「偏差値30台→東大合格」叶えた人に聞いた、一気にやる気が出る「目標の立て方」はコレ

2種類×2段階の「4つの目標」で必ず夢を叶える

勉強は学生時代だけでなく、社会人になってからも続けることが大切。
…と、頭ではわかっていても「少し勉強してみたものの、思うように進まず途中でやめてしまった…」と挫折を経験する人も少なくないですよね。そんなふうに、勉強がうまくいかない場合には、『目標設定』を見直すと、うまくいきやすくなる可能性大。

ここでは、偏差値30台の高校時代から東大に合格し、TOEIC950点超を含む8つの資格を独学で取得するなど、勉強において多くの結果を出している石黒由華さんの書籍『夢を先送りしない勉強法』(技術評論社)より、「だれでも、どんなに時間がなくても結果の出る勉強法」のノウハウをお届け。
今回は、勉強のモチベーション維持に役立つ「2×2の目標設定」についてご紹介します。

①目標は「2種類」つくるとうまくいく

3つも4つも目標があると、処理しきれないのは明白ですが、なぜ「1つ」よりも「2つ」がいいのでしょうか? その理由は、2つあったほうが、以下のメリットがあるからです。

◆モチベーションを維持しやすい

目標が1つしかないと、失敗した場合、自分自身が否定されたような気持ちになります。努力する過程でも「自分にはこれしかない」と思うと、プレッシャーが大きく、苦痛を感じてしまいます。完璧主義に走り、非効率な進め方をしてしまうことにもつながりかねません。

一方、目標が2つあると、「もしダメでももう1つがある」と思えることで、苦痛が軽減され、ラクな気持ちで取り組めます。「逃げ」をつくることで気持ちを軽くでき、結果的に最後まで継続しやすくなるのです。

また、片方の目標達成に向けた勉強をどうしてもやりたくないと感じたり、勉強に飽きてしまったりしたときに、そのやりたくない気持ちの反動で、もう片方に取りかかりやすいというメリットもあります。

◆相乗効果で学びがスピーディになる

さらに、片方で学んだことから、もう片方にも役立つ知識・スキル・考え方などが得られ、1つのことしか学んでいない時よりも驚くほどスピーディに学習できることがあります。これは「学習の転移」といって、教育心理学でも言われていることです。

たとえば、一見まったく関係なく思われる「英語」と「プログラミング」を同時に学んだときの例。プログラミング言語で用いられている言語は英語であるため、英語を同時に学ぶことで理解しやすくなり、習得スピードが速まりました。逆に、プログラミング学習で身につく論理的思考力は、英文作成スキルの向上に役立ちました。

「手をつけやすい目標」は必ず入れる

「手のつけやすい目標」とは、「やる気が出ないときでも何らかの行動を起こせる目標」のことです。逆に、「手をつけづらい目標」とは、「苦手だ」「初学である」などの理由で、目標に向けた行動を起こしづらい目標のこと。たとえ大好きで夢中になれることでも、負担が大きくて着手しづらい目標は、後者に当てはまります。

【「手をつけやすい目標」の具体例】

・得意なこと
・大好きなこと
・これまでに学んだ経験のあること
・楽しく学べること
・夢中になれること
・趣味や遊びの延長でできること

最終的に決定する「2種類の目標」のうち、どちらか片方でも「手をつけやすい目標」があれば、最初のエンジンをかけやすくなります。そしてもう片方は、最初のエンジンがかかり、やる気が出てきたところでうまく切り替えて学び始めればいいのです。

「手をつけやすい目標」でピンとくるものがなかったら…

「手をつけやすい目標」としてピンとくるものがない場合は、「語学」の勉強を選ぶといいでしょう。特に「英語」は、ほとんどのあらゆる職種や場面で必要とされますし、現代人が学んでおくべき必須スキルであり、おすすめです。

歴史や芸術(絵画や音楽)などの「教養」も、面白みがあって、手をつけやすいのではないでしょうか。最近では、宇宙飛行士候補の米田あゆさんが外科医をしながら芸術系大学院に通っていたことが話題になるなど、教養の価値が見直されています。

また、「読書」もアウトプットが求められず、疲れているときでもおこないやすいです。ビジネス書を読み、仕事術や時間術を学んだり、自分の職種や業界の知識を学べる本をパラパラとめくったりするだけなら、モチベーションに関わらず比較的手をつけやすいです。

②難易度から「2段階」の目標を立てる

高すぎる目標は、達成できないリスクも高く、うまくいかなかったときには挫折感や失望感を抱えることにもなってしまいます。だからといって、だれでもできる低い目標では意味がありません。そこで重要なのが、「難易度の高い目標」と「難易度の低い目標」の両方を組み合わせることです。

「難易度の高い目標」は、生きがいやモチベーションをもたらしてくれますし、「難易度の低い目標」ばかりを立てている人には到達できない高みにあなたを連れて行ってくれます。一方、「難易度の低い目標」は、「難易度の高い目標」に近づくためのステップになります。

目標は「数値化」して、難易度を測定可能にする

難易度を判断する際に、必ずやっておきたいのが「目標の数値化」です。達成までの計画を立てやすくなりますし、達成までの過程で、進捗や達成度を客観的に評価できるようになるからです。

