よく「甘酒」は「飲む点滴」や「飲む美容液」と呼ばれており、美容や健康作用が……と言われています。でも、実際のところ、いったいどんな栄養が含まれていて、何に作用するのかよくわかっていない、という方も多いのではないでしょうか。
そんな方のために、砂糖を使わずに作る米糀の甘酒を研究しているマルコメ株式会社に、「実際、甘酒ってどんな美容・健康作用があるの?」と直撃してみました。
Q.まず、甘酒をよく見ると「酒粕の甘酒」と「米糀(米麹)の甘酒」の2種類がありますが、それぞれ何が違うのでしょうか?
◆米糀の甘酒
主な原料はお米と米糀です。(米糀のみの甘酒もあります)。
「米糀の甘酒」の甘みは、麹菌の酵素によって、お米のデンプンが分解されてできた自然な優しい甘みで、主にブドウ糖です。
「酒」という文字が入っているので誤解されがちですが、米糀の甘酒にはアルコールが含まれていないため、お子様や授乳中のお母様なども召し上がれます。
◆酒粕の甘酒
主な原料は酒粕と砂糖です。
昔神社などで飲んだ甘酒のイメージがこの「酒粕の甘酒」ではないでしょうか。
こちらは酒粕が入っているため、酒粕由来の微量(1%未満)のアルコールが含まれています。
この先は最近スーパーやコンビニなどで販売されていることも多い一般的な「米糀の甘酒」について回答していきますね。
Q.甘酒はよく「飲む点滴」と言われますが、これはどういうことなのでしょうか?
米糀には「ブドウ糖」が豊富に含まれています。
すでに酵素で分解されている糖分なので、すばやく吸収されてエネルギーとなります。
また、麹菌により生成されたビタミン群や必須アミノ酸も含まれており、含まれているものが点滴と似ていることから最近では「飲む点滴」と称されることもあります。
ちなみに、もしダイエットや健康面で、飲む(食べる)順番を気にされている場合は、食後に飲むことをおすすめします。食べる順番ダイエットに例えると、「野菜→お肉やお魚→ごはんなどの炭水化物」の順で食べるのと同じ要領です。
Q.なんとなく体にいいことはわかりましたが、具体的にどのような栄養素が含まれていて、美容・健康面でどのような効果があるのでしょうか?
1.整腸作用
甘酒には腸内環境を整えるオリゴ糖や食物繊維が含まれており、「腸内環境を整える整腸作用」が期待されています。さらに近年の研究から、甘酒の材料である米糀には、腸に良い影響を与える成分が含まれていることがわかりました。これは「グルコシルセラミド」と呼ばれる成分で、多くの日本人が持っている善玉菌を増加させることが明らかになりました。また、腸は病気から体を守る重要な免疫器官としての役割を担っていましたが、この「グルコシルセラミド」が健康的な免疫を保つ細胞を活性化させる物質を増加させることも確認されています。
2.肌の保湿作用
米糀には「グルコシルセラミド」や「N-アセチルグルコサミン」などの成分が含まれており、この成分による肌の保湿作用が期待できます。(マルコメにて20~60代の女性を対象に実証試験しています。詳細はコチラ)
3.脳のエネルギー源
先ほどもお話したブドウ糖ですが、実は「脳の唯一のエネルギー源」とも言われている糖分です。デスクワークや勉強で疲れた時に飲むのもおすすめです。また食べるのがおっくうな時や、時間がない朝のごはん代わりにもいいですよ。
4.疲労回復効果
糀の力で分解されて体に吸収されやすい栄養(ブドウ糖)が多く含まれる甘酒。近年発表された研究結果から、甘酒を飲用した長距離陸上選手の疲労度が軽減されたことがわかっています。
たとえば、マラソン前に糖分を補給するランナーの方には、ブドウ糖が豊富な甘酒がぴったりと言えますね。
これらの栄養素は、あたためても栄養が損なわれることはありません。寒い季節には特に、レンジなどであたためてホット甘酒を楽しむのもおすすめです。
Q.もし「普通に飲む」以外の楽しみ方があれば教えてください!
マルコメが提案しているレシピの中から、簡単なものをいくつかご紹介しますね。
■糀甘酒で飲むヨーグルト(いちご・みかん)
糀甘酒にヨーグルト、みかんのしぼり汁やいちごを入れてグラスで混ぜるだけ。ミキサー等も不要です。
糀甘酒とヨーグルトの発酵食品同士の組み合わせは非常に相性がよく、カラダにも嬉しい栄養がいっぱいです。お好みのフルーツを加えればさらに飲みやすくなり、水分補給・栄養補給にぴったりです。
■レンジで♪白菜ベーコンの糀甘酒マグスープ
甘酒はやはり甘いのでデザートに使うイメージが強いと思いますが、実はお砂糖やみりんの代わりにお料理に使うこともできます。簡単なのはやはりスープでしょうか。
こちらのレシピは包丁も火も不要で、マグカップとレンジがあれば作れます。寒い冬の朝食にぴったりで、糀甘酒の優しい甘みが心もカラダもあたためてくれます。
■照り焼きチキン
照り焼きチキンの下味に甘酒を使うと、しっとり柔らかくジューシーで、やさしい自然な甘みがあるチキンになります。
お砂糖もみりんも不要で、甘酒としょうゆに漬け込むだけの簡単レシピ。是非一度試してみてください!
お話を聞いていると、どうしてもやることが多くて疲れやすい上、乾燥も気になるシーズン(つまり今!)にまさにうってつけな飲み物。コンビニで100円ちょっとで買えるのも嬉しいですよね。
「甘酒の美容作用が気になっていたけど、なんとなく手を出していなかった……」という方、この冬に甘酒生活を始めてみてはいかが?(後藤香織)
取材協力/マルコメ株式会社
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