勉強を続けるのが苦手なあなたへ。挫折しない「目標設定」のコツ5つ

夢を叶えるための、はじめの一歩。東大卒の著者が教える「目標設定」のコツ

「こうなりたい!」という理想の姿がありながら、「忙しくて時間がない」「勉強が苦手」などの理由をつけて、勉強を先送りしてしまう人は多いのではないでしょうか。勉強で挫折しないためには、『目標設定』の段階でコツをつかむことが大切。

ここでは、偏差値30台の高校時代から東大に合格し、TOEIC950点超を含む8つの資格を独学で取得するなど、勉強において多くの結果を出している石黒由華さんの書籍『夢を先送りしない勉強法』(技術評論社)より、「だれでも、どんなに時間がなくても結果の出る勉強法」のノウハウをお届け。
今回は、夢を叶えるために欠かせない「目標設定(リストアップ)」のコツを5つご紹介します。

①他人の評価のために自分の心に嘘をつかない

『周囲が喜ぶから』という理由だけでなく、自分の思いを大切にすること

まず、自分が心の底から「やりたいこと」「できるようになりたいこと」を、思いつくままに書き出していきましょう。大きなことでも小さなことでもかまいません。ただ、「幸せになる」「英語ができるようになる」といった漠然としたものではなく、「海外部門に異動する」「TOEIC900点以上を取得する」など、具体的に書いてみてください。

ここで特に重要なのは、他人の評価のために自分の心に嘘をつかないこと。「正直興味がまったく湧かないけれど、まわりがやっているから学んでみる」「人から勧められたから仕方なく学ぶ」「安心したいから、嫌だけど学ぶ」という動機で目標を立てるのはおすすめしません。

【他人の評価基準で目標を立てるデメリット】

・目標達成に至るまでモチベーションを維持するのが難しく、挫折しやすい
・長い目でみると、達成する意義が薄い
・目標達成後も、その分野に本気で興味のある人たちとの競争に勝てず、自分の価値を上げづらい

②時間・費用・実力は一度忘れて、「理想の自分」を言葉にする

実現可能性や優先順位は、あとで考えればいい

「時間がない」「お金がかかる」「今の自分には実力が足りていない」…そういった考えは、一度忘れてしまってかまいません。自分の才能や情熱を発揮できること、自分の存在意義や使命感を感じられることをリストアップしていきましょう。楽しくてたまらないもの、興味をそそられるものを、ためらわずに言葉にしてみましょう。

【「理想の自分」リストアップ例】

・現在の勤務先で○○部門に異動したい
・昇進したい、年収アップしたい
・海外ドラマを字幕なしで8~9割理解できるようになりたい
・趣味を豊かにしたい(月1回は美術館に行く、美術検定や世界遺産検定を取得する)
・今年こそ海外旅行をしたい(ニューヨーク、ロンドン、パリ)
・引き締まった体づくりをしたい(週1回ジムやヨガスタジオに通う。ダイエット本を読む)

③本気で目指したい「ロールモデル」をリストアップする

自分の将来像が今よりも具体的に想像しやすくなり、目標達成に向けた計画も立てやすくなる

単純に自分のやりたいことをリストアップするだけでは、具体的な目標に気づけないことがあります。たとえば、「英語ができるようになりたい」とひと口に言っても、「どのような場面で英語が使えるということなのか?」「どのくらいのレベルでできることなのか?」など、さまざまな要素がありますよね。
そこで効果的なのが、ロールモデルを見つけ、その人の具体的な成果をリストアップすることです。

【「ロールモデル」のリストアップ例】

◆職場の○○さん
・英語で流暢に電話対応ができる
・海外出張に行き、英語でプレゼンや交渉をこなしている
・海外営業部で活躍している(昇進し、年収も高い)
・英会話スクールで一番上のクラスにいる
・TOEIC900点以上
・英文メールが書ける
・英文の電話やFAX、メールが来たときに、同僚から頼りにされることが多い

その人のどんな点に憧れるのか、どんな点を真似してみたいかを書き出しましょう。そうすることで、目標達成後のリターン(例:海外営業部で年収が高いなど)や、目標達成のための方法(例:英会話スクールAに通い、一番上のクラスにいるなど)が明確になります。

そして、キラキラと輝くロールモデルの存在は、あなたに、自分の目標に対する確信を与えてくれます。「こうなりたい!」と思える存在が可視化されることで、目標への意識が高まり、努力する力も湧いてきます。

