【本日映画「ミッシング」公開】石原さとみ「髪の毛をボディーソープで洗って傷ませた」19年ぶりの共演・中村倫也に救われた瞬間とは?

石原さとみ×中村倫也 19年ぶりの再共演で魅せた新境地

石原さとみさんと中村倫也さんが映画『ミッシング』で19年ぶりの再共演。演じたのは失踪した子供の母親と、それを取材する記者というシリアスな役柄。両者が役者として新たに挑んだ、本作の魅力と表現を語っていただきました。


「撮影に入るにあたり、不安や自信のなさもあって役の外見にもこだわりました」(石原さん)

自分自身にどこか飽きてしまったような〝変わりたい願望〟が当時ありました。「この人だったら私を変えてくれる!」と思って、やっと吉田監督にお会いすることができたのが6年前。「一緒に仕事がしたいです!」と伝えたんです。3年後、脚本が書けたと連絡をいただいて読んでみたら、ひとり娘が失踪して必死に探し続ける母親の役。きっと私には来ないだろう、私じゃない人が本当はやるべきなんだろうなっていうものを、私にくださったってことが本当にうれしくて。そこから出産を待ってくださって、産後復帰作がこの作品に。初めて脚本を読んだときは想像でしかわからなかったのが、撮影のときはリアルな感情がわきあがってきて。読むのが苦しくて向き合うのに勇気がいる作品、脚本になってしまったっていうのが、自分の中では大きな変化でした。撮影に入るにあたり、不安や自信のなさもあって役の外見にもこだわりました。がむしゃらに子供のことを探し続けている母親を表すのに、ノーメイクはもちろん、髪の毛をボディソープで洗って傷ませたりも。産後でソバカスやシワが増えて、髪の生え変わりもある時期だったので、それもそのまま生かしました。

「脚本を読んで、なんとも言えないな、と思った作品」(中村さん)

さとみちゃんと吉田さんということを聞いて、「やります!」とオファーに即答しました。吉田さんは面白い監督だと聞いていたのと、さとみちゃんとはドラマ『H2〜君といた日々』以来共演がなく、何かできたらなとずっと思っていたので。脚本はその後読ませていただいたんですけど、なんとも言えないなって正直思いました。でも、なんらかの一歩を踏み出す話ではあるなと。社会に出てる人の多くが通過儀礼のように経験したことや、理想や現実、できることやできないことがある中で、みんな大なり小なり悩んで生きていると思うんです。そういう意味で、僕が演じる地元テレビ局の記者・砂田に関して言えば、共感性が高い役だなと解釈しました。取材対象や上司や部下など接する人がいる中で、この人はどうアジャストしようかと試みるけど、上手くできない真面目な人なんだと。決め切らずに現場で探りながら演じました。


Q. おふたりが今、推しているものは?

両面テープ(笑) by石原さん

FF7のティファとクラウド! by中村さん

【石原】私は両面テープが大好きで『鬼ピタ』っていうのにハマっていて。壁にフックとかをつけても跡がつかなくて便利なんです!

 【中村】大好きで仕事もさせてもらってるんですけど『ファイナルファンタジーVII リバース』に出てくるティファとクラウドというキャラが推しです!

Q. 落ち込んだとき、気分を上げる方法は?

外食 by石原さん

落ち込みません(笑) by中村さん

【中村】僕、本当に落ち込まないんですよね。

【石原】本当すごいね(笑)!

【中村】いつもどんなときも幸せです(笑)。

【石原】私は、家でずっとごはんを作っているので、「今日は外食!」ってなったらかなりテンション上がりますね!

Q. 最近泣いてしまったことは?

子供の写真 by石原さん

ほとんど泣かないです by中村さん

【中村】うーん普段泣かないからな…最近は芝居でしか泣いてない(笑)。

【石原】私は涙もろくて結構泣いちゃうことが多くて。子供が生まれたばっかりのときの写真を見返すと泣いてしまいます。

Q. ついやってしまうクセは?

お気に入りリストに入れちゃう by石原さん

すぐちょけちゃう by中村さん

【中村】必要がないとこでも、ふざけちゃうのがやめられないです(笑)。

【石原】私はネットショッピングですぐお気に入りに入れちゃう! 寝ぼけたときに全買いボタンをポチッと押しちゃってるのに翌朝気づいて、青ざめました(笑)。


10代以来の共演は、お互いの今までのイメージを打破する役どころに—

【石原】中村倫也作品かなり観てるんですけど『スーパーサラリーマン左江内氏』の倫也さんが本当に大っ好きで! この作品とのギャップね。

【中村】あははははは! 確かに。

【石原】撮休などでロケ地の沼津から東京に帰る道中は、気持ちを安定させないと役を引きずってしまいそうだったからよく観てたんです。かなり救われました(笑)。幅広い作品に出られてますけど、私は『ミッシング』で演じているような、〝色がない役〟の中村倫也が観たかったって思ったんです。

【中村】いい表現。

【石原】だから19年ぶりの共演がこの作品で、すごくうれしく光栄に思いました。

【中村】僕は2019年夏の特番バラエティのさとみちゃんが超好きで。勝ちに貪欲な姿を見て素敵な方だなと改めて思いましたね。

【石原】ドラマ対抗のね(笑)! 

【中村】方向性は違うかもしれないけど突き詰めるさまは今作でもあって、撮影中ずっと全力でボロボロだったんですよ。その熱量にまわりも引っ張られて、予測不能な演技をするさとみちゃんに呼応して動く、みたいなグルーヴが現場で生まれました。本当に尊敬しますし共演できてうれしかったです。

【石原】次共演するとしたら? 誕生日と血液型が一緒だから双子の役とか。

【中村】いいね。それで甲子園目指そう!

【石原】いや、『H2』から離れて(笑)!

※ふたりの初共演は19年前のドラマ『H2〜君といた日々』
石原さとみ
1986年12月24日生まれ、東京都出身。2003年に映画『わたしのグランパ』でデビューし、日本アカデミー賞ほか6つの映画祭・映画賞にて新人賞を総なめにする。その後も数々の話題作に出演し、不動の人気を誇る。
中村倫也
1986年12月24日生まれ、東京都出身。2005年に俳優デビュー。映画やドラマ、舞台など幅広く活躍。今年は劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎『バサラオ』、ドラマ『shrink-精神科医ヨワイ-』などへの出演を控えている。
映画『ミッシング』

配給:ワーナー・ブラザース映画/5月17日公開
幼女失踪事件の母親・沙織里(石原さとみ)は、夫と共に捜索のあらゆる手を尽くすが娘が見つからず、世間の関心が薄れていくことに焦りを感じていた。そんな中、唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田(中村倫也)を頼るが―。現代の〝情報社会〟に翻弄される家族の物語。
 
CanCam2024年6月号「石原さとみ×中村倫也〜ふたりが描く希望の光〜」より
撮影/倉本侑磨(Pygmy Company) スタイリスト/宮澤敬子(WHITNEY/石原さん分)、戸倉祥仁(holy./中村さん分) ヘア&メイク/猪股真衣子(石原さん分)、Emiy(中村さん分) 構成/田中絵理子 WEB構成/久保 葵