寒暖差が大きいことが原因で肌荒れを起こす「寒暖差肌荒れ」というものがあるのをご存知ですか? 前日と比べて気温が大きく上がったり下がったり、日中の最高気温と朝晩の最低気温の差が大きかったり、そして室内と屋外の温度の差が大きかったり…今の季節にありがちな、さまざまな「寒暖差」は、実は肌に大きな影響があるんです。
そこで今回は、資生堂ジャパンが日本気象協会の協力のもと実施した調査結果と、知っておきたい今の季節のスキンケアについてご紹介します。
■寒暖差が大きく肌荒れしやすい都道府県トップ3は「北海道、群馬、山梨」
全国47都道府県を対象に、2017年~2019年の10~12月での寒暖差を数値化したものをもとに「寒暖差肌荒れ注意度」を出した結果によると、日本全国で寒暖差の大きい都道府県のトップ3は、北海道、群馬、山梨。
寒暖差とは、前日と比べた気温差や、1週間を通した気温差、1日における気温差、屋内と屋外の気温差などを総合したもののこと。さらに乾燥に関する要素である、一日のうちで最も低い湿度も考慮されています。
北海道は、どの気温差も大きく、総合1位に。群馬は独特の地形による気候から、各要素で高いランクとなり、総合2位に。山梨は盆地特有の冬の乾燥と、温まりやすく冷えやすいゆえの昼夜の気温差の大きさから、総合3位に。
ちなみに東京は24位。一見心配がいらないように見えても、湿度が低い日が多かったり、最高気温と最低気温が10度以上違う日もあったりするため、注意が必要です。
■北海道と山梨県の寒暖差ケア方法
上位3位の北海道、群馬、山梨などの寒暖差の大きい地域に住む人たちは、どんなケアをしているのでしょうか。
そこで今回は、北海道在住のメイクアップアーティストと山梨県出身のビューティーサロン経営者に、「寒暖差で肌荒れすることはある?」「肌荒れを防ぐスキンケア方法は?」など、実際のところを聞いてみました!
●北海道在住の美容家の場合
まずは北海道在住の美容家から。お話を伺ったのは、メイクアップサロン「サン・ティアーラ」代表で、メイクアップアーティストの片山栄里子さん。普段、北海道の地で寒暖差を実感することはあるのでしょうか?
「北海道では室内温度を高くして薄着で過ごす傾向にあります。家の中ではTシャツに素足などの薄着で、オフィスでも25℃程度の室温に保たれているところが多いです。一方、屋外では、冬は一日の最高気温が0℃を超えないという日も多く、特に屋内と屋外での気温差が激しいですね」(片山さん)
その寒暖差に対して、片山さんはスキンケア対策をしているといいます。
「特に冬場は屋内と屋外の寒暖差があるため、その過酷な状況に耐えられるように、肌本来の素肌力を高めることに重点を置いています。意識しているのは、温冷を繰り返すことで、温かい空間から寒い外気に触れるときと同じ状況を作り、お肌のバリア機能を高めるようにすること。スチームを当てて温めながらのクレンジング、ぬるま湯による洗顔など『温』のケアをしたあとに、氷水で顔を冷やし、コットンで化粧水を丁寧にパッティングして毛穴を引き締める『冷』のケアをすることで、お肌が強くなったように感じています」(片山さん)
寒暖差のほか、乾燥や寒さも肌に影響を及ぼすのだそう。
「北海道の室内は暖房設備が整っていて、格段に暖かく快適ですが、その分、湿度が低くなりがちで、加湿器でも追いつかないほど乾燥してしまいます。お肌も水分不足の状態が続き、肌荒れしやすいですね。また真冬の屋外の気温が0度以下になると、服装はかなり防寒して温かくしても、顔は外気に触れてしまうため、赤ら顔をまねいてしまうことが多いです」(片山さん)
片山さんはその他のスキンケア対策として、スプレータイプの携帯用ローションでマメに保湿をする、体を温める効果の高い生姜湯や甘酒などを積極的に摂取する、お風呂はなるべく湯船に浸かるようにして血行促進を促すことを実践しているそうです。
肌荒れが起きてしまった場合は、どんな対策をしているのでしょうか?
