は、6時間ごとに区切って発表されています。
たとえば同じ「50%」でも…

6〜12時:30%、12〜18時:50%、18〜24時:60%→天気は下り坂と考えていいでしょう。
6〜12時:90%、12〜18時:50%、18〜24時:10%→午前中は雨ですが、天気は回復に向かうことが予想されます。

同じ「50%」でも「雨に向かう」と「回復に向かう」では多少意味合いが変わってきます。さらに夏などは午前中0%で、午後に急に50%近くの予報が出ることもあります。夏の夕立の可能性があるので、迷ったら晴雨兼用傘を持って出かけましょう。

Q.できれば荷物を減らしたいですが、降水確率が何%以上あれば傘を持っていくことをおすすめしますか?

A.40%なら持っていきましょう!

これは気象予報士あるあるかもしれませんが、気象予報士にこの質問をするとだいたい40%と答える人が多い印象です。私自身も40%以上のときは、傘を持って出ます。

そもそも降水確率とは何かというと、その地域の「どこかで」「1ミリ以上」の雨が降る確率の話です。雨の強さも、細かい場所も時間も含まれていません。ぱらっと弱い雨程度が予測されても、土砂降りが予測されても、「降水確率」は同じことがあるため、降水確率だけではなんとも言えないのが正直なところです。

近年「ゲリラ豪雨」と呼ばれる急なにわか雨も、降水確率40%前後で発生することがあります。特に夏は、迷ったら折りたたみ傘でも構いませんので、晴雨兼用傘を持って出かけるのがおすすめです。

 

Column 梅雨〜夏は一年のうちで天気予報がはずれやすい季節です
 
気象庁の「降水の有無」の予報精度のデータを見ると、雨が降るか降らないかの予報の精度(適中率)は他の季節が平均8割を超えるのに対し、梅雨〜夏は7割台(6月が77%、7月・8月がそれぞれ76%、9月が79%)と、4回に1回は外れます。
一年を通して適中率が平均的に低いのは沖縄で、すべての季節で77〜78%です。冬の北海道は71%と最も低いです。


参照:気象庁

 

Q.「降水確率100%」ってあまり見ない気がしますが、100%の日はあるんでしょうか?

A.ありますが、わざわざ天気予報で触れない可能性大

降水確率が90%、100%と予測されている日もあります。ただ、天気予報の限られた時間で「降水確率は100%です」と伝えるくらいなら、予想雨量や降る時間にふれるようにしているので、あまり聞き馴染みがないのかもしれません。
ちなみに、気象庁では降水確率を1%単位で算出し、それを四捨五入したものを伝えています。「降水確率0%」は「0〜4%」、「降水確率100%」は「95〜100%」なので、0%でも降ることもあれば、100%でも降らないこともあります。


Q.今日の雨が「さらっと降る程度か」「土砂降りか」がわかる方法はありますか?

A.「大気の状態が不安定」という言葉を聞いたら要注意です

日々のお天気ニュースでも耳にしたことがあるかもしれませんが、「大気の状態が不安定」というワードが出たら、雨が降り始めると土砂降りになりやすい日です。この言葉を見かけたら、天気急変にご注意を。

ちなみに、梅雨時期に聞くことが多い「前線の影響による雨」は、昔から2つの降り方があると言われてきました。「梅雨といえばしとしとの雨」という印象があるかもしれませんが、同じ梅雨前線がもたらす天気でも「陽性の梅雨」と「陰性の梅雨」があり、降り方が2種類あります。陽性型は「ザッと降ってやむ、ザッと降ってやむ」を繰り返し、陰性型はしとしと長く降る雨が続きます。梅雨前線の北は陰性、南は陽性になる傾向にあるため、西日本は陽性の時期が長く、東日本は陰性の時期が長くなりやすいと言われます。
「梅雨明け」は、梅雨前線が北に上がっていき、その地方ではとどまらなくなったことを指すので、陰性の時期が長い東日本でも梅雨末期は「ザッと降ってやむ」の陽性の梅雨になりやすいです。

Q.そもそも「梅雨」ってなんですか?

A.北と南の高気圧がぶつかってできた「梅雨前線」による、くもりや雨が続く季節

春の冷たく湿った空気(オホーツク海高気圧)と、夏の熱く湿った空気(太平洋高気圧)の境目にできる「梅雨前線」による、くもりや雨が続く季節を指します。最終的にこの梅雨前線を太平洋高気圧が押し上げて日本全体を覆うことで、夏がやってきます。よく「北海道には梅雨がない」と言われるのは、梅雨前線が北海道まで北上する頃には、そもそもこの2つの空気がぶつからなくなって前線が消えているからです。
「梅雨前線」という言葉で表現していますが、この「前線」はくっきりと目に見えるものではないため、実は的確な位置を示すのが難しいものです。

Q.「梅雨入り」「梅雨明け」って誰が決めているの?

A.気象庁が週間予報などから決めています

「梅雨入りが発表されました」というニュースは「冷やし中華はじめました」のような季節の風物詩のイメージがあるかもしれません。でも実は、梅雨入り・梅雨明けの発表は、大雨や長雨、日照不足に備える呼びかけとして始まったれっきとした「防災情報」です。
週間予報を見て、この先くもりや雨が多いと判断されたら気象庁が発表しますが、この段階では実は「速報」扱い。ふたを開けたら思ったよりも晴れるケースもままあるので、9月になってから、気象庁が6〜7月頃の天気を見直して、梅雨期間を修正し「確定」させています。このデータはその後の分析などに使用されています。

 

構成/後藤香織 写真/(c)Shutterstock.com