【最新調査】”賢い”女性消費者に刺さるモノづくりは?2大メーカーの手法をこっそり聞いてみた

女性の消費に関する調査結果を見てみると、今どきの女性はただ消費意欲が低く、財布のヒモが固いだけではないことが判明! よく情報を精査し、自分にとって必要があれば惜しまずお金を使うという「自分フィルター」を大切にしている模様です。

消費者がそんなに”賢く”なってしまうと、メーカーはどうやって対応しているんだろう……? ということで、女性向けヒット商品を出し続けている株式会社コーセー<コスメデコルテ>、パナソニック株式会社<パナソニックビューティ>の2社に、女性向け商品開発の変化についてこっそり教えてもらいました!

1本目の記事→ 【最新データ】今や女性は「安くても買わない」!? ”賢く”消費する女性たち

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まずは株式会社コーセー セレクティブブランド事業部コスメデコルテ商品企画の土屋 幸佑さんのインタビューです。

「ブランド買い」から「アイテム指名買い」の流れを受けて、2009年から11品が「選ばれる商品」くりを意識

2009年あたりから、コスメについては全体的に、消費者の「ブランド買い」指向が弱くなりました。なんとなく同じブランドで一式揃えるのではなく、「このアイテムは××」「あのアイテムは○○」のように「指名買い」ですよね。この流れを踏まえて、より1つ1つの商品を「選ばれる商品」にしようと取り組んできました。

「簡単」「便利」という世の中の大潮流が「コスメデコルテ」ブランドの基本を見直すきっかけに

近年の大きな流れにもうひとつ「簡単」「便利」というのがありました。これを受けて、コスメデコルテというブランドの価値を見直しました。

コスメデコルテはもともと乳液先行をベースにした、ひと手間かかるブランドなんですね。でもひと手間かけた分、2倍も3倍も効果を感じられるような、そういった基本を大切にしています。単純に「簡単」「便利」というニーズを反映した商品はKOSEのようなコンシューマブランドでは大切だと思うのですが、コスメデコルテの基本コンセプトと照らし合わせたときに「簡単」「便利」だけじゃない、今までのベーシックな「手間がかかっても効果はある」という商品価値にプラスアルファの価値を付けていかねばならないというのが、我々がこの数年特に意識してきていることです。

2014は “かっさ付き美容液”で付加価値とブランドコンセプトをアピール

今年はコスメデコルテで昨年大ヒットした美容液、「AQ MW レプリション」(30mL/¥15,000(税抜))に、同価格でオリジナルのかっさプレートをつけたキットを限定発売します。

これは美容コンサルタント・田中玲子先生に監修していただいたもので、レプリションの効果をより高めるという付加価値の側面と、「AQ MW」が西洋と東洋、両方からのアプローチをコンセプトとしたラインなので、レプリションを西洋の「効きモノ」としたら、東洋の「技」をかっさプレートで加えるというふうに、ブランドコンセプトを改めて伝えていきたいという想いを込めています。かっさがついてさえいれば伝わるものではないと思うのですが、そこは意識して伝え続けていけたらと考えています。

写真の商品:コスメデコルテ AQ MW レプリション キット/¥15,000(税抜) <10月16日限定発売> 丁寧に作られた磁器製のかっさプレートは何通りもの使い方ができ、美容液の効果をより実感できます。

単純に世の中の流れに乗るんじゃなくて、ブランドのコンセプトや立ち位置を見返して基本に戻り、プラスアルファの価値をつけていくようにしている、というのが個人的にすごくグッときました! 今度発売されるレプリション キットも、単に「かっさをおまけにつけたよー!」ではなく、きちんと意味がこめられた上でのかっさというのが、また良いですよね。モノにこめられたストーリーに弱い私としては、かなり気になるところ。「手間をかけたぶん、2倍3倍の効果を感じられる」なら、冬のアンチエイジング対策に、エステに行くより安いものです。「手間やお金をかけてもいいから何とかしたい」切実なお年ごろです……。

