6月末から日本全国が急激に暑くなってきて完全に夏突入! 毎日暑い日が続きますが、夜、ちゃんと眠れていますか? 睡眠不足は熱中症をはじめとしたありとあらゆる体調を崩すモト。というわけで、夏の暑い夜を快適に過ごすためのトピックスを、空調など建築環境工学を専門に研究する摂南大学の宮本征一教授、パナソニック 睡眠改善インストラクターの菊地 真由美さんにうかがいました。
まずは基本中の基本を宮本教授にうかがいました。
Q.寝るときのエアコンや扇風機、どう使うのがベストですか?
贅沢を言うなら「エアコンをしっかりかけて、あたたかいふとんをかぶる」のが快適に眠れます。
「何時間後にタイマーをオフにし、起床時間のどれくらい前に冷房が入っているといいのか」などのタイマー分野については、現在研究途中です。
扇風機を使う場合は、体に直接当てると体が放熱しすぎてしまい、冷えて途中で起きてしまったり朝起きたときにだるさを感じることがあるので、体に直接は当てず、部屋の空気を動かすようなイメージで使ってみてください。
また、32度を超えるような夜は、寝苦しくて途中で起きてしまう可能性が高いので、設定温度を28〜30度程度にして、エアコンを使って眠ることを強くおすすめします。
エアコンを使うなら、できれば「長袖長ズボン」のパジャマを併用
女性の場合は、薄いものでいいので、できれば長袖長ズボンのパジャマのほうが心地よく眠れます。
ガーゼのような薄い布でも、1枚挟んでおくことで、人の肌と、布の間の空気層を固定することができ、服の中の空気が移動しにくくなります。そうすると、寝ている間にエアコン・扇風機をつけていても、急激に熱が奪われることがありません。
女性は男性と比べると筋肉量が低く、体の中で生む熱量が少ないため、冷えに関して防御力が低いので、できるだけ長袖長ズボンのほうがおすすめです。筋トレをして体を鍛えると、暑さ寒さへの耐性が変わるので、冷えに悩んでいる方は地道にトレーニングするといいですし、筋肉が落ちるような過度なダイエットはしないでください。
「タオルケットで全身を覆う」でも良いですが、寝ているうちにずれてしまうこともあるので、パジャマで調整するのがベストです。
摂南大学 理工学部 宮本征一教授
建築環境工学・温熱環境を専門に研究している。
次に、さらに具体的な眠り方を睡眠改善インストラクターの菊地さんに教えていただきましょう!
コツ①エアコンは寝室に入る30分前にON、上に向けて風をあてておく
一般的には、室温26~28℃が心地よく眠れる環境だといわれていますが、温度同様に重要なのはエアコンを運転させるタイミング。ついやりがちな間違いが、布団に入ったタイミングでスイッチを入れること。日中に室内に溜め込んだ熱が、夜になっても天井や壁にこもっているため寝るタイミングでエアコンをつけても、室温が下がるまでに時間がかかることがあります。寝室に入る30分前にエアコンをONにし、上に向けて風をあてておくのが、効率よく良い睡眠環境を作るコツです。
コツ②タイマーは設定せず、設定温度は26度~28度に
快適な寝室環境を保つには、冷房モードで設定温度を26~28℃にするか、除湿モードに。
特に熱帯夜は途中で運転を停止する設定にはせずに、冷えすぎない温度で朝までつけっぱなしにしましょう。途中で運転を停止してしまうと、その後室温が上がると共に寝苦しくなり途中で目覚めてしまう原因になります。
理想は、就寝中も寝室の温度をコントロールすること。就寝前は少し温度を下げることで深部体温を下げ、就寝中は温度を下げすぎず、目覚めに向けて少しずつ温度を上げることです。そうすることで、快適に就寝でき、さらに目覚めがよくなります。
コツ③湿度は60%以下に保つ
夏場は湿度が高くなりやすく、寝苦しくなりがちです。湿度が高すぎると、途中で目覚めてしまう原因にもなります。夏場は、寝室の温度だけでなく湿度にも注意しましょう。
寝室の湿度は60%以下に保つことが重要です。
湿度が高い時はエアコンの温度を下げる、または、エアコンを除湿運転する、といった対応をおすすめします。
コツ④扇風機との併用使いがおすすめ
前述の調査結果で、エアコンを一晩中つけっぱなしにしない理由として、半数が「直接風が当たり冷えすぎるのが嫌だから」と答えたように、エアコンの風が苦手という人も多くいるかもしれません。そういった方は温度を下げすぎてしまっていることも考えられます。エアコンの温度設定は下げすぎず、ただ、どうしても室温が高くて寝入りが悪いという方は、扇風機を併用することもお勧めです。その際は、表面に太い血管の通っている足首あたりに風を当てると深部体温が下がりやすく寝入りが良くなります*。
*ただし、風を長時間体に当てないでください。健康を害することがあります。
コツ⑤寝る1時間前までにバスタブで入浴、温度は夏でも38~40℃
深部体温をスムーズに下げるためには、反動を利用するのがコツ。意外と大切なのがバスタブに浸かって入浴することです。夏でも38~40℃のお風呂に、10~20分ほどつかるのがおすすめ。入浴することで深部体温は約0.2~0.3℃上がるといわれており、一度上がった深部体温は反動で下げようとする体の性質があり、この落差が寝入りやすさにつながります。上がった深部体温は約1時間ほどかけて徐々に下がり、この時に眠気が高まるのでタイミングを逃さず布団に入れるように、入浴時間を調整してみましょう。また、深部体温を下げるために入浴前から寝室とリビングをエアコンで快適な温湿度にしておくこともポイントです。
夏場はシャワーだけという場合でも、足首・手首・首の後ろなど太い血管が通っている部分に合計5分ほど少し熱めのシャワーを当てることで、効率よく深部体温を上げることができます。夏はシャワーしか浴びない、という人はお湯を当てる位置と時間を意識してみましょう。
パナソニック アプライアンス社 コンシューマーマーケティングジャパン本部 商品センター マーケティング企画部所属。家電を使って睡眠環境を向上させるため、より専門的な知識を得たいと睡眠改善インストラクター(日本睡眠改善協議会認定)の資格を取得し、「快眠環境サポートサービス」を立ち上げる。同社内でも社員の睡眠の悩みに答える「眠りの先生」で、睡眠環境づくりに関する相談役も務めている。
眠れないほど暑い夜が続く夏。ぜひ参考にしてみて!
あわせて読みたい