66%の人が睡眠に満足していない!快適な睡眠をとるための夏に使える8つのコツ
梅雨が明けて夏本番到来! 日中は熱中症アラートが出るほどの猛暑が続いているのはもちろん、夜もなんだか暑くて寝苦しいと感じている人は多いのではないでしょうか。
パナソニック株式会社は、睡眠の実態を20歳以上の男女548名にアンケート。その調査結果とともに、睡眠改善インストラクターによる「熱帯夜の快眠マニュアル」をご紹介します!
睡眠の満足度と質
睡眠の満足度に関して調査をすると、66%の人が「全く満足していない」「あまり満足していない」と回答。その原因について、4割超の人が「暑さ」と回答していました。夏本番前の6月下旬の時点で暑さによる寝苦しさを感じていたようです。また、睡眠時にエアコンを一晩中つけたままにしている人は3割以下で、つけたままにしない主な理由として、「直接風が当たり冷えすぎるのが嫌だから」が挙げられました。
ここで、そもそも睡眠の質とは何が関係しているのか、睡眠評価研究機構代表であり、医学博士の白川修一郎先生に聞いてみました。
(独)国立精神・神経医療研究センター 客員研究員
江戸川大学睡眠研究所客員教授
【専門分野と研究・活動内容】睡眠科学、脳生理学
・睡眠科学、脳生理学を専門とする睡眠研究の第一人者
・広範な医療・福祉研究分野へ睡眠科学を導入し、脳の機能維持・改善や心の健康づくりのための指導を行う
・日本睡眠改善協議会理事長として睡眠改善インストラクター育成に従事
Q. 暑さで睡眠の質が下がる理由とは?
安定した眠りのカギを握っているのが、実は体温。人の体には、皮膚表面の体温とそれよりも少し高い『深部体温』と呼ばれる脳を含めた内臓の体温があります。夜になると手や足の表面から放熱して深部体温が下がることで、自然と眠気が高まります。ですが、寝室の温度や湿度が高いと、この深部体温が下がりづらくなり眠りにくくなってしまいます。
睡眠の満足度とコロナ禍との関係
約3割の人が、コロナ禍による睡眠の満足度の低下を感じていたようです。コロナ禍の特に初期は不安になることが多かったので、よく眠れないという人も多かったのではないでしょうか。また、家で過ごす時間が多くなって生活のリズムが崩れ、きちんと睡眠をとれていなかった人も中にはいたはず。
ここでも白川先生によると、強い心理的ストレスにさらされた場合、短期的に入眠困難や途中覚醒が生じ、不眠に陥って睡眠時間が短縮されてしまうことが多いそう。ストレスにより、脳・自律神経系とホルモン系に変異が生じ、睡眠が阻害されると推定されるそうです。
寝苦しい夜を改善!プロが教える熱帯夜の快眠マニュアル
熱帯夜で眠れないと感じるときは、エアコンを上手く活用することがカギ。ということで、パナソニック 睡眠改善インストラクターの菊池真由美さんから、エアコンを上手に活用して快眠できるコツを教えていただきました!
パナソニック アプライアンス社 コンシューマーマーケティングジャパン本部 商品センター マーケティング企画部所属。家電を使って睡眠環境を向上させるため、より専門的な知識を得たいと睡眠改善インストラクター(日本睡眠改善協議会認定)の資格を取得し、「快眠環境サポートサービス」を立ち上げる。同社内でも社員の睡眠の悩みに答える「眠りの先生」で、睡眠環境づくりに関する相談役も務めている。
コツ①エアコンは寝室に入る30分前にON、上に向けて風をあてておく
一般的には、室温26~28℃が心地よく眠れる環境だといわれていますが、温度同様に重要なのはエアコンを運転させるタイミング。ついやりがちな間違いが、布団に入ったタイミングでスイッチを入れること。日中に室内に溜め込んだ熱が、夜になっても天井や壁にこもっているため寝るタイミングでエアコンをつけても、室温が下がるまでに時間がかかることがあります。寝室に入る30分前にエアコンをONにし、上に向けて風をあてておくのが、効率よく良い睡眠環境を作るコツです。
コツ②タイマーは設定せず、設定温度は26度~28度に
快適な寝室環境を保つには、冷房モードで設定温度を26~28℃にするか、除湿モードに。
特に熱帯夜は途中で運転を停止する設定にはせずに、冷えすぎない温度で朝までつけっぱなしにしましょう。途中で運転を停止してしまうと、その後室温が上がると共に寝苦しくなり途中で目覚めてしまう原因になります。
理想は、就寝中も寝室の温度をコントロールすること。就寝前は少し温度を下げることで深部体温を下げ、就寝中は温度を下げすぎず、目覚めに向けて少しずつ温度を上げることです。そうすることで、快適に就寝でき、さらに目覚めがよくなります。
