「ゆとり以上バリキャリ未満の女たち」連載が大好評。待望の第2弾スタート!
「ゆとり以上バリキャリ未満」を生きる女子のルポルタージュ・大好評につき第2弾がスタート!
ドラマみたいなキラキラした職場に憧れて入社。…のはずが、配属は埼玉営業所での汗だく飛び込み営業!
でも、そこでヘコむ桜子ではない。憧れの自分に近づくための決死の逆転劇が、ここから始まった。
南 桜子(仮名)31歳/IT企業 広報
1986年生まれ、東京都港区在住(ひとり暮らし)
職歴/音楽大学卒業後、IT企業に入社。約2年3か月間の営業職を経て、広報担当に。現在入社9年目。
似ているタレント/木村文乃
理想のタイプ/大沢たかお
Vol.1 キラキラOLのはずが、飛び込み営業に! 働きマンの逆転劇スタート
『働きマン』『ハケンの品格』……お仕事ドラマに憧れて
都心の高層ビル、IT化のおしゃれオフィス、タブレット片手にプレゼン、ひざ丈スカートにハイヒール、そして長身イケメンとの恋愛…。“ドラマみたいな職場”に、ずっと憧れていた。就職活動のときも業種は絞らず、そんな憧れが叶いそうな100社以上にエントリーシートを出し、60社の面接を受け、10社ほどから内定をもらった。
「リーマンショック前でしたけど、内定もらえない子もけっこういて、私はいいほうだったかもしれません。環境が厳しいなら、たくさんエントリーして、たくさん受けるしかない。100社もエントリーしたのは、私が通っていた音大の生徒たちにはいなかったと思います。結局、すごく行きたかったテレビ局には最終で落ちてしまって、その後にITやエンタメ系の内定が出て、その中から、一番大手の今の会社に決めました。
“ドラマみたいな職場”にいちばん近かったのも、この会社でした。都心のMビル本社は緊張するくらいピカピカだったし、受付嬢はモデルみたいにきれいなお姉さんばかり。そこで働く先輩たちは、この業界が伸びてる真っ最中だということを、キラキラした目で話してくれる…。あぁ、この中で働きたいって思いました。
私たち2009年入社は約500人の大量採用。その後は、どんどん採用が減っていったので、ちょうど運がよかったです。ドラマでいえば『働きマン』『ハケンの品格』とかが流行ったころ。そういうお仕事ドラマが大好きなんです、私(笑)」
大量採用なだけに、内定をもらってからがスタートだということは、よくわかっていた。だから桜子は、遊びにも行かずに内定者バイトをだれよりも頑張った。東京郊外の実家を早々に出て、本社に通いやすい二子玉川に引っ越した。
配属は決まっていなかったが、すべては、Mビル本社に配属されるための地道な努力だ。
「そのころ、会社は業務を拡大していて、営業所を増やしていたので、そこへの配属の可能性もありました。でも、輝くMビル本社で働かないことには、ドラマ気分は味わえない。内定者バイトでは成績も残せたし、みんなより一足先に先輩方とも少しだけ関わることもできたし、東京住まいの人は基本的には東京勤務になるはず、とも聞いていました。だから、本社に配属されるだろうと期待を抱いていたけれど…。
それが。入社研修後に発表された配属地は、まさかの埼玉の営業所。えっ!?? 何かの間違いではないでしょうか? 人事に電話してしまいました。でも…、間違いではなかったのです」
二子玉川のマンションから配属先の埼玉の営業所までは、電車を乗り継いで約2時間。営業所の近くに引っ越そうかとも考えたが、そのまま一生埼玉から出られなくなりそうな気がした。だから、意地でも通ってやろうと思った。
配属の発表後、悩んだり人に相談したのは、ほんの一瞬。配属先での仕事がすぐに始まったこと、内定者バイト時代に親しくなった先輩社員から「タイミングがあったら必ず東京に呼んでやる」と言ってもらえたことで、「やるしかない」心境だった。もちろん悩まないわけじゃない。でも、悩んでいる自分は好きじゃなくて、それより体を動かしながら目指すものに近づく努力を早く始めたい。つまりは、早く本社で働けるように、一刻も早く成果を出すしかない。それが桜子の結論だった。