「愛情」と「支配欲」を混同したないために気をつけるべきこと
愛情は友人や恋人、親子間などさまざまな人間関係の基盤。でも、その愛情は本当に相手のことを思ってのものなのでしょうか。もしかしたら、支配欲や独占欲に由来しているのだとしたら……。そこで今回は、「愛情」と「支配欲」を混同したないために気をつけるべきことをご紹介いたします。
■愛を免罪符として自分に都合よくあなたを誘導していないか？
自分の傷つきを理由にして相手に怒りをぶつけることを、自己愛憤怒といいます。例えば「君のことを思って厳しく言ってるんだ」などという怒りが自己愛憤怒の典型です。こんなにしてあげているのに、どうしてわかってくれないんだという怒りは、相手をコントロールしたいという支配欲と結びついてしまいやすいと言えます。
本当はきっと寂しいのでしょうが、関係性を悪化させてしまう結果になることがほとんど。愛を免罪符として自分に都合よくあなたを誘導していないか、よく観察してみましょう。
■その愛情、あなたではなく自分に向けられていないか？
愛情を相手に向けているようで、実は自分に向けている場合も支配的な形になってしまいます。ここで言う自己愛とは、自分自身を対象とした愛のこと。精神分析の考えでは、リビドー（欲求）が自分を満たすために向いている状態となります。
この場合、相手との共感や対等な交流が難しくなり、常に自分自身の欲求の充足や感情の表出が優先されます。例えば、「私だけを見て！」というのがその典型。愛情という言葉を用いていても、自分を満たすためにあなたをコントロールしようとしているのです。
■あなたの気持ちを繋ぎとめるために愛を引き合いに出してないか？
不安が大きい人は愛されていないのではないか、見捨てられるのではといったことを過度に心配して執着してしまいますよね。これを心理学者エインズワースは、愛情の類型のうち不安型と定義しています。この不安型の人は、できるだけ相手と近づきたい、離れたくないと願い相手にしがみついてしまいます。
安心して離れることができないので、拒否されたり見捨てられることを過度に心配し、あなたの気持ちを繋ぎとめるためにさまざまな手段をとるでしょう。例えば「私と仕事、どっちが大事？」といった内容がその典型。愛を引き合いに出して、あなたの気持ちを支配しようとしているのです。
■愛情の裏側に嫉妬心や独占への欲求が隠されていないか？
心理学者ジョン・アラン・リーは、ラブスタイル類型論という恋愛態度の分類法を提唱しました。これは人が恋愛に対して取りうる態度や考え方を、様々な文献から抽出して生成し6つのタイプに分けるというものです。
その中にマニア（偏執狂的な愛）というタイプがあります。マニアは情熱的で相手に強迫的にのめり込み、独占欲が強く嫉妬深く相手の愛情を何度でも確かめたがる病的な愛なのだとか。マニアの体験する恋愛感情は強烈であり、快楽と苦痛が交互に現れるとされます。このタイプは独占欲求が強く、深い愛情の裏側に激しい嫉妬心が潜んでいることも少なくありません。「本当に愛してるなら他の異性と話さないで！」と言うようなら、それは愛情の裏側に嫉妬心や独占への欲求が隠されているのかもしれません。
相手に対してネガティブなアクションを取った後に、愛しているからやったんだと弁明する人は危険だと言えます。確かに愛情が深くなればなるほど、相手に対して本気になってしまうことは少なくありません。しかし、愛という言葉を使えば何でも許されるかというと、そうではありませんよね。
愛を免罪符にして何でも許されるとしたら、暴力や浮気まで許されてしまいます。それはとりもなおさず相手を支配していることに他なりません。愛という言葉に惑わされず、相手の真意を読めるようにしましょうね。（脇田尚揮）
認定心理士。Ameba公式No.1占い師として雑誌やTVなどに取り上げられ、現在テレビ東京「なないろ日和」にてレギュラーコーナー担当。また、自身が監修したアプリ 「マル見え心理テスト」はTBS 「王様のブランチ」 などでも紹介され、120万DL。著書『生まれた日はすべてを知っている。』(河出 書房新社)。
