日本の伝統的な発酵食品「甘酒」が、美容と健康に敏感な女子の間で大注目!
『CanCam』2017年2月号の『2017年春「これがくる」トレンドJOURNAL』の中でも次に来るブームとして甘酒が取り上げられているんです。
(1)本格おうち茶屋シリーズ甘酒4袋[フリーズドライ]¥330(森永製菓)/(2)飲む糀~Amazake Morning~[500g・2本セット]¥1,550(NEXTWEEKEND)/(3)百白糀 プレーン[150ml・4本セット]¥1,296(白水舎乳業)/(4)麹だけでつくった あまさけ[118g]¥190(八海醸造)/(5)米糀の甘酒と米粉のマドレーヌ[5個セット]¥1,500(禾<SWEET AID>)/(6)甘糀と野菜のバターペースト[さつまいも]130g・¥680(古町糀製造所)
そんな、大注目の甘酒ですが、ひとことで甘酒といっても地域によって作り方が異なり、酒粕と砂糖と溶かして作るタイプ、米麹から糖化させて作るタイプがあり、美容や健康が目的で飲む「甘酒」の選び方にも注意が必要なのだとか。
そこで今回、一般社団法人腸活環境育成協会理事を務める、医学博士の神谷仁先生に、「甘酒」の効果的な飲み方をうかがってみました。
┃「甘酒」が体に及ぼす影響は多様!
┃ビフィズス菌を増やして効果的に腸活を
甘酒は主に、白米が「麹菌(こうじきん)」によって発酵することで作られます。
発酵の段階で、米の中にあるタンパク質が分解され、「アミノ酸」を生成。アミノ酸は腸で吸収された後、体内で再びタンパク質に合成されて、体のさまざまな細胞を造る基本材料になり、体内で働く多様な「酵素」の原材料にもなります。つまり、タンパク質が豊富な状態であれば、これを材料に細胞が十分に作られ、肌のキメが整うというわけです。
そして「酵素」は、身体の中で起こるさまざまな化学反応を媒介。このため、酵素がしっかりと働く状態となって初めて、身体が健康的に働くようになります。そして、発酵によって作られた甘酒は、それ自体にも酵素が含まれているので、消化などの手助けをしてくれます。
また、発酵の段階で麹菌の生産活動のひとつとして、「ビタミンB群」(ビタミンB1、B2、B6、B12、パントテン酸、葉酸、ビオチンなど)が作られます。このようにして生まれるビタミンB群もまた、体内の酵素が働く上で欠かせない物質なのです。
ビタミンB群は、ブドウ糖だけでなく、タンパク質や脂質を燃やしてエネルギーを作り出す過程でも必要となります。そういった意味では、特にダイエットに関しては欠かせない栄養素!
さらに、甘酒が作られる過程で、麹菌も増殖します。この麹菌は腸の中で善玉菌(有用菌)である「ビフィズス菌」を増やす効果があります。腸の中では、善玉菌が悪玉菌(有害菌)の数を上回ることは、腸内細菌のバランスを保つことにおいてとても重要となるため、健康な体作りにおいて、ビフィズス菌を増やすことはとても大事なこと。
加えて、発酵の過程でオリゴ糖も作られてきますが、このオリゴ糖に加えて、甘酒に含まれる「食物繊維」が腸内細菌のエサに。また有用な細菌も増やしてくれます。このようにして、有用な腸内細菌が増えることにより、腸の状態自体も良くなり、その結果、便秘や下痢などが起こりにくくなるのだとか。
┃「甘酒」には作り方によって2種類あり。
┃発酵効果を最大限活かせる“手作り”が最善
「甘酒」には大きく分けて2種類あります。ひとつは、酒粕に砂糖などを加えて味付けしたもの、もうひとつは、米自体を麹菌によって発酵させて作ったものです。
「前者の場合、酒粕自体にもたしかに栄養はありますが、アルコールがわずかに含まれていることと砂糖が多く使われているのが問題」と、神谷先生。砂糖の主成分は“ショ糖”。これが分解されると“ブドウ糖”と“果糖”になるのですが、果糖は、体内に入ってすぐに使われないと中性脂肪に早変わり!
つまり、多く摂取すると「太る」原因に……。
では、美容と健康を目的の場合、米自体を麹菌によって発酵させたほうがいい?
「お米や米麹から直接作る甘酒の場合、糖の種類としては“ブドウ糖”や“オリゴ糖”が主体となっているのでおすすめです。発酵によって作られた甘酒は、市販されているものであれば添加物のより少ないものを選びましょう。ただし、市販のものは運搬の関係上、熱を加えて殺菌がされています。このように殺菌が行われていることによって、本来甘酒に含まれている麹菌も殺され、働かなくなることによって、それ以上、発酵が行われなくなってしまいます。その結果、麹菌による腸内細菌への効用は少なくなってしまうため、実は、自分で甘酒を作ってしまうのが一番おすすめです」(神谷先生)
┃糖分を含む甘酒は、運動後30分間がベスト!
┃ダイエット目的なら就寝前や空腹時は控えて
温かい甘酒は、体を温めてくれるので、寝る前や寒い朝に飲むと効果的のような気がしますが、どうなのでしょうか?
「発酵によって作られた甘酒には、糖分が含まれます。そのため、例えば、ダイエットとして摂取するのであれば、寝る前は避けたほうがよいでしょう。また、朝食時、何も食べない状態で甘酒を飲んでしまうと、直接ブドウ糖が体内に吸収されてしまい、血糖を高くしてしまう可能性があります。タンパク質や脂質、または、食物繊維のあるものをしっかり摂取した後に飲むことをおすすめします」(神谷先生)
朝はバタバタしているから朝食の代わりに一杯……というのはあまりよくないようですね。神谷先生がベストと考える飲み方も教えてくださいました。
「私自身が最もよいと考えるのは、運動後の30分間。筋肉がいちばん作られやすい状態になっているからです。このとき必要となるのが“アミノ酸”であり、その効果を増やしてくれるのが“ブドウ糖”。血糖をあまり上げず、エネルギー効率を上げられる甘酒は、運動後に摂取するドリンクとして使うことで、その効果を最大限に発揮できると考えられます」(神谷先生)
人気の「甘酒」が、なぜ・どうして肌や体にいいのかわかりましたか? 神谷先生いわく“手作り”の甘酒が最もよいということでしたが、難しいという方は、自分のライフスタイルに合った市販の甘酒を、毎日の生活に上手に取り入れてみましょう。(さとう のりこ)
【取材協力】 神谷 仁 医学博士┃信州大学医学部卒、同大学院博士課程修了。医師の役割は何かと考えるなかで、病気の治療を行うこと・病気にならないための啓発、未病対策を行うことが大切な役割と考え、活動を行っています。医学博士・分子整合栄養学専門医・神谷小児科医院医長・有明苑理事・松本歯科大学医科(無呼吸外来担当)
http://cho-katsu.info/
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