「おとり物件」って本当にあるの？不動産屋さんにガチで聞いてみたら…

「おとり物件」って本当にあるの？

お部屋探しをするためにネットで物件情報を見ているときに「やたら安くていい物件があるけど、これって実在するの？ それともおとり物件？」と気になったことはありませんか？
そして実際にその物件の有無を問い合わせてみると「埋まっちゃってますねー、他にもいい物件あるんで見にきてみませんか？」と言われること多々。そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

実際、そんな「おとり物件」って、存在するんでしょうか。編集部スタッフもお世話になっているピタットハウス用賀店の店長、株式会社エイチ・アイ・トラストの宇田津誠さんに本当のところをうかがいました。

Q.「おとり物件」って、存在するんでしょうか？

正直、存在しない物件を出しているところもゼロだとは言い切れません。
ただ、多いパターンは「存在しない物件を出している」よりも「SUUMOなどの住宅情報ポータルサイトに物件を掲載していて、借り手が決まったのにそのポータルサイトから情報を落としていなかった」ということです。
これは「あえて落としていない」も「うっかり落とし忘れた」もあります。インターネットをまだそこまで使いこなしていない上の世代の方が管理しているような物件を、不動産会社が頼んでインターネットに掲載しているときなどにも起こりがちで、そういった物件は思っているよりも多くあります。
さらに、2〜4月の繁忙期はスピード勝負で物件の回転が速いので、この「情報が公開されているのに、すでに決まっている」パターンがかなりあります。

Q.SUUMOなどを見ていると部屋の間取り図だけがあって写真がありません。おとり物件ですか？

SUUMOなどのサイトで物件写真が「間取り図だけ、写真があっても周囲のスーパーやコンビニだけで、物件の写真がない」という場合は、管理会社さんの考えによることがほとんどです。
通常、SUUMOやHOME’S、at homeなどのポータルサイトに物件を掲載する場合は、掲載する不動産会社が物件の管理会社さんに広告掲載の承諾をとって掲載をします。お客様の内覧以外（広告掲載用の写真撮影等）で鍵を借りることができず部屋を事前に見に行くことができなかったり、そもそも写真掲載がNGと言われていて、写真を掲載できない事情があります。

Q.「ネットには載っていない物件があるから一度来てほしい」などと聞きますが、実際ネットに載っていない物件はどれくらいあるのでしょうか？

今は9割くらいの物件は掲載されています。
インターネットがここまで普及する前は、それこそそれぞれの不動産会社が現在のように情報公開をしておらず、自社で管理している物件は自分たちだけが仲介をしていました。そのため、お部屋を探す側のお客さんも不動産会社を10店くらいまわり、繁忙期になると店の外に行列…ということもざらにありましたが、今はポータルサイトで、自分の条件に合った物件を見つけて決め打ちで不動産業者へ行ったり問い合わせをしますので、1〜2店まわって決める方がほとんどで、平均1.6店で決めると言われています。

ただ、先ほども「9割」と申し上げたように、今もすべての物件がSUUMOなどのポータルサイトに載っているかと言われると、そうではありません。
不動産会社さんによっては、わりと大手であっても、自社管理の物件はポータルサイトには掲載せず、自社のホームページにしか載せない、というところもあります。
とはいえ、ほとんどのお部屋のオーナーさんは「部屋を空室にしている期間はできるだけ短くしたい、早く次の居住者さんを決めたい」という考えがあるので、ほとんどの不動産業者は管理している物件は広く情報公開をしています。

ちなみに、現在の不動産業界の仕組みを簡単に説明すると、部屋の借主を募集する際は「レインズ」（不動産業者間のみ閲覧使用可能。一般のユーザーは閲覧できません）という全国の不動産情報が登録されているオンラインシステムに情報を公開します。そうすることであらゆる不動産会社がその物件の情報を見て、仲介できるようになります。

Q.部屋を内見すると「今決めないとなくなっちゃいますよ」と言われます。本当ですか？

「いい物件ほど、すぐ決まってしまう」ことは確かにあります。
僕自身はそんなにどんどん押すタイプではないので、そういうことは言いませんし、お客さんに「一晩考えさせてください」と言われたら、そうしてもらいます。ただ、一晩考えているうちに他の人が内見をして即決してしまった…というパターンはあります。
これは個人的な考えですが、不動産会社に問い合わせをして「とりあえず1回お店に来てください」と言う人と、内見をして「今決めないとなくなっちゃいますよ」と言う人は、わりとお客さんにとってその物件が本当にいいかどうかを考えるよりも、営業成績命のイケイケの業者さんが多い傾向にあると思います。もちろん、すぐ決めたほうがいいこともあるので、これは良し悪しありますが…。

気になる「おとり物件の有無」「ネットに載っていない物件はどれくらいあるのか問題」「今決めないとなくなっちゃいますよ」の本音を聞いたところで、次回は「不動産仲介歴約30年のプロが思う、本当に見るべきポイント」をご紹介します。