柳楽優弥×中川大志「堤 幸彦監督の編集しながら撮影する現場は新鮮だった」。映画『夏目アラタの結婚』で共演

柳楽優弥×中川大志 天才的な化学反応

人気コミックの実写映画化としてすでに話題沸騰中の『夏目アラタの結婚』で、メインキャストを務める柳楽さん&中川さんが登場! CM共演はあるものの作品での演技共演は初めてというおふたりに、今作への思いや関係性をインタビュー。

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about character

ふたりが演じるキャラクターについて、演じる前の印象や実際に演じた感想を教えてもらいました!

(右)やぎらゆうや:1990年3月26日生まれ、東京都出身。2004年に初主演映画『誰も知らない』がカンヌ国際映画祭に出品され、当時14歳で史上最年少かつ日本人で初めての最優秀男優賞を受賞し一躍ときの人に。その後も、NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』、映画『銀魂』シリーズなど、唯一無二の存在感を発揮する。
(左)なかがわたいし:1998年6月14日生まれ、東京都出身。2009年に俳優デビュー。2011年放送のドラマ『家政婦のミタ』で注目を集め、以降、NHK連続テレビ小説『なつぞら』やNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』などの人気作に数多く出演。10月11日には出演映画『チャチャ』の公開が控えるなど、出演作が絶えない。

Q. アラタと真珠のようなかけ引きはする?

【柳楽】する。ここで決めたいという仕事があったら、印象に残るように直球でいくこともありますし、けっこう考えて動くタイプかもしれません。

【中川】実行するときは直球。その場で色々考えて動けないのでストレートにいくけど、それまではしっかり考えます。

柳楽優弥 as 夏目アラタ

【柳楽】アラタは、演じたことのないタイプだなと思いました。役や物語の設定は一見ファンタジーに感じるけど、しっかりリアリティもあるところが面白くて。例えば、佐藤二朗さん演じる死刑囚アイテムコレクターである藤田の「何度も死刑囚に面会して話していくにつれ、共感してしまうことがある」というセリフどおり、夏目も(品川)真珠に知らず知らずのうちに取り込まれそうになるところなど。始まりは非現実的だけど、そういう世界があることやその感情はリアルなので、メリハリを意識していた気がします。そのため、最初から死刑囚にプロポーズするなど大胆に仕掛けていくけど、黒島(結菜)さんが演じる真珠の変化にリアクションするということも大事にしていました。僕が物語を動かすというより、真珠の言動に対してどう反応するかはリアルな表現になったと思います。

Q. アラタが突然プロポーズをしたように、衝動的な部分はある?

【柳楽】ある。でもできるだけ無駄はなくしたいし、年齢とともに経験値が増えてきたからすぐに判断できるように
なってきたかもしれません。

【中川】大きい買い物は買ってから後悔したくないので、全メーカーの全商品を見てけっこう時間をかけます。でもたまに衝動買いもしちゃいます

Q. 〝死刑囚アイテムコレクター〟のような、マニアックな趣味はある?

【柳楽】みそ。腸活を意識してつくり始めて以来、毎年大豆をつぶすところから自分で手づくり。合わせみそが好きです

【中川】釣りかな。色んな種類のルアーとか、長さの違う釣竿とか、釣りをしない人から見たらそんなに何個もいらないじゃんって思われるかも(笑)。コレクションしたいわけではなく、全部用途が違って必要なんです。

中川大志 as 宮前光一

弁護士の役自体は2度目ですが、今回は死刑囚の弁護士。実際に存在する職業とはいえ、殺人を犯した人の弁護をする気持ちを想像するのが簡単ではなくて。どこまで信じているのかなど、始まる前に今回監修に入ってくださってた弁護士の先生に実際はどうなのかなど色んな話を聞きました。宮前は手弁当で凶悪犯罪者の弁護をするという極端なパターン。きっとそこまで覚悟を決めさせられるほどの力が(品川)真珠にはあったからだと思うんですけど、この大事件に向き合うまっすぐさや芯の強さはしっかり表現したいなと思っていました。それに、アラタが非現実的な流れを作る中で、僕が演じる宮前は現実味を帯びていないと見ているお客さんがついていけなくなると思ったので、そこで起きていることのリアルさの説得力を出すよう意識していました。アラタとのギャップを宮前が担えているとうれしいです。


about story

実は今作が映画初共演だというおふたり。お互いのことや撮影裏話を根掘り葉掘りうかがいました。

Q. 共演して知ったお互いの一面は?

【柳楽】作品への向き合い方がすごく好き! 自分の中で役や作品の向き合い方に答えがあるわけではないのですが、大志くんの姿勢には学ぶところがたくさんあるなと思いました。