【「英語ができるようになる」ことが目標の場合の例】

・TOEIC900点以上を取得する
・海外ドラマの1エピソードを、字幕なしで完璧に聞き取れるようになる
・英会話の役立つフレーズを100個覚える

【「Excelができるようになる」ことが目標の場合の例】

・MOSとVBAエキスパートの資格を9割以上の点数で合格する
・仕事に使えるExcel関数を50個覚える

目標達成に向けて必要な努力や改善点も見えてきて、「毎日1歩1歩確実に進んでいる」という感覚を持てるので、モチベーション維持にも役立ちます。

目標の「達成期日」を決める

◆人は締切日がないと、なかなか行動できないもの

目標設定に欠かせないのが、「達成期日」です。同じ目標でも、1ヶ月後に達成しなければならないのと、2年後に達成すればいいのとでは、難易度が当然変わってきます。

「いつかできるようになりたい」ではなく、「この日までに目標を達成するためには、1年後にここまで達成していなければならない。半年後は、1ヶ月後は…」と目標までの見通しをもって計画を立てることではじめて、目標達成に向けて具体的な行動がとれるようになります。以下に目標設定の例を見てみましょう。

【「2×2の目標設定」の例】

表では、理想とする目標は「1年でTOEIC900点以上」「東大大学院一発合格」ですが、もう1 つ、同じ目標でも期日にゆとりをもたせた目標(「2年~3年でTOEIC900点以上」「2回目の受験で東大大学院合格」)を設定しています。

このように、期日にゆとりのある目標をもう1つ設定することで、思うようにいかなかったときも挫折せずにがんばれますし、無理のない計画を立てやすくなります。

◆期日設定の目安

【理想の目標】
自分にそれなりの負荷やストレスをかければ達成できそうな期日を設定します。「ちょっと大変そう」「努力しなければ」と感じるレベルです。

【実力に合った目標】
今の自分のまま、ストレスなくゆったりと勉強しても達成できそうな期日を設定します。目標設定の時点では楽勝に見えても、実際にやってみると大変ということが多々あるので、目標としては少々物足りないと感じるくらいでちょうどいいです。

目標を「掲示」する

◆「いつも見えるところ」に掲げることで、1日1日は驚くほど変わっていく

目標が設定できたら、目標設定の表を自分がいつも見えるところに掲げましょう。目標が常に「見えている」というだけでも、日々の行動は変わってきます。

【掲示場所の例】

・机の上
・冷蔵庫の扉
・手帳のノートページ

費用も時間もかかりませんが、とても効果的な方法です。ぜひ試してみてください。

◆「一番信頼できる人」に宣言する

もう1つおすすめしたいのが、「目標を一番信頼できる人に宣言する」という方法です。宣言する相手は、あなたが一番信頼でき、ありのままの自分の姿を見せられる人。特に、褒め上手で、温かい人柄の人はおすすめです。目標に近づいていく過程で、喜びを共有し、褒めてくれるような相手がいることで、ぐっとモチベーションが高まるからです。ネガティブで否定的なことを言う人に宣言するのは逆効果です。

「目標を人に宣言する」というと、SNSなどで不特定多数に宣言するようなことを思い浮かべるかもしれませんが、あまりおすすめしません。過度なプレッシャーになってしまい、逆効果だからです。それよりも、1人か2人、自分の思いをしっかり共有できる人を選ぶことをおすすめします。


目標設定のさらに詳しいコツや勉強法が気になる、という方は、ぜひ書籍もあわせてチェックしてみてくださいね。

【書籍情報】

『夢を先送りしない勉強法』/技術評論社出版/¥1,760
石黒 由華(いしぐろ ゆか)
東京大学卒業。学生時代から20年以上勉強法を研究し、「だれでも、どんなに時間がなくても結果の出る勉強法」を考案。
高校時代は、学級崩壊しているクラスで「偏差値30台」だったところから、独自の勉強法を確立し、早慶上智、さらに東大に逆転合格。大学では教育学を学ぶ傍ら、大学受験雑誌のライター、全国模試の採点アルバイトを経験し、「結果の出る勉強法」をさらに深く研究。天才・秀才たちの集まる東大を「トップクラスの成績」で卒業。卒業後は、約500倍の倍率を突破し、マスコミ企業に就職。
その後も、限られた時間の中で仕事と勉強を両立、英語・IT・会計など8つの資格を「独学」で取得し、昇進やキャリアアップを果たす。中でも、英語では「TOEIC950点超」を取得したほか、留学経験ゼロで自己紹介もできなかったところから「Google社員レベル」と評価されるほどペラペラに話せるまでにレベルアップ。
結婚・出産後も、なかなか寝てくれない0歳児の子育てで自分の時間がほとんど作れない中で、「約半年で」東大大学院に合格。
趣味は、旅行、美術鑑賞、美容。世界遺産検定、美術検定、化粧品検定などを取得。大好きな趣味を楽しみ、充実したプライベートを過ごす。
 
構成/Mai 写真/(c)shutterstock.com