自分の稼ぎで男に求める条件は変わる【外資OLの省エネ恋愛術②】

働く女のルポルタージュ第5弾!「外資OLの省エネ恋愛術」


外資系バリキャリ女性

「ゆとり以上、バリキャリ未満」を生きる女子のルポルタージュ・大好評につき第5弾がスタート!
智美は男子からはモテるし、後輩女子からは頼られる。けど、告白された回数は途中から数えなくなったし、広く浅い友人関係には、めっきり興味がなくなった。単なる断捨離じゃない。それは、幸せを手に入れる智美なりの法則だ。
今どきの「女の幸せ」ってなんだろう? 世代を超えて共感必至の、女の人生ルポルタージュ。第5弾「智美」のVol.2をお送りします!

 

香坂智美(仮名)28歳/IT系メディア営業

1989年 東京都出身、品川区在住
職歴/大学卒業後、住宅メーカーに就職。4年半勤務の後、現在の会社に転職。
似ているタレント/深田恭子
理想のタイプ/有吉弘之
パートナー/あり(婚約中)
手取り月収/60万円

★前回はこちら→ Vol.1 男は旅行に行ってみなきゃわからない

Vol.2 自分の稼ぎで男性に求める条件は変わる

「ヘルメットで現場へ」がやりがいだった


女性の足

今から6年前。智美が新卒で入社した会社は、よくも悪くも日本企業らしさたっぷりの大手だった。社内の飲み会で女子社員がお金を出すことは皆無。仕事のうえでも「女の子だから」と大事にしてもらうことも多かった。地域総合職として採用された、智美でさえも。思いやりの部分はありがたく頂戴し、それ意外は軽く聞き流し、智美は仕事にのめり込んでいった。

「自分の手がけた仕事が、家や建物としてその場所に残り、地図に残るというところにひかれて、住宅メーカーに就職しました。内装などのバイヤーをすることになって、多いときは1日7図面さばいて、1年目は1日も有給取らなかった。ほんと、よく働きました。女の子はそこまでやらなくても、というムードがあったのも事実です。でも、この仕事が好きで、楽しくて。そうですね、会社からの評価も高いほうでした。

私が提案する住宅は、たとえば家が狭くても、女性が使いやすいように洗面台だけは広くしたり、キッチン周りを人工大理石とかでちょっと見えを張ったり。女性が喜ぶアイディアを詰め込んで、業者さんと粘り強く交渉して、予算以上の仕上がりを提供するのが得意でした」

そのころ、ヘルメットをかぶって工事現場に頻繁に顔を出すのは、女性では智美くらいなものだった。「ジャマだジャマだ」「お嬢ちゃんがなんでこんなところに?」と最初はよそ者扱いされたが、一度現場で一緒にお弁当を食べれば、そんなことは言われなくなった。そして、多少の無理も聞いてもらえるようになる。図面のやりとりだけじゃなく、つくるものをその場で共有して、同じものを目ざすというのが、智美のやり方。そのために、自分の時間を割くことはいとわない。

ところが、世の中の潮流が“労働時間削減”に傾き、“人手不足”が深刻化すると、智美の得意技も発揮しにくくなった。

「東京オリンピックの影響もあって工事現場は人手不足、人件費も高騰。自分が実現したいアイディアが、費用内でおさまらないことが増えました。職人さんはつかまらない、アイディアは妥協せざるを得ない…。ゆっくり考えたくても、残業制限がかかる。物を提供することの限界を感じ始めたのです」

職場で悩んでいれば、さりげなく気遣ってくれるし、放っておいて欲しいときは、余計な口出しはしない。それが、大輔だった。

 

転職で手に入れた1.5倍の収入がもたらした、金額以上の価値


バリキャリ女性

転職と大輔との交際とがほぼ同時に決まったのは、わけがある。職場が一緒のときは、つきあうにしても周囲への気兼ねがあったが、それがなくなったこと。そして、転職によって智美の収入が1.5倍になったこと。

「転職前のお給料は、大企業によくある“低め安定”でした。そこに不満はなかったけど、安定した環境で働き続けながらいい生活をするなら、相手のお給料に頼るしかない、というのが正直な気持ちでした。だからそれまでの男性は、お医者さんや商社マン、ギリギリのラインで会計士。

ばりばり働いて、稼いで、同じくらいがんがん遊ぶタイプの人でした。結婚はそこまで真剣に考えていませんでした。仕事も楽しかったし、いい旅行や食事に連れて行ってもらえて、今を楽しんでいたという感じです。

それに、ばりばり稼ぐタイプは、裏を返せば、結婚したら浮気する可能性も高い人なわけで。でも、私はこんなふうにも思ってました。たとえばお医者さんの奥さんになれたとして、夫が浮気をするとしても、第一夫人としていい生活ができれば、それでいいかなと」

智美の転職先は外資系IT企業で、仕事は広告営業。面接の時に聞かれた給料の希望額も、すんなり通ったのは、少しい驚きだった。住宅メーカーのときのざっと1.5倍で、さらに四半期ごとに、成績に応じてインセンティブも出る。

高めの服が買えるようになったり、値段を気にせずメニューを選べたり。変化はいろいろあったけど、智美自身も想像できなかったいちばんの変化は、男性に期待することだった。

「収入で頼る必要がなくなったとたん、性格の穏やかさ、私への思いの大きさが大事だと思えてきたんです。男はスペックじゃない。最悪、私の給料でも十分楽しむことはできるわけだし。浮気されそうな男に、いつまでもしがみついているのは、もはやムダ。そう思うと、大輔が私のナンバー1に急浮上したのです」

4年越しで何度も告白してくれて、ドバイ旅行で大合格点を出した大輔。お給料は智美のほうが高いけれど、それも気にしない、いや気にしない振る舞いをしてくれる大輔。今の智美には最高の彼氏だ。

ふたりのつきあいは順調だった。智美はそこである程度満足していたが、大輔はさらに先のことまで考えていた。

 

Vol.3 成功の秘訣は「自分だけのやり方」を手に入れること
に続く。

文/南ゆかり
「CanCam」や「AneCan」、「Oggi」「cafeglobe」など、数々の女性誌やライフスタイル媒体、単行本などを手がけるエディター&ライター。20数年にわたり年間100人以上の女性と実際に会い、きめ細やかな取材を重ねてきた彼女が今注目しているのが、「ゆとり世代以上、ぎりぎりミレニアル世代の女性たち」。そんな彼女たちの生き方・価値観にフォーカスしたルポルタージュ。

 

【ゆとり以上バリキャリ未満の女たち】連載一覧

 

【あわせて読みたい】

※【ゆとり以上バリキャリ未満の女たち】第1弾「貯金1,500万の女子」

※【ゆとり以上バリキャリ未満の女たち】第2弾「キラキラOLのはずが飛び込み営業に」

※【ゆとり以上バリキャリ未満の女たち】第3弾「あみだくじで決まった配属」

※【ゆとり以上バリキャリ未満の女たち】第4弾「インスタ映えで幸せになれますか?」