【中川】芝居の作り上げ方が天才的。コミカルになりすぎてもリアルになりすぎても世界観が崩れるかもしれないというところを、柳楽さんが絶妙なバランスで作り上げていって。僕だったらそこまでたどり着いてないというか、そんな考えもあったんだと、毎日すごく刺激を受けました。

Q. 今作の印象は?

【柳楽】いい意味でファンタジー。オファーをいただいてから原作のマンガを読んだんですけど、死刑囚にプロポーズをするところから始まるって今までにない展開で、この後いったいどうなるんだろうって思わされました。

【中川】インパクトが強い! 映画のキャッチコピーにもなっている「このあと俺は、死刑囚と結婚する。」という設定が強すぎます。

Q. 作品での初共演の感想は?

【柳楽】大志くんとは、CM撮影で1か月に1回くらいのペースで会っていたんです。でもそれは毎回即興劇に近くて、ふたりの感覚でやっていて。

【中川】アドリブ合戦でしたよね。

【柳楽】だからしっかり役を演じるのは初めてだったけど、大志くんって物語や役柄に対してしっかり情熱を持って向き合う人なんだなと思いました。

【中川】うれしいですね。僕は柳楽さんとご一緒できるというのが今作で一番の楽しみで。柳楽さんの作品もこれまでたくさん観てきましたし、CMでのお芝居とはまた違うので、どう作り上げていくのかを見られるのが幸せでした

Q. 堤 幸彦監督作品はどうだった?

【柳楽】16歳の頃に一度一緒にお仕事したぶりだったので、ワクワクしていました。監督によってはすごく話してから芝居に臨むこともあるのですが、堤さんの現場ではそういうことがなく、自分の思ったとおりにやっちゃえって
感じでやってみて、ほぼ一発OKでした。

【中川】だから撮影もどんどん進んで。監督は現場で編集していくので、撮りたい画や仕掛けがもう明確に見えていて、役に対してというよりその説明をしてくださる感じで。こういう現場は初めてで新鮮でした。

【柳楽】監督の中でこの画がこうなるという設計図があるんだよね。そのスピード感にしっかりついていけるよう、堤さんの思い描く画にどうしたらより近づけるのかを考えるようにしていて。

【中川】口で色々と説明するのは得意なほうではないので、僕はやってみたほうが早かったというのもあります。

【柳楽】わかる。単純に表現を説明するのは難しいしね。

【中川】だからリハーサルで見てもらって、監督がよしと言ったことを信じてやっている感じでした。

Q. 撮影現場の雰囲気は?

【柳楽】和やかでスムーズでした

【中川】とんでもなく早い日ありませんでした? 3時間巻きみたいな。

【柳楽】早く帰ろうとしてる?と思うくらい早かったよね(笑)。その場で編集をしていると聞くと遅くなると思われるけど、逆に早いんですよ。堤さんはモニターがある部屋に編集さんと一緒にいて、現場にはスピーカーを通して声が届くんです。頭の中で完成しているというのもあるし、現場にいると冷静な判断ができなかったり悩んだりがあると思うんですけど、おそらくそれがないから早いのかな。ちなみに、その場で編集するという堤式は、ウディ・アレンの現場をニューヨークで見て参考にしたらしいです。堤さんのプチ情報でした(笑)。

Q. 個人的おすすめの楽しみ方は?

【柳楽】エンドロール後まで観る。隠し玉的なエピローグが伏線回収になるようなけっこう重要なシーンだったりするので。

【中川】1回目は純粋に事件のミステリーとトリックを考えながら観ることになると思います。ただ、この作品はそれだけでなく、アラタと真珠、ふたりの駆け引きが楽しめる人間ドラマ的な部分もあるので、2回目は印象がガラリと違って見えると思います。1回でも満足できるけど、全部知ったあとに観る2回目は注目する部分や捉え方の違いが面白いと思うので、ぜひ何度も楽しんでもらえたらうれしいです。

『夏目アラタの結婚』

配給:ワーナー・ブラザース/公開中
乃木坂太郎が描く累計発行部数260万部を突破したベストセラーコミックスの実写映画化。主人公の夏目アラタが、黒島結菜さん演じる死刑囚の品川真珠にプロポーズするという衝撃の展開から始まる獄中サスペンス物語。実力派俳優たちの迫力ある演技や予想できない展開は見逃せない!
©乃木坂太郎/小学館  ©2024映画「夏目アラタの結婚」製作委員会
CanCam2024年10月号「柳楽優弥×中川大志 天才的な化学反応」より
撮影/TOWA スタイリスト/長瀬哲朗(柳楽さん分)、徳永貴士(中川さん分) ヘア&メイク/勇見勝彦(THYMON Inc./柳楽さん分)、堤 紗也香(中川さん分) 構成/田中涼子 WEB構成/久保 葵