働く知的な女性のためのファッションを提案する雑誌『Oggi』。編集長の加藤睦美さんに2014年を振り返るインタビューをお願いしました。その中で出てきた「エフォートレス」という言葉は、2014年のファッションを語る上で外せないキーワードとなっているようです。
インタビュー1回目では、2014年のファッションの流行をおさらいしながら、気になる「エフォートレス」の正体に迫ります。そのなかで、意外なアイテムが“バカ売れ”したという事実も発覚! それは一体?
Woman Insight(以下、WI) 2014年、『Oggi』読者に人気だったアイテム、流行したアイテムはどのようなものでしたか?
加藤編集長(以下、加藤) とにかく、スカートが流行った年でした。Oggi読者は元々パンツ派が多く、週5日パンツスタイルという方もいましたが、今では、“平均で週3日はスカートをはく”というぐらい、1年を通してスカートを仕事服で着る機会が増えたようです。
WI 春夏と秋冬で、流行したスカートの形に変化はありましたか?
加藤 春先からは、“ひざ丈のタイトスカート”が急に流行り出した感じです。その後はそれが定着して、秋冬からは“ミモレ丈スカート”が出てきたりと、久々にスカートの丈も変わった1年でもありました。『Oggi』11月号でも「旬丈スカート」という特集で、丈が長くなったスカートを紹介しましたが、すごく売れた号でした。スカートの丈に合わせて、今年は、コート丈にも変化があったよう感じます。コートもひざ丈だったり、長いスカート丈に合わせやすいショート丈だったり……と、昨年のコート丈と長さが変わってきているので、今年、買い替えた人も多かったようです。
↑『Oggi』2014年11月号、「ちょっと上級?意外に簡単!『ミモレ丈スカート』」より。
WI ファッションの流行色に変化はありますか?
加藤 ブラック、ホワイト、グレーに加えて、ネイビーがベーシックカラー化したという印象です。洋服だけでなく、ネイビーを取り入れた小物も増えました。ネイビー以外では、ベージュ、ホワイト、ブルーの3色を使った「ミラノトリコロール」という企画が人気でしたね。ベージュは“老ける色”というイメージがあって、しばらく敬遠されていたのですが、今年は最注目された年でした。
WI アラサーの働く女性といえば、“黒”で決めるようなイメージがありましたが、全身を黒いアイテムでそろえる……という人は最近ではあまり見かけませんよね。
加藤 たしかに、アイテムに黒を選ぶ分量が減ったイメージがありますね。もちろんコーディネートのひとつとして黒のアイテムも使いますが、黒が減ったように見えるのは、黒の代わりにネイビーを使うことが増えたからかもしれません。ネイビーを取り入れることで、こなれ感も出るし、明るく、清潔感がある感じに見えますよね。ファッションは今、“抜け感”に注目が集まっています。“抜け感”や“こなれ感”、“力が抜けた感じ”を、ファッション業界では「エフォートレス」と言うのですが、黒が多いと、重すぎて抜け感が出ず、今の気分を表現しづらいのです。
↑2014年1月号、「小物は『色別×セット使い』するのが、洗練の鉄則です!」より。
WI “意外な商品が売れた”というトピックやアイテムはありましたか?
加藤 今年すごく売れたのは、“雨”関係のアイテムですね。主に梅雨シーズンに使う商品ですが、雨が続くと「今日の靴はどうしよう」って思うことありますよね。数年前に長靴ブームがあって買った方も多いと思いますが、仕事靴にするにはラフすぎるし、帰るころに雨があがっているといたたまれないというか(笑)。それで、雨が止んでも、オフィスの中でも、履いていて恥ずかしくない靴が欲しい……と期待に応えるように、J.Mウェストンのショートブーツ、そして、マッキントッシュフィロソフィーのレースアップ型の黒のエナメル調のシューズが発売されて、それらがよく売れていました。どちらもパッと見、普通のブーツやシューズと変わりがないので、いつものコーディネートと違和感がなかったのがヒットの秘訣だと思います。
働く女性待望の、おしゃれで実用的な“雨靴”が大ヒットした今年。そして、パンツ派の『Oggi』読者の心も動かした、「スカート」ブームも2014年を語る上で欠かせないアイテムでした。次回、人気だった企画から見えてきた、働くアラサーの”恋愛観”をご紹介します。(さとうのりこ)
【編集長インタビューシリーズ】
※CanCam編集長が語る、2014年に出現した”プチバブル世代”。その正体とは!?
※AneCan編集長が語る2014年ファッションの変化「先取ることの難しさ」とは!?
※NO.1美容誌『美的』編集長が語る、読者が求める”大人の色っぽさ”とは
※「メンズの2014年は”○○○”一辺倒」MEN’S Prescious編集長インタビュー
※『和樂』編集長が的中させた2014年の大ブーム「○○文化」とは!?
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※【女子のリアル平均】20~30代女性が今までに「振られた回数」は、意外にも平均○回
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