 

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さてお次は、パナソニック株式会社 ビューティ・リビング事業部 商品企画グループ エステ・レディ商品企画チーム チームリーダーの北岡 慶子さんのインタビューです。

多数決でモノが売れる時代ではないことを実感し、先端のニーズを探る調査方法へシフト

近頃の消費者のニーズや価値観の多様化を受けて、私たちが一番変わったのは、調査方法かもしれません。

以前はWEB調査でバーッと多数の意見を聞いたり、グループインタビューで「10人中8人がいいと思った」というような指標で消費者の意識を調査していました。が、今は10人の中で1人でも「すごくいい」と言っている人がいたら、「その人はなぜそんなにいいと思ったのか」「どういいと思ったのか」っていう深堀りをするようになりました。

というのは、今は私たち以上に消費者の方のほうが美容の最先端の情報を持っていることもざらにあり、私たち電機メーカーが商品化するまで、商品のアイデアが固まってからでも1年以上はかかるので、一般的に「いい」と思われるものを拾っていると、その商品を開発している段階ですでに遅くなってしまうんです。美容に対して意識が尖った人が1人でも「すごくいい」と言っている商品は、そのときは多数じゃなくても、それが商品化される数年後にはそれが主流になっている場合があるんです。

消費者からのニーズを受けて、同じ商品が、新たな層に向けて進化した「目もとエステ」

そういった尖った消費者の方の意見が反映された商品として、今年の9月1日に発売された「目もとエステ」(リフレタイプ)があります。

昨年に発売した「目もとエステ」は、目の周りの広範囲にスチームをあてて、目元を潤しエステ効果を狙うものでした。が、この商品は目を酷使している方や男性からもニーズがあり、その層からの意見を徹底的に聞いたところ、「目の奥や眼球の裏側が重いので、もっと短時間で集中的に温めてなんとかしたい」という方が多かったんです。そこで今年新しく発売したものは、眼球周りに密着してアイホールを集中的に温める工夫をしました。また、男性からの「見た目が大げさすぎる」という要望を受け、機能をある程度絞って本体を薄くすることにも成功しました。ついついメーカーとしては機能を上乗せしたくなるのですが、目的を絞ってニーズに応えていくというのが私たちの企画の仕方でもあります。

このように、消費者に刺さる商品を作るためには、 「30代」「40代」「女性」など大きな枠だけではなく、商品開発も、商品化した後のコミュニケーションも、価値観やニーズが多様化する消費者の方に合わせ、きめ細かく対応していくことが大切だと考えています。

写真の商品:目もとエステ(リフレタイプ)/オープン価格 目を特に温めてケアしたい層に向けて特化した新商品。エステタイプはピンクのみだが、こちらのタイプは男性向けにシルバーも展開。

自分が数年後に何やってるかすら予測できないのに、世の中の女性が数年後に何を求めているかの芽を掘り出さないといけないというのは、気が遠くなるような作業です……! こんなにいろいろな人がいる中で、メーカーはより緻密な努力を求められているということですね。うーん、まさにこうやってセコセコと記事を書いて、万年眼精疲労になっているので、「目もとエステ」(リフレタイプ)買っちゃおうかな……! 愛用のヨドバシゴールドポイントカード・プラス炸裂しちゃおうかな……!

今回、「女性向け商品といえば!」と誰しもが思いつく2大メーカーの方にお話を伺いましたが、商品づくりの考え方からその後の伝え方まで、変化し、多様化する消費者をひとくくりにせずにものすごい労力をかけて対応していることがわかりました。それってとても大変なことですが、消費者としては、うわべだけではない、心から信頼できる商品が世の中に増えていくのは嬉しいことですよね。そんな「本気」で市場に向き合っているメーカーさんを応援していきたいですね。(安念美和子)

 

参考:小学館女性インサイト研究所「女性の消費に関する意識調査」

http://cont.insightlab.jp/images/special/009/insightlab_141007.pdf

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