「スキンケアについては、とにかく保湿を徹底的に行います。比較的、安価な化粧水を惜しみなくたっぷりと使用した後に、しっとりタイプのローションと濃厚な美容液を使用します。また朝と夜、洗顔後にシートマスクを使って水分補給を中心に行います。就寝中にも加湿器の使用で湿度を60%ほどに保ち、ナノスチームの美顔器とダブル使いをしています。生活習慣については、血行促進のために毎日入浴し、果物を積極的に摂るようにしています」(片山さん)
北海道は、寒さはもちろん、屋内と屋外の気温差や乾燥も激しく、お肌にとって過酷な環境。だからこそあえて温冷スキンケアを行うのは真似してみたい!
●山梨県出身・在住の美容家の場合
続いて、山梨県出身・在住の美容家で、トータルビューティーサロン「Sueda。~beauty&health~」代表の澤登さやかさんにお話を伺いました。
山梨県で寒暖差を実感することはあるのでしょうか?
「まだ秋のうちは、日中は温かく過ごしやすいですが、朝晩の冷えを感じます。盆地ということもあり、夏は日差しが強く、最高気温が全国的に取り上げられることも多く、日照時間が長い地域として知られています。夏場はエアコンによる冷え、冬場は暖房器具による乾燥を強く感じます。そのため、外と室内の温度差を実感することが多いです」(澤登さん)
寒暖差を感じるときのスキンケアでは、どんなことに気を配っているのでしょうか?
「徹底的に保湿をするように気を配っており、うるおいを保つように心がけています。夜にオゾンミストを浴び、アルコールフリーのヒアルロン酸が主成分の化粧水を何回かに分けて塗布しています。肌が弱く、油分のあるものを使用すると荒れてしまうため、水分補給がメインです」(澤登さん)
澤登さんは、寒暖差以外にも肌荒れする原因があるといいます。
「花粉で肌荒れします。私は『ブタクサ』に反応するので、秋になると鼻周りや目元が崩れます。そのため、やはり、毎日保湿を欠かさず行います」(澤登さん)
肌荒れが起きないように、どのような予防をしているのでしょうか?
「食事、運動、睡眠を大切にしています。自身でエステサロンをしているのですが、当店は『よもぎ蒸し』サロンでもあるため、2週間に一度は温浴をし、膣ケアも行っています。膣のうるおいを保つための保湿と洗浄を定期的に行うことで、アンチエイジングケアにもつながると言われています」(澤登さん)
肌荒れが起きてしまった場合は、どんな対策をしているのでしょうか?
「女性は、生理前にホルモンバランスが乱れるといわれますが、私はあごのあたりに吹き出物や赤みが出ることがあります。そんなときには、よもぎ蒸しで顔蒸しをしています。お顔についた菌を殺菌し、よもぎの成分が肌へ付着することで、美肌・美白効果を実感できるんです。またスチームを浴びて徹底的な保湿もします。
食事では化学調味料を控え、麹を主としたメニューを取り入れたり、低脂質な鶏肉からタンパク質を摂るようにしたりと、肌のことを考えたメニューにしています。また普段から玄米をベースにしたり、体を冷やさず野菜をたっぷり摂れる温野菜を摂取することも、習慣として心がけています」(澤登さん)
山梨県は、朝晩の気温差や屋内・屋外の気温差などの寒暖差が大きく、肌にとって過酷な環境であるようです。ポイントはとにかく保湿! また、よもぎ蒸しをスキンケアとして使う、という発想も取り入れてみたいですよね。
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東京在住の人も、寒暖差肌荒れのリスクはあるといわれています。空気の乾燥だけでなく、寒暖差も意識して、その環境に見合ったスキンケア方法を見つけて実践したいですね。
片山栄里子さん
北海道在住の美容家、メイクアップアーティスト。メイクアップサロン、サン・ティアーラ代表。ブライダル、メイク講師など幅広く活動。内面から美しく、幸せを呼び寄せる「心から美人になるハッピーメソッド」を考案しメイクレッスンが好評を得ている。
http://sun-tiara.jp/index.html
澤登さやかさん
Sueda。~beauty&health~代表。山梨県を拠点にtreasure beautist(美容の宝庫)としてヘアデザイナー・エステティシャン・ネイルリスト・ブライダルヘアメイクの総合美容をベースに活躍。
https://sueda.net/