夢を叶えたい!小さなチャンスを見逃さず実現させる、たったひとつの方法
将来の夢。そう聞いて、あなたはどんなものを思い浮かべますか?
「やりたい仕事や夢はある。でも本当にできるかどうかは自信がない」という、あなた。
「夢がなく、欲しいと思う。でも見つける方法が分からない」という、あなた。
そんな方々にお届けしたいのが、今回の記事です。新人・若手のお悩み解決シリーズ第4回、今回は「夢を叶える自信がない」「叶えたい夢が見つからない」というふたつの悩みに、同時にお答えしていきます。
働く人の心理や考え方は、時代によって変化します。夢の叶え方や見つけ方も、やはり時代によって少しずつ変化しているようです。現代の新人・若手世代にピッタリな「夢の叶え方、見つけ方」のコツを、仕事の悩み解決のエキスパートに教えていただきましょう!
▼お悩み其の四「夢の叶え方、見つけ方が分からない」
■新人Eさんの悩み
「叶えたい夢がありますが、叶えるための方法が分かりません。試験や資格で叶う夢ではないため、いつかはやりたいと思っているうちにどんどん時間が過ぎてしまうばかりです。最近では少し自信がなくなってきました。でも諦めたくないんです。夢を現実にするために、まず何をしたら良いのでしょうか?」
■新人Fさんの悩み
「自分には、夢がありません。条件の良い会社に就職しましたが、毎日同じことの繰り返しでなんだか退屈です。夢を持っている友達は、大変そうだけどいきいきしていて羨ましいと思うことも。私も生き甲斐のようなものが欲しくなります。夢のない自分が夢を見つける方法はありますか?」
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夢を叶えたいEさんと、夢を見つけたいFさん。真逆に思えるふたつの悩みですが、じつはどちらも同じアクションを起こすことが悩み解消の近道になります。
今回も解決策を教えてくださるのは、株式会社リクルートマネジメントソリューションズの桑原正義さん。新人・若手の育成ノウハウ研究の第一人者で、企業向けのセミナーも多数開催。研究者というフラットな立場から新人サイドと上司サイド、両方の悩みに日々直接触れている、まさに職場の悩み解決のエキスパートです。
夢の叶え方と、見つけ方。どちらにも共通する解決策とは、いったいどんなアクションなのでしょうか?
▼「自分そのものを活かした仕事をしたい」夢、あなたならどう叶える?
まずは、「夢を叶えるために何をしたら良いのか分からない」というEさんの悩みから見ていきましょう。
Eさんに詳しく聞いてみると、叶えたい夢というのは特定の職業ではありませんでした。Eさんが目指しているのは、「イベントやアイテムなど、自分が良いと思ったものをプロデュースして、世の中に広く発信していく」という生き方です。
たとえば、インフルエンサー、ブロガー、◯◯プロデューサー。今、そうした生き方で生計を立てる人が続々登場しています。彼・彼女らに共通するのは自由でいきいきした姿。従来の「仕事」のあり方にとらわれず、自分の人生や感性そのものをコンテンツとして発信することで、世の中に貢献しています。
その生き方を叶えるのに明確な道筋はありません。資格や経歴に関係なく誰でも目指せる夢である反面、「◯◯の資格をとればいい」とか「△△の会社に入ればいい」といった明確なルールがないため、Eさん自身どうしたら良いのか迷ってしまっているようです。
▼「夢を叶える自信がない」その原因は2種類ある
桑原さんいわく、夢を叶える自信がないとき、その原因はおおまかに2種類に分けられます。
ひとつは、その夢を叶えるために必要な能力が身についていないケース。もうひとつは、心の準備ができていないケースです。
それぞれ詳しく見てみましょう。
◆原因1 必要な能力が身についていない
夢を叶えるために必要と思われる能力が、まだ自分に備わっていないケースです。
たとえばジャーナリストになりたいという夢があるなら、時事問題についての知識や高い取材能力が求められます。
スキル、知識、資格など、必要な能力をまだ持っていない時期にはどうしても「自分に本当にできるのだろうか」と不安になってしまいがちです。
◆原因2 心の準備ができていない
なりたい気持ちはあるけれど、飛び込む勇気が出ない、というケースです。
目指す職業がハードルの高いものだったり、収入が不安定だったりする場合、飛び込むためにはある程度の覚悟が要ります。
本当にこれを選んで良いのかな。
うまくいかないかもしれない。
失敗したらどうしよう。
途中でイヤになっちゃうかも。
こんな気持ちがぐるぐる駆けめぐっていて、まだ心の準備ができていない状態です。
◆ふたつの原因が混ざり合っていることも
夢はあるけれど叶える自信が持てない、という方は、どちらの原因が今の自分の状態に近いか探ってみてください。
ひょっとしたら両方とも当てはまるかもしれません。能力不足を実感しているから飛び込む勇気が出ない。もしくは、飛び込む勇気が出ないからスキルを身につけるのもためらっている。そんなケースも多いですよね。
▼夢を現実に引き寄せる、たったひとつの簡単なコツ
