生活していくにあたって、お金への不安はつきもの。特に近年は年金問題やコロナ禍の影響でさらにその不安感が強まっています。
今回は松井証券株式会社が全国の25歳(以下:Z世代)、35歳(以下:ミレニアル世代)、55歳(以下:バブル世代)の男女・合計600名を対象に行った『世代別「お金事情」に関する実態調査』を基に各世代の「お金にまつわる価値観」を比較します。
周りの傾向を参考にしながら、ぜひご自身の価値観や行動を見つめ直すきっかけにしてみてくださいね。それでは早速見ていきましょう!
「ローンで買う」よりも「安価な類似品を買う」傾向に
『あなたが25歳のときのことについて、貯蓄額がないと仮定し、収入の1/2(半分)にあたるものを購入する際の行動』を尋ねました。
全世代で「貯蓄が貯まったら買う」が半数以上(54.7%)を占める結果に。一方で2位で比較するとZ・ミレニアル世代では、「安価な類似商品を買う」、バブル世代では「ローンして買う」という結果となり、Z・ミレニアル世代とバブル世代でのギャップが明らかとなりました。
結果の内訳は以下の通り。「貯蓄が貯まったら買う」という回答ではZ世代(48.5%)、ミレニアル世代(59.5%)、バブル世代(56.0)となりました。「貯蓄が溜まったら買う」に次ぐ回答は、Z世代とミレニアル世代では「安価な類似商品を買う」(21.5%)、ミレニアル世代(20.5%)に対し、バブル世代は「ローンして買う(32.0%)」と回答しています。
Z世代は約9割が毎月貯蓄、「使う金額<貯蓄額」と堅実的!
次いで、『あなたが25歳のときに、月に自由に使えた(使える)金額と、貯蓄に回していた(回している)金額』について尋ねました。
自由に使える金額は、Z世代「5.1万円」、ミレニアル世代「5.4万円」、バブル世代「6.1万円」という結果に。月の貯蓄額は、Z世代「5.9万円」、ミレニアル世代「5.0万円」、バブル世代「4.1万円」となりました。
世代が若くなるにつれて、自由に使えるお金は減るものの蓄額は増加傾向にあり、3世代で唯一Z世代が自由に使えるお金を貯蓄額が上回る結果となりました。
また、3割以上(33.0%)のバブル世代が「貯蓄ゼロ」と回答したのに対し、Z世代は約9割(87.0%)が毎月貯蓄していることがわかりギャップが大きいことが分かります。
Z世代の貯蓄傾向は早期リタイア希望の表れ!? 転職には前向き傾向
『転職に対する価値観』を尋ねたところ、「若いうちに転職するのは良い(28.8%)」が全体として最も多い回答になりました。
世代別では、「若いうちに転職するのは良い」がZ世代(34.5%)、バブル世代(31.5%)と最も多い回結果に。一方でミレニアル世代は「転職に抵抗がある(28.5%)」が最も多く、ミレニアル世代が他の世代と差が出る結果となりました。
また、『理想の週休日数』を尋ねた回答では、全体の回答として「週休2日制(45.7%)」が最も多い結果に。世代別では、「週休2日制」がZ世代(48.0%)とバブル世代(48.5%)で1位を獲得。一方、ミレニアル世代では「週休3日制(42.5%)」が最も多い結果となりました。
さらに、『理想のリタイア年齢』の回答は、Z世代「平均56.7歳」、ミレニアル世代「59.2歳」、バブル世代「63.5歳」と、若い世代ほど早いリタイアを理想としていることがわかりました。若い世代の貯蓄傾向はこうした希望の表れとも言えるかもしれません。
世代平均より環境が「良い」と思っているのはZ世代だけ!
『同世代と比較した、ご自身の今の環境※』について尋ねました。
Z世代では「平均(42.5%)」が最も多く、次いで「良い(31.5%)」、「悪い(26.0%)」という回答に。ミレニアル世代とバブル世代では「悪い」が最も多く、それぞれ約4割(ミレニアル世代「37.5%」、バブル世代「40.0%」)を占める結果となりました。
「悪い」と回答した方に理由を尋ねたところ、1位は「お金関係に不安があるから(86.5%)」、2位「仕事関係(36.2%)」3位「人間関係(23.7%)」という結果に。
世代別で見ても、お金関係の不安を理由にあげたのは、Z世代「78.8%」、ミレニアル世代「85.3%」、バブル世代「92.5%」となり、世代が上がるにつれてお金関係の不安を持っている人が多いことが分かります。
お金の不安を感じ始める時期が20年も早まった!?Z世代は22.7歳で不安に
「お金に関する不安を抱えている」と回答した390人を対象に、『不安を抱え始めた年齢』を尋ねました。
結果はZ世代「22.7歳」、ミレニアル世代「27.8歳」、バブル世代「44.3歳」と、若い世代ほど早い段階でお金の不安を感じていることがわかりました。
『お金に関する不安を解消するために行っていること』を尋ねると、1位「支出の節約(44.6%)」、2位「資産形成/資産運用(42.8%)」、3位「お金に関する勉強(25.4%)」という結果に。
世代別の結果ではZ世代は、1位「支出の節約(46.5%)」、2位「資産形成/資産運用(40.2%)」、3位「お金に関する勉強(31.5%)」。ミレニアル世代では、1位「資産形成/資産運用(51.2%)」、2位「支出の節約(43.2%)」、3位「お金に関する勉強(26.4%)」。バブル世代では、1位「支出の節約(44.2%)」、2位「資産形成/資産運用(37.7%)」、3位「行っていることはない(31.2%)」となりました。
一方で、バブル世代で3位にあがった「何も行ってない」と回答した割合は、Z世代「16.5%」、ミレニアル世代「20.8%」、バブル世代「31.2%」と差があることが分かりました。Z世代では8割以上がお金の不安解消のために行動を起こしているようです。
2人に1人が「お金の不安は早い時期からの行動が必要」と後悔
『いつから不安を解消するための行動を行い始めたか』を尋ねたました。すると1年以内では、Z世代「38.7%」、ミレニアル世代「23.2%」、バブル世代「29.5%」となり、Z世代が最も行動が早い結果となりました。
なお、3年以内に行動した人に範囲を広げると、Z世代「87.8%」、バブル世代「47.4%」という結果に。Z世代とバブル世代で約40%の差が明らかとなりました。
また、『早い時期からお金の不安を解消するために行動すべきだったと後悔しているか』と尋ねたところ、全世代の半数が「後悔している」と回答しました。早めの行動が重要になってくるようです。
今回の調査によって、お金の不安は全世代に共通していることがわかりました。なかでも若い世代ほどその不安感は強く、貯蓄傾向や早めの対策という行動に現れているようです。先の見えない今だからこそ、これを機に今一度自分の価値観や行動を見つめ直してみてはいかがでしょうか。(山口彩楓)