意外とやりがち?相手と対立した時にやってはいけないNGアクション

相手と対立した時にやってはいけないNGアクション

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社会生活を送っていると、どうしても意見が対立してしまうことってありますよね。そんなとき、なるべくなら平和的な解決へと持っていきたいところ。相手の意見に耳を傾けつつも、自分の主張を上手に通すにはどこに留意すればいいのでしょう……!? そこで今回は、心理学の観点から「相手と対立した時にやってはいけないNGアクション」をご紹介いたします。 

■反論は一度相手を受け入れてから

対立していると、どうしても相手の意見に反対したくなるもの。でも、それはNGなアクションだと言えます。心理学者のドリスコールは、親愛と妨害の相関関係を調べました。その結果、妨害度が高いグループほど友好度が低かったそうです。これをケンカなどに当てはめると、相手の意見に対して反対意見を言えば言うほど、抵抗される結果になってしまうのです。これを“心理的リアクタンス”と言います。そのため、対立した際はなるべく相手に反論をしないほうが、スムーズに事が進むのです。どうしても受容できない場合でも、一度は受け入れる姿勢を見せましょう。

■相手が間違っていると決めつけて話さない

対立がエスカレートすると、どうしても「売り言葉に買い言葉」のように、相手に思ってもいないネガティブな発言をしてしまいがちですよね。でも、そこで一度立ち止まる冷静さを持つようにしましょう。ハーバード大学の心理学者・ローゼンタールは、期待が相手にどのような効果をもたらすのかを実験しました。その実験によると、期待されると相手はそれに応えようという心理があることがわかったのです。これを“ピグマリオン効果”といいます。ポジティブな期待(あなたは正しい等)をすれば、相手はその通りになっていくでしょうが、ネガティブな期待、つまり間違っていると決めつけるような発言をしてしまうと、相手はその通りになってしまうでしょう。対立しても、相手を悪く言うのは避けましょう。

■ディベートする際には正面に向き合って座らない

もしもあなたが、誰かと対立した時に気をつけることがあるとすれば、それは座る位置です。米国の心理学者であるスティンザーによると、ケンカをした相手の正面に座ると反論をぶつけられる傾向が高くなるそうです。さらに、ひとつの意見が終わった直後の発言は、肯定的なものよりも否定的なものが多くなるという実験結果も出ています。そのため、いざ意見を戦わせる際には、真正面に向き合うのではなく必ず横もしくは斜めに座るようにしましょう。それだけで、火種が鎮火しやすくなるのです。

■話し合いが終わったら「いい会話だった」とフォロー

対立すれば、お互いの嫌な面が見えてくることもあると思います。知らない者同士が意見を戦わせていくので、不満が出てきたとしても当然ですよね。でも、そこで関係を生産的なものにしていく上で大切な発想があります。米国のカーニーとクムーズの実験によると、当初の関係(初期段階)を振り返ると実際よりも低く評価しているという結果がわかりました。つまり、人は「昔に比べれば今の方がいい関係だ」と思う傾向があるということです。このように、過去の記憶を変えてしまうことを、“記憶の編集”と言います。過去の対立はひどかったと記憶を作り替えることで、現在の不満をやわらげる心理がはたらく傾向があるのです。そこで、対立をして意見を戦わせた後には「話し合いができてよかった」と、現在の不満をやわらげる方向にもっていきましょう。フォローを入れることで相手も納得してくれて、平和的な方向へ向かっていくはずです。

おわりに

日本の文豪・夏目漱石は「智に働けば角が立つ。情に棹せば流される。意地を通せば窮屈だ」いうフレーズを世に残しました。たしかに相手の意見ばかりを尊重していてばかりだと、自分の言いたいことを言えずに流されてしまいます。しかしだからと言って、自分の主張ばかりを通すと窮屈になってしまいます。生産的な解決策としては、対立したときに感情的にならず調和的な姿勢を見せて意見を述べることなのかもしれませんね。(脇田尚揮)

脇田尚揮
認定心理士。Ameba公式No.1占い師として雑誌やTVなどに取り上げられ、テレビ東京「なないろ日和」にてレギュラーコーナー担当。また、自身が監修したアプリ 「マル見え心理テスト」はTBS 「王様のブランチ」 などでも紹介され、120万DL。著書『生まれた日はすべてを知っている。』(河出書房新社)。