◆ロールモデルの見つけ方

1.身近な人から見つける
職場の上司や同僚、友人や家族など。身近な人をロールモデルにすると、直接話を聞くことができたり、そばで観察できたりするメリットがあります。普段から関わりが持てるので学べることが多いですし、ありのままの姿を知ることができます。自分と何が違うのか、自分には何が足りないのか、自分との比較もしやすいです。

2.著名人から見つける
自分が興味のある分野の著名人や、自分が就きたい職種や業界で活躍している有名人など。大きな夢や高い目標を目指す人や、視野を広げたい場合は、著名人をロールモデルにすることをおすすめします。いま自分が生きている世界では思いつくことのない思考や価値観をもっていたり、成功の秘訣やノウハウを知っていたりすることが多く、刺激的で迫力があるからです。

著名人は、自分には手の届かないような存在に思えるかもしれません。しかし、本人へのインタビュー記事やネットなどでよくよく調べてみると、意外と自分にも真似できそうなところや、その存在に近づくためのヒントが見つかることも多いです。

また、受験勉強や資格試験の勉強に取り組みたい方々には、合格体験記を読むこともおすすめします

④理想の実現に役立つ「資格試験」をリストアップする

目標は「資格」に置き換えてしまうと便利

「目標あるところに資格あり」と言えるほど、たいていの目標には、対応する資格が存在します。たとえば、「ITのスペシャリストになりたい→基本情報技術者、ITストラテジスト」「周囲に一目置かれる教養を身につけたい→世界遺産検定や美術検定など教養系資格」など。そして資格には次のようなメリットがあります。

◆資格取得のメリット

1.専門知識・スキルをもっていることが証明できる
合格したら、社内でアピールすることもできますし、履歴書にも書けます。就職や転職、独立や開業に有利になりやすいでしょう。

2.漠然と勉強するよりも、効率的に知識を身につけられる
資格なら、知識を身につけるための教材(テキストや問題集)が豊富にあるため、最短距離で知識を身につけられます。そのうえ、難易度が明確で勉強しやすいですし、自分の実力にあったレベルから始め、段階的(2級→1級など)にレベルアップしていくことも可能。

「スキルをどのように伸ばしたらいいかわからない」という人にとっても、資格は、目標達成のための最高の手段なのです。

⑤やりたいことをスマホの「写真」に保存していく

「目標の種」をとりこぼすことがなくなる

ここまで「リストアップの方法」についてお伝えしましたが、「やりたいことをリストアップしようと言われても、何も思いつかない…」という人も多いはず。そこで便利なのが、「スマホの写真アプリ」の活用です。やり方は超シンプル。

・本や雑誌、テレビ番組やネット記事、パンフレットなどから自分の人生のヒントになりそうな情報を収集する
・やりたいことやロールモデル、受験してみたい資格などに出会ったら、そのままスマホの「カメラ機能」や「スクリーンショット」に保存していく
・保存した写真は、ほかの写真と区別するために「お気に入り」の星印をつけておく

「探さなくては」と気負わず、SNSで「いいね」をつけるくらいの気軽さでできるので、忙しさの中で忘れてしまう「目標の種」を取りこぼすことがなくなります。


目標設定のさらに詳しいコツや勉強法が気になる、という方は、ぜひ書籍もあわせてチェックしてみてくださいね。

【書籍情報】

『夢を先送りしない勉強法』/技術評論社出版/¥1,760
石黒 由華(いしぐろ ゆか)
東京大学卒業。学生時代から20年以上勉強法を研究し、「だれでも、どんなに時間がなくても結果の出る勉強法」を考案。
高校時代は、学級崩壊しているクラスで「偏差値30台」だったところから、独自の勉強法を確立し、早慶上智、さらに東大に逆転合格。大学では教育学を学ぶ傍ら、大学受験雑誌のライター、全国模試の採点アルバイトを経験し、「結果の出る勉強法」をさらに深く研究。天才・秀才たちの集まる東大を「トップクラスの成績」で卒業。卒業後は、約500倍の倍率を突破し、マスコミ企業に就職。
その後も、限られた時間の中で仕事と勉強を両立、英語・IT・会計など8つの資格を「独学」で取得し、昇進やキャリアアップを果たす。中でも、英語では「TOEIC950点超」を取得したほか、留学経験ゼロで自己紹介もできなかったところから「Google社員レベル」と評価されるほどペラペラに話せるまでにレベルアップ。
結婚・出産後も、なかなか寝てくれない0歳児の子育てで自分の時間がほとんど作れない中で、「約半年で」東大大学院に合格。
趣味は、旅行、美術鑑賞、美容。世界遺産検定、美術検定、化粧品検定などを取得。大好きな趣味を楽しみ、充実したプライベートを過ごす。
 
構成/Mai 写真/(c)shutterstock.com