大人ニキビができた…原因・症状・対策スキンケア【形成外科専門医・西嶌順子先生監修】

大人ニキビとは、思春期を過ぎた20歳前後からでき始める吹き出物のこと。睡眠不足や食生活の乱れが原因になる場合が多く、10代よりも治りにくい傾向にあります。女の子にとって、メイク前の素肌のコンディションは、それ次第で1日の気分が決まってしまうくらい重要なもの。なるべく生まれたての赤ちゃん肌に近づけたい…、でも何が正しい情報なのかわからない。

そこで今回は、大人ニキビの原因や対策、間違ったスキンケア&改善策に至るまで『「無駄なケアをやめる」 から始める美肌スキンケアの新常識大全』(宝島社)が好評発売中の西嶌順子先生に取材を決行。形成外科専門医の観点から解説していただきました!

西嶌順子(にしじま・じゅんこ)先生。1978年生まれ。『恵比寿形成外科・美容クリニック』 院長。形成外科専門医・看護師・助産師・保健師の幅広い知識を持つ。医師としてだけではなく自らの妊娠・出産の実経験から「正しい情報を知り、10年後の肌、細胞、身体をより健やかに保ってほしい」という想いで等身大の情報を発信している。『「無駄なケアをやめる」 から始める美肌スキンケアの新常識大全』(宝島社)が現在好評発売中!公式Instagramはコチラ

大人ニキビの原因は?マスクもそのひとつ?

「マスクによって顔の下半分が高温多湿になり、外した後に過乾燥してしまう。コレはニキビの要因になりえます。湿度の急激な上がり/下がりを防ぐために、通気性の良いタイプのマスクを用いるといった工夫も必要かもしれません。不織布マスクに比べ、布マスクやウレタンマスクは感染防御力が落ちますが、その分通気性がよくなります

一方で、在宅勤務が増えてメイクをする機会が減少したことから、肌状態が改善したという人もいます。間違ったスキンケアをしている人も多いですからね。そして、大人ニキビは“コレが原因!”と絞るのは難しく、主に睡眠・食事・運動・ストレス・スキンケアといった部分の総合的な乱れによって出来てしまうものです」(西嶌先生)

大人ニキビができやすい人の特徴【チェックリスト15】

・洗顔の際に、ゴシゴシ洗ってしまう

・クレンジングを毎日しっかり行っている(ダブル洗顔をしている)

・化粧水を多めにつけたり、肌をパチパチ叩いてしまう

・乳液やクリームなど、油分の多いスキンケアを行っている

・リキッドタイプのファンデーションを使用することが多い

・ケーキ、チョコレート、アイスクリームといった乳脂肪や砂糖を含む菓子類やドリンクを好む

・生野菜を毎日食べる習慣がない

・仕事や家庭が忙しくで、生活リズムが不規則である

・職場あるいは家庭でストレスを感じることが多い

・スマホをいつもいじっており、寝る際も枕元にある

・風邪にかかりやすい

・マスクを付けながら、会話することが多い

・1日の睡眠時間は6時間以下である

・運動不足

・入浴頻度が少ない

0〜2点:ニキビができにくい肌作りができています。
3〜6点:ニキビができにくい肌環境までもう少しです。頑張りましょう。
7〜11点:ニキビが出来やすい肌環境です。ひとつひとつ改善していきましょう。
12〜15点:ニキビが極めて出来やすい肌環境です。意識改革しましょう。

大人ニキビの代表的な症状は?

「まず、思春期ニキビはおでこ&Tゾーンにできる傾向がある一方で、大人ニキビは口周りやフェイスライン周りにできやすく、痒みを伴うことも。そもそも、ニキビの原因と言われるアクネ菌は常在菌であり、10代であれ、40代であれ100%肌に存在するもの。ただ、大人になってからニキビができやすくなったという人のなかには、敏感肌や乾燥肌が常態化している人が多いです。

さらに、10代のころに比べてターンオーバーが遅くなるため、思春期ニキビよりも慢性化しやすい、治りにくい、跡が残りやすいといった問題もありますね」(西嶌先生)

大人ニキビの治し方は?

