3月6日に、小学館から発刊される新しい雑誌『ヒバナ』。少年誌・青年誌・女性誌・BL誌といったジャンルの垣根を飛び越えた充実の執筆陣と、『妖怪ウォッチ』の人気キャラクター「コマさん」を主人公としたスピンオフの掲載など、意欲的な企画が勢揃いしていることで、発売前から早くもネットで話題になっています。
その表紙&巻頭カラーを飾るのは、大人気漫画家・東村アキコが手がける初の歴史大作『雪花の虎』。主人公は、戦国時代に名将とうたわれた上杉謙信。彼が実は「女性」だったという説に基づく衝撃のストーリーなんです!
育児エッセイ漫画『ママはテンパリスト』、映画化でも話題の『海月姫』、アラサーの心を鷲掴みにする『東京タラレバ娘』など、常にマンガ界に新しい風を吹き込んでいる東村さんのまさかの展開が気になりすぎて、Woman Insightではさっそくインタビューを行いました!
東村アキコさん。まじ美人です
Woman Insight編集部(以下、WI) 今回の新作は「歴史もの」ということですが、正直意外でした!
東村アキコさん(以下、東) 私もね、そもそも歴史に興味なかったんですよ。歴史小説も読んだこともないし、マンガも『三国志』くらいしか読んだことない。地理専攻だったから日本史もとってないし、大河ドラマもほとんど観たことなかったです。
WI そんな東村さんが、どうして歴史ものを・・・・・・?
東 ネットか何かで、たまたま「上杉謙信が女なんじゃないか説」っていうのを見たんです。歴史好きの間では有名らしいんですけど、私は全然知らなくて。元々宝塚が好きなので、本当だったら宝塚の演目っぽいな、日本版『ベルサイユのばら』だなと思って興味をもったのがきっかけです。それから参考文献を読んだりしているうちに、謙信自体の魅力にハマってきて。ゆかりの地である新潟に取材に行っときに、「あ、これは女だな」という私なりの確信を得ました。
WI それは、具体的にどういう部分で確信されたんですか?
東 上杉謙信って、ほかの武将と全然違って、行動原理とか女の考え方なんです。たとえば当時の戦って普通に考えると陣取りじゃないですか。でも、謙信は自分の領地を広げる戦を1回もしていないんです。あんなに強くて優秀なブレーンもいたのに、守るための戦しかしてなくて、「元々治めているところをキープできればOK」っていう考え方なんですね。頼られたら助けちゃう、母性本能丸出しの逸話も多かったですね。他にも、死因がどうみても婦人病とか、生理痛を思わせるエピソードとかもあったり。あとは、これは作品の中でも言っていますが、肖像画が象徴的でした。
WI そちらに関しては、マンガを読んでいただくとして。
東 当時は女の城主ってたくさんいたので、女であっても全然不思議はないんです。ただ歴史って、死後の領土の問題とか、政権交代後のいざこざとか、その後を生きる人たちの都合によって書き換えられちゃうものなんですね。謙信には、後の歴史的には男でなけらばならない理由があったんじゃないでしょうか。でも、現代に生きる私たちが、「謙信は女性だったかもしれない」と夢を見るのは、いいんじゃないかな、と。女性として生きていた謙信の生涯を、女性ならではの視点で描いてみたいと思いましたね。
WI 現代の女性が読んでもパワーをもらえる作品になりそうですね。
東 「謙信みたいにパワフルな女性が現代にいたら」って思いますけど、実は今の時代ってそういう女性、増えてますよね。そろそろ女の総理大臣が出てきてもおかしくないと思うし。「ウーマンパワー、見せつけてやろうよ」って気持ちもありますね。