嫌われずに自分の意見を相手に伝えるための心理テクニック

嫌われずに自分の意見を相手に伝えるための心理テクニック

(c)shutterstock.com

自分の意見を相手に主張する際、多かれ少なかれ意見のすれ違いや対立が起こるもの。どんなに仲の良い恋人でも、完璧に意見が一致することはそうそうありません。でも、自分の意見を抑えて言いたいことを言わないのは、ストレスになってしまいます。そこで今回は、「嫌われずに自分の意見を相手に伝えるための心理テクニック」をご紹介いたします。 

■五感に訴えかけることで受け入れやすくなる

話し方や数字で相手を納得させるやり方はいろいろとありますが、実はそういったロジックとは全然関係ないところに、相手に意見を通しやすくする方法があります。それは、実物を直接見せるということ。アステルダム大学のバン・デン・プッテ博士は、理屈で言いたいことを説明するより分かりやすくシンプルに“感情に訴える”ほうが、相手が受け入れやすいということを実証しています。そのため、目で見て触れられるものなど“五感”に訴えかけるのが反感を持たれずに伝えるためのコツなのです。

■少し早口なくらいの方が聞き入れてもらえる

人に自分の意見を通そうとするとき、ゆっくり丁寧に話す方がいいのか、それとも早口で話す方がいいのか、どちらなのでしょう。南ジョージア大学のステファン・スミス博士は、1分間に220ワードで話した方が180ワードで話した方が、相手に信頼されやすいというデータを発表しています。なぜなら、早口には“熱意”がこもっていると捉えられやすいからなのです。「この人は一生懸命に伝えたいことを話しているんだ」と真摯さを感じさせられるため、嫌われずに言いたいことを伝えられるでしょう。

■論理的に説得するより愛嬌で感情にはたらきかける

人と人が会話をするときは、言葉の内容だけでなく表情やしぐさ、服装などの視覚的要素なども含めて、相手が伝えたいことを認識しています。これを心理学では“ノンバーバル・コミュニケーション”と言います。言語は左脳に働きかけるのに対し、非言語は右脳に働きかけるとされ、なんとその差に5000倍もの効力があるとされています。そのため、表情・リアクション・身なりを整えるよう心がけることで、相手に反感を持たれずに説得しやすくなるのです。言いたいことを伝えたいときは、表情を豊かにリアクションは大きく、衣服は小綺麗にすることを心がけてみましょう。

■話の中にドラマ(ピーク)をもってくる

たいていの人は、内心では自分の意見が正しいと思っている(思い込んでいる)ことが少なくありません。相手に不快感を持たれずに意見を通すには、話の運び方を考えてみましょう。そこで大切なのは会話に“ピーク”を持ってくること。トークが面白い人は、話の展開がドラマチックでストーリーに抑揚があるものですよね。この話術の効力を、心理学では“ドラマ効果”と言います。カナダのシュバット博士の実験によると、ドラマ仕立ての方が相手の共感を得て説得効果が上がったとされます。そのため、ドラマチックな話法で相手を引き込むのが有効なのです。

おわりに

夏目漱石の言葉に「知に働けば角が立つ、情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ」というものがあります。確かに社会生活はそのような人間関係の中で生活していかなくてはなりません。しかし、相手を不快にさせずに自分の意見を通すことができれば、かなり楽に世の中を渡り歩くことができるようになります。対人ストレスを減らすためにも、伝え方を意識してみても良いのかもしれません。(脇田尚揮)

脇田尚揮
認定心理士。Ameba公式No.1占い師として雑誌やTVなどに取り上げられ、テレビ東京「なないろ日和」にてレギュラーコーナー担当。また、自身が監修したアプリ 「マル見え心理テスト」はTBS 「王様のブランチ」 などでも紹介され、120万DL。著書『生まれた日はすべてを知っている。』(河出書房新社)。