「潰したり、自分で必要以上に触ったりせずに、なるべく早く専門医に相談に行ってください。炎症がひどくなると、跡が残りやすくなってしまいます。また、ニキビを隠すようにコンシーラーやファンデーションを被せてしまうのはなるべくやめましょう。化粧品に含まれる油分が、さらに悪化させてしまいます。

私たちは、ニキビを治していく過程を“傷口の治癒”と同じように捉えます。擦り傷や切り傷ができたとき、なるべく触らずに大事にして人体の再生力で治していきますよね。その感覚で、むやみに自分で触ったりせず、気になる場合は診療を受けてください。最近では症状がひどくなるよりも初期の段階、微小面皰と言われる見た目ではほとんどわからないレベルのものに効果的な外用薬も、保険が適用されるようになりました。

思春期ニキビのときに、ドラッグストアで手に入れた市販薬が効いていても、根本的な原因が異なる大人ニキビに同じように効くとは限りません。とある研究によれば、日本ではニキビに悩む人で、“市販薬を使う人”は全体の約36%、“スキンケアで対策をする人”は約35%、“受診する人”は約10%。そして“何もしない人”は22%にも上ると言われています。もっと早くお医者さんに相談していれば良かった、なんてこともあるかもしれません」(西嶌先生)

大人ニキビができにくい肌を作るための対策は?

「日常生活のなかで改善できることは、大きく食事面などのインナーケア・基礎化粧などのスキンケア・ストレスなどライフスタイルの3カテゴリーに分けられます。

<インナーケア>

・プロバイオティクス(生きたまま腸内に届いて人体に良い影響を与える微生物、あるいはそれを含んだ食品)を多く摂取する。例えば、味噌/醤油/キムチ/チーズなど。

・プレバイオティクス(食物繊維やオリゴ糖など、善玉菌のエサになる食品)を多く摂取する。例えば、野菜、キノコ類、海藻類、果物など。

タンパク質(肉/魚/卵など)+ビタミンC(ブロッコリー/レモンなど)&鉄(レバー/アサリなど)でコラーゲンを生成しやすく整える。

・デトックス成分(活性炭/ゼオライトなど)の摂取や断食(ファスティング)により、体内の有害・老化物質を除去する。

・食事で十分なケアができないときはサプリメントを効果的に用いる。

〈HIGHERSELF〉The Clean
西嶌先生が開発した、体内美容サプリメント。活性炭、善玉菌、食物繊維の3つに着目し、身体の内側から美しさをサポートするための土台をつくる美容サプリ。

<アウターケア>

・洗顔料を用いたケアは夜だけで、朝はぬるま湯でやさしくすすぐくらいでOK。天然のクリームである皮脂を奪いすぎてしまうため、クレンジングの使用は最低限に抑え、石けんで落ちるような優しいメイク用品を使うこともPOINT。

・化粧水は短期的には潤いをもたらすものの、長期的にはかえって乾燥を引き起こす原因にもなるため注意が必要。そもそも、子どもの頃は何も塗らなくても乾燥しなかった人も多いはずで、それは肌全体のバリア機能が正常に作動しているため。何も塗らなくても乾燥しないような、細胞レベルで健やかさが保たれた肌を目指しましょう。

・美容液や乳液などスキンケアアイテム全般には、合成ポリマーや合成界面活性剤が含まれている場合が多く、それらは肌のバリア機能を攻撃してしまう恐れがある。肌なじみの良いものや、とろみを強く感じるものは内容成分を確認して使用を控える。

<ライフスタイル>

・定期的に、携帯やパソコン、Wi-Fiなどの電源をOFFにする“デジタルデトックス”をする。

・入浴回数を増やす。そのときシャワーヘッドは塩素除去タイプに付け替えたり、浴槽に塩素除去剤を入れる

・ストレス環境の多い場所を出来るだけ避ける。

・エスカレーターではなく階段を上り下りするなど、些細な運動グセを付ける

・最低1日6時間以上の睡眠時間を保つ。

大人ニキビの原因は、さまざまな理由が絡まり合っている場合が多いため、あらゆる観点から実生活を見直す必要があります。ただ、肌のバリア機能を一度正常に戻すことができれば、その後できてしまったニキビも悪化しにくくなったり、他の肌トラブルも未然に防いだりできます。飾らない自分を大切に、ナチュラルビューティーを目指す女の子が増えてくれると嬉しいです!」(西嶌先生)


西嶌先生、ありがとうございました!今まで、化粧水~乳液~美容液~クリームとあたりまえに塗っていたもの。もし肌の調子が整わなかったり、最近大人ニキビが増えてきたと感じる方は、自分の使用しているスキンケア製品を見直して、必要に応じて引き算してあげた方が素肌のためになるかもしれません。

ニキビのことだけでなく、今までの常識が覆ってしまうような目からウロコの知識がたくさん詰まった西嶌順子先生の初著書『「無駄なケアをやめる」から始める美肌スキンケアの新常識大全』(宝島社)が好評発売中です。ぜひお手にとってみてくださいね!

西嶌順子『「無駄なケアをやめる」から始める美肌スキンケアの新常識大全』(宝島社)四六判/192ページ1,540円(税込み)
 取材・文/佐々木菜摘