なんで2月は28日か29日しかないの?他の月は30日以上あるのに…

どうして2月だけ日数が少ないの?


1・3・5・7・8・10・12月は「1か月=31日」。4・6・9・11月は「1か月=30日」。それなのに2月だけは「1か月=28日(うるう年の場合は29日)」ですよね。

なぜ2月は少ないのか

調節すればすべての月を「1か月=30日」か「1か月=31日」にできそうなのに、どうして2月だけは日数少ないのでしょうか。今回は国立天文台の回答を参考に解説します!

それでは早速見ていきましょう!

かつての暦と縁起が2月の日数に関係していた!


2月だけ日数が少ないのはかつて用いていた暦に関係しているようです。詳しく見ていきましょう!

■かつて2月は、後から付け足された一年で最後の月だった

紀元前8世紀頃のローマで使われていたとされる「ロムルス暦」では、月は10しかなく、農業をしない冬の期間には月日が割り振られていませんでした。いまの3月から12月にあたる月は、ロムルス暦の時代から存在していますが、いまの1月と2月にあたる月は、当時はまだありませんでした。

かつては農業が生活の中心だったがために、農閑期はあまり重要視されていませんでした。そのため暦上は現在の3〜12月までしか存在しなかったようです。

のちに採用される「ヌマ暦」で現在の1月・2月が暦上に後付けされることになるのですが、なんせ付け足しなので、12月の後に足されました。

その結果、今では2番目の2月が一年の最後を締めくくる月として存在していたのです。

■2月と縁起の関係

ヌマ暦では、それぞれの月の日数は29日か31日でした。これは、古代ローマでは偶数は不吉とされたことなどからだと考えられています。しかし年末のFebruarius(英語のFebruary)は例外で、28日しかありませんでした。Februariusは祓いや清めの月であるため、不吉な数でも良いとされていたようです。

ヌマ暦では「1年=355日」とされており、縁起を考えて各月を29日か31日にするとどうしてもひと月だけ偶数の日数になる月が必要になってしまいます。

そこで1年の最後に祓いや清めを行う月である2月であれば偶数でも縁起が悪くならないだろうと考え、2月を28日にしたわけです。

しかし、今使われている暦では30日か31日で、かつての縁起を元にしたルールは無視されています。だったら2月が少ないままである必要は特にないはずなのに、なぜ少ないままなのでしょうか。

■なぜ現在の暦でも2月の日数少ないのか

ヌマ暦を使用していくうちに、実際の日付と暦が2ヶ月以上もずれていました。そこで採用されたのが現在の暦とほとんど変わらない「ユリウス暦」です。

ユリウス暦では年の始めはIanuariusと定められ、Februariusは「2番目の月」になりました。
また、ヌマ暦で日数が29日だった月は、ユリウス暦では日数が30日か31日に変更になりました。しかし、Februariusは日数を増やされず、ヌマ暦と同じ28日のままになりました。これは、Februariusには宗教的な意味合いの強い祭礼が多くあったため、混乱を避けるために日数の変更を避けたためと考えられています。

「1年=355日」だったヌマ暦ではどんどん暦がずれてしまうのでユリウス暦から「1年=365日」が採用されました。一年の日数が増えたため、元々日数の少ない29日だった月を30日に変更することになりました。

一番日数が少なかった2月はもともと祓いや清めの月であったため、宗教上の大事な祭礼が多く存在しており、祭礼の日程などに影響が出て混乱に陥ることを懸念して2月は28日のままになりました

■【おまけ】日数が少ないから1日増えるわけじゃない!2月に閏日がある理由

「2月に4年に一度閏日が存在するのは元々日数が少ないから増える」と勘違いされがちですが、2月の閏日もまたかつての暦に関係しています。

ヌマ暦で「2月は1年で1番最後の月だった」と紹介しましたよね。「1年=355日」だったヌマ暦は最後の月である2月の日数を調節して、その後に閏月(閏日の1ヶ月版)を採用したりすることで暦のズレを調節していました。

一年の最後の月である2月は「調整の月」だったのです。ユリウス暦に移行する際も、2月が年末である感覚が根強く残っており、その名残で2月に閏日を採用することになりました。

 

当たり前のルールだとあえて意識することは少ないですが、2月の日数が少なかったり2月に閏日が存在するのにはこれまでの暦だったり縁起が関係しているなんて驚きでしたね!(山口彩楓)

 

情報提供/国立天文台