昨年も反響が大きかった編集長インタビューシリーズが今年もやってきました。
今回は、「HAPPY&ACTIVEなレディになろう♡」と掲げ、30歳前後の働く女性を中心に人気のファッション誌『AneCan』です。
さて、まず第1回は、30歳前後の女性のことを知り尽くしている、『AneCan』編集長の福田葉子さんに、2014年のファッショントレンドを振り返っていただきました。
お話をうかがっていると、ここ数年のファッションは、以前とはまったく違う「ある傾向」があるということが見えてきました。
Woman Insight編集部(以下、WI)2014年を振り返って「これは流行した!」というアイテムを教えてください。
福田葉子編集長(以下、福田)「トレンド」にとどまらず、OLさんに通勤アイテムとして定着した「フラットシューズ」が代表アイテムです。今までのファッションの流れの中でも、スニーカー然りスリッポン然り、ぺたんこ靴が流行することはありましたが、ここまで定着したのは初めてです。「パンプスからヒールを取りました」といったような、会社に履いていけるきれいめのフラットシューズがたくさん出たこともあり、今まで「週5日ヒール」だった人が、「ヒール週3、フラットシューズ週2」となりました。おそらく、この流れは当分の間変わらないと思います。フラットが消えて、みんながまたピンヒールを履く時代は、しばらくは来ない気がします。
WI それはどうしてでしょうか?
福田 ファッションの目的が変わった、という理由が強いと思います。ここ数年は、「見た目」や「気分」よりも、その日の天気や予定など、具体的な目的に合うものを重視するようになりました。それには、ここ数年の天候の変化があると思います。よく編集部では「5年前ってこんなに暑かったっけ? こんなに寒かったっけ?」って話をするんです。
WI 確かに、こんなに暑くなかった気がします。
福田 ここ2〜3年、体感として明らかに暑さ寒さが厳しくなりました。昔は8月におしゃれとしてブーツを履く時代がありましたが、もう今は暑くてそんなことはしていられません(笑)。ゲリラ豪雨がこんなに多いのも、ここ数年ですよね。昔は雨が降ったら傘を差す、降りそうな日は靴にちょっと気を遣う、くらいで済んでいましたが、今はレインシューズを持っていないと耐えきれないほどの雨が降ります。
WI 心地いい気候だな、と感じる期間がものすごく短いですよね。
福田 はい。春と秋が短くて、ちょうどいい天気の期間がほとんどありません。それと時を同じくして、ここ数年、ファッション誌で、少し先の季節の服ばかりを掲載する「先取り」はありえなくなりました。季節を先取ったところで、夏は暑いし冬は寒い。もちろん「次はこれが来る!」という情報は出しますが、それは「今」着たいものではない。特に夏や冬は「このファッションは気候に本当に合っているのか」ということを、ここ数年とても気にしながら雑誌を作るようになりました。
WI どんなにかわいくても気候に合わないと着ていられませんもんね……。
福田 さらに、長い不況もあってちょっと疲れている気持ちもありますよね。もちろんみんながんばって生きていますが、毎日毎日がんばれるわけじゃない。気候の変化に加えてそういう時代の気分もあり、「キレイに見えるけどらくちんなもの」「ストレスフリーなもの」を好む傾向になっていっているんじゃないかな、と思います。フラットシューズの大流行、そして定番化は、この傾向を象徴するものだな、と思いますね。
WI 『AneCan』9月号でも「夏のおしゃれはストレスフリー♡」という特集をされていましたよね。ほかにこれは「ストレスフリー」なアイテムだったな、というものはありますか?
福田 ショルダーバッグです。今年、ワンハンドルも小さいバッグも大きいバッグも、ほとんどすべてのバッグに肩にかけられるようショルダーストラップがつきました。これもバッグを手でずっと持っていると疲れるけれど、ショルダーがついていると肩にかけられて楽だよね、という考えがあると思います。これも「ストレスフリー」の系譜で、フラットシューズと同じ流れの中で出てきたと私は考えています。
WI 「ストレスフリー」の流れとは別で「これは流行したな」というものはありますか? 例えば、今年はどの雑誌を見てもとにかくミモレ丈スカートだな……と感じていたのですが。
福田 うーん、ミモレ丈やミディ丈は、流行ったには流行ったんですけど、「人による」という印象ですね。春のスカートもひざ丈に戻ってきています。ミディ丈、ミモレ丈、と限定するよりは、もっと範囲を広げて「今年はスカートが流行りましたね」くらいの印象です。
WI 他に何か流行したアイテムはありますか?
福田 特筆すべきアイテムと言えば、小さいバッグですね。ブランドの展示会に行くたびに「まだ小さくなるの!?」と驚いていました(笑)。去年までは長財布がギリギリ入る大きさだったのが、今年は「長財布はもう入らなくていい、スマホが入ればいい」サイズになりました。今年のバッグは、ショルダーがついたアクセサリー感覚の小さいバッグか、機能重視で荷物がたくさん入るトートバッグかと両極端になりました。これは気になった傾向でしたね。
次回は「ヒット企画」を通して2014年を振り返っていただきます。(後藤香織)
【2013年『AneCan』編集長インタビューはコチラ】
第1回→ AneCan編集長が2013年を総括!「重大ニュースは押切もえの○○○」
第2回→ AneCan編集長が2013年を総括!「消費に積極的な子たちを世間は見ていない」
第3回→ AneCan編集長が予言!2014春のトレンドは「スカート!フラット!モノトーン!」
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