さて、ここまで2回にわたり「頭痛の要因」「天候と頭痛の関係」など、「気になる頭痛の最新事情」についてお伝えしてきました。
今回は「頭痛を減らす方法」をまとめてご紹介します。
頭痛外来の病院として有名な、秋葉原駅クリニックの院長、大和田潔先生にお話をうかがいました。
Q.頭痛を防ぐには、何に気を付けたらいいですか?
いちばん大切なのは、「サーカディアン・リズム」。これは寝る時間と起きる時間をきちんと一定にして、体にリズムを作ることを指します。
「寝る時間」と「起きる時間」は脳の血管に非常に影響を及ぼしていて、睡眠を規則正しくするだけで、頭痛の原因となる「脳血管の不安定」をかなり防ぐことができます。
大人なら最低でも6~7時間は睡眠時間が必要になります。
Q.6~7時間とのことですが、何時から何時がいい、などはありますか? たとえばすごく夜型の人で、朝4時に寝て、昼前に起きるのはどうでしょうか……。
時間が一定ならば、少し夜型で人より数時間ずれていても問題はありません。
けれど、人間の脳は光を見ると、睡眠に導いてくれるメラトニンというホルモンが止まります。季節によっては4時だともう明るいので、たとえきちんと7時間眠ったとしても浅い眠りになってしまう可能性があります。きちんと遮光カーテンを引いて、脳が「夜だ」と思えるような、夜の環境を作ってあげましょう。
ただ、聖路加国際病院の井部看護部長さんにお伺いした面白い話があります。数ヶ月の日勤と夜勤を繰り返しているフランスの看護師さんの話です。夜勤の看護師さんは、昼に寝て夜起きる、という一定のリズムで生活していても、夜勤の勤務期間が長いとガンの発生率が上昇してしまった、ということです。理由ははっきりわからないけれど、ずっと夜勤……というのは、月経が終わっていない女性にはよくないと考えられ、夜勤があまり長い期間にならないように日勤と交代するシステムにしたそうです。
頭痛だけでなく体全体の体調のことを考えると、やはりサーカディアンリズムは重要です。
Q.頭痛を防ぐため、他に何か気を付けることはありますか?
働いているときに、きちんと休憩を入れること。連続の労働は脳にすごく負担がかかって、長時間働きすぎるとどうしても頭痛が起きやすくなります。短くても、適切な休憩を入れるようにしましょう。こまめなトイレは、女性の膀胱炎の予防にもなります。
理想は、2~3時間に1回、トイレ休憩のついでにでもちょっと外に出て会社の周りを一周して仕事に戻るなど、軽く体を動かすこと。実際にこれで頭痛が減った人がいます。
女性の場合、月経の期間中は、免疫系の機能も下がって風邪を引きやすくなり、そこから片頭痛を起こしやすいで踏んだり蹴ったりになりやすいので、できるだけ睡眠時間と労働時間に気を配り、体をいたわって無理をしないようにしましょう。
私たちが考えているよりも、頭痛の予防策はとてもシンプル。
とにかく睡眠時間を整え、きちんと休憩をとる、クヨクヨしない……それだけでかなり改善してくるそうです。
けれど、それがなかなか難しい、もしくはそうしても頭痛が起きてしまう……そんなときの対処法を、次回お伝えします。(後藤香織)
次回はコチラ→ 【頭痛の治し方4】ガマンからも、痛みどめの乱用からも卒業!専門医に聞いた、正しい頭痛の治し方
【頭痛の治し方1】私たちが苦しむ「頭痛」って結局何?頭痛の専門医に聞きました
【頭痛の治し方2】低気圧と頭痛は関係ないって…ホント!?頭痛の専門医に聞きました
【頭痛の治し方3】頭痛の専門医に聞いた、頭痛を防ぐ、本当に正しい方法はコレ!
【頭痛の治し方4】ガマンからも、痛みどめの乱用からも卒業!専門医に聞いた、正しい頭痛の治し方
監修:秋葉原駅クリニック 大和田潔先生
東京都千代田区外神田1-18-19秋葉原駅前ビル4F
(2017年3月1日より、千代田区外神田佐久間町2−1大原ビル4Fへ移転)
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