コツ③湿度は60%以下に保つ
夏場は湿度が高くなりやすく、寝苦しくなりがちです。湿度が高すぎると、途中で目覚めてしまう原因にもなります。夏場は、寝室の温度だけでなく湿度にも注意しましょう。
寝室の湿度は60%以下に保つことが重要です。
湿度が高い時はエアコンの温度を下げる、または、エアコンを除湿運転する、といった対応をおすすめします。
コツ④扇風機との併用使いがおすすめ
前述の調査結果で、エアコンを一晩中つけっぱなしにしない理由として、半数が「直接風が当たり冷えすぎるのが嫌だから」と答えたように、エアコンの風が苦手という人も多くいるかもしれません。そういった方は温度を下げすぎてしまっていることも考えられます。エアコンの温度設定は下げすぎず、ただ、どうしても室温が高くて寝入りが悪いという方は、扇風機を併用することもお勧めです。その際は、表面に太い血管の通っている足首あたりに風を当てると深部体温が下がりやすく寝入りが良くなります*。
*風を長時間体に当てないでください。健康を害することがあります。
コツ⑤寝る1時間前までにバスタブで入浴、温度は夏でも38~40℃
深部体温をスムーズに下げるためには、反動を利用するのがコツ。意外と大切なのがバスタブに浸かって入浴することです。夏でも38~40℃のお風呂に、10~20分ほどつかるのがおすすめ。入浴することで深部体温は約0.2~0.3℃上がるといわれており、一度上がった深部体温は反動で下げようとする体の性質があり、この落差が寝入りやすさにつながります。上がった深部体温は約1時間ほどかけて徐々に下がり、この時に眠気が高まるのでタイミングを逃さず布団に入れるように、入浴時間を調整してみましょう。また、深部体温を下げるために入浴前から寝室とリビングをエアコンで快適な温湿度にしておくこともポイントです。
夏場はシャワーだけという場合でも、足首・手首・首の後ろなど太い血管が通っている部分に合計5分ほど少し熱めのシャワーを当てることで、効率よく深部体温を上げることができます。夏はシャワーしか浴びない、という人はお湯を当てる位置と時間を意識してみましょう。
コツ⑥リビングや浴室の照度は控えめに
夜間は目から入る光の量が減るほど、睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌されやすくなります。入浴前に、リビングの照明をリラックスできるオレンジ色などにしておきましょう。また、浴室内は天井も低く、照明器具が目に近いところにあるため、入浴時に浴室の電気が明るい場合は、照明を消して脱衣所の灯りだけにするか、浴室用の防水間接照明を利用するのも効果的です。ただし、照度を落とす場合は十分に周りに気をつけてください。
コツ⑦パジャマはゆったりとした長袖・長ズボンが理想的
質の良い睡眠のためにパジャマは大きな役割を果たします。睡眠中には、コップ一杯の汗をかくといわれています。大量の汗をかくことで、背中と敷き布団の間の湿度が高くなり寝苦しさを感じるため、しっかり汗を吸ってくれる綿やシルク製のパジャマの着用がおすすめ。夏には「半袖・半ズボン」という人も多いですが、寝具から出た手首や足首に直接冷気が当たり体を冷やし過ぎてしまい、快眠が妨げられてしまうことがあります。また、全身にかく汗を吸収するためにも、夏でもゆったりとした長袖・長ズボンが理想的です。
コツ⑧在宅勤務の人は「入眠儀式」を意識すべし
寝入りを良くしてぐっすり眠るためには、『入眠儀式(ルーティン)』というものも大切です。寝る前に習慣的に同じことをすることによって、脳が『これから寝るんだ』というモードに入り、より眠りやすくなります。
例えば、部屋着と寝間着が同じでそのままベットや布団に入るという人は、寝間着を別に用意しておくのがおすすめ。部屋着から寝間着に着替えるという『儀式』を行うことで、脳のスイッチを切り替えるきっかけにしましょう。
最近では、在宅勤務の方も増えているため、部屋着のまま仕事をしたり、部屋で過ごし、そのまま寝ている人もいるかもしれません。そうなると、脳のスイッチが切り替わらずにいつまでも寝られない、ということが起きてしまいます。「在宅勤務になってから寝付きが悪くなった…」など、睡眠に関する不調を感じる方は、この『入眠儀式』をつくってみると良いかもしれません。
夏バテや熱中症の予防にも、日々の睡眠は大切ですよね。今日から試せることばかりなので、ぜひトライしてみてください。今年の夏も暑くなりそうですが、快眠マニュアルで暑さ知らずな快適な睡眠を手に入れましょう! (岩川菜奈)
情報提供元/パナソニック株式会社