夢を現実に引き寄せるために、自信を失わせている原因を解消していきましょう! じつはふたつの原因を一気に解消できる、桑原さんおすすめの方法があります。
それは「夢の近くにいること」です。
◆「計画された偶然」が夢を実現してくれる
夢を叶えるための手法はいくつもありますが、中でも今注目されているのが「プランド・ハプンスタンス・セオリー(Planned happenstance theory)」という手法です。これは今の新人・若手世代の性質とよくマッチしているため、夢実現の可能性を高めてくれる手法として桑原さんもおすすめしています。
プランド・ハプンスタンスとは、英語で【計画された偶然】という意味。「偶然を計画するなんて、どういうこと?」と思われるかもしれませんが、偶然という言葉を【チャンス】に置き換えてみるとどうでしょう? 【計画されたチャンス】ならば、少しイメージが湧いてくるのではないでしょうか。
夢を叶えるチャンスはいつも偶然にやってくるものですが、その偶然が起きる確率をできるだけ上げる工夫をして、チャンスを引き寄せる。これがプランド・ハプンスタンス・セオリーの考え方です。
◆夢の近くにいれば小さなチャンスも見逃さない
では、どうしたらチャンスが訪れる確率を上げることができるのでしょうか? 桑原さんがおすすめするのは、「いつもできるだけ夢の近くにいること」。
具体的には、次のような方法が考えられます。
・やりたいことにできるだけ近い職業や職場を選ぶ
・まずはオフの日の趣味として始めてみる
・実際その仕事をしている人の話を聞く
・同じ夢を目指している仲間をつくり、刺激し合う
最初からいきなり完璧な形で実現しようとすると、スキル不足や勇気不足に邪魔されてしまい、なかなかスタートできません。でも自分の可能な範囲で夢の近くに身を置くことなら、すぐにでも始められそうです。
もしも夢に必要なスキルがはっきり分かっているならば、それを身につけられる環境に身を置いてみましょう。OJTでそのスキルが身につく職場に就職したり、資格取得のために勉強時間を確保したり。仕事にするのはまだ難しいという場合には、趣味からスタートしても全く問題ありません。
同じ夢を実際に叶えた人の話を聞いたり、目指している仲間と定期的に情報交換したりするのもおすすめです。
そんなふうに少しずつ環境を変えていくと徐々に夢に近づいていく感覚が得られ、自信ややる気も湧いてきます。少しでも夢に近い環境を探してみましょう。
▼解決のヒント:「夢を叶えたい」Eさんの場合
相談者Eさんの場合は、夢を叶えるのに必要な資格や経歴が決まっているわけではありません。でも自分をコンテンツとしたビジネスやプロデュース業で暮らしを立てていくためには、やはり必要な能力がありますよね。
面白いブログを書く文章力や、みんながハッとするような鋭い視点、トレンドをただ追うのではなく、自ら発信できる独自のセンス……など、いろいろありそうです。
たとえば「面白いブログを書く」というスキル。これを身につけるためには、とりあえず毎日欠かさずブログを書いてみる、というチャレンジはどうでしょう? また、売れているブロガーの文章を読んで研究するのも良さそうです。
今の仕事が忙しくて時間が足りない? それなら少し早起きして、毎朝1時間ずつスキルアップにあてるというのはいかがでしょうか。
こうして考えていくうちに、Eさんはワクワクしてきました。「夢を叶える方法」と言っても、何をしたら良いのかさっぱり分からなかったEさん。でも今は次々と思い浮かんできます。ここまで来たら、あとは実践あるのみです。実際にやってみながら軌道修正していき、トライ&エラーで夢に近づいていきましょう!
▼ゆるい計画でOK、だからうまくいく
「夢の近くに身を置くことで、チャンスをたくさん引き寄せる」というプランド・ハプンスタンス・セオリーの手法は、多くの人にとって夢を叶える近道になると桑原さんは考えています。
桑原さん「夢を叶える近道というと、ゴールに向かって最短距離で進めばいいと思うかもしれません。でも『ゴールを設定して、そこへの最短距離を逆算して、計画どおりきっちり実行する』というやり方は、人によって向き不向きがあるのではないかと思います。
まずゴールをそこまで明確にイメージするのが難しい。計画をつくるのもけっこう難しい。そして計画を完璧に実行するのも、多くの人にとっては難しいですよね。
そういうときに、プランド・ハプンスタンス・セオリーはすごく役立ちます。夢はいったんゆるやかなイメージで抱えたまま、できるだけその周辺に身を置く。夢の近くで、いつも刺激を受けておく。気になることが出てきたら、そのタイミングでちょっとずつ手を出してみる。こうしたことを繰り返しているうちに、これはと思うチャンスが巡ってきます。その波が来たら乗っかればいい。このやり方なら、誰にとっても実践可能ではないでしょうか」
▼より自分に合う形に夢を軌道修正する効果も◎
さらにこの手法には、もうひとつメリットがあります。
桑原さん「夢の近くにいることで、もしかしたらより素敵な別の夢が見つかる可能性もあります。たとえば、サッカー選手になりたくてクラブチームで働くうちに『自分は選手としてプレイするよりも、むしろ教える方が好きかもしれない』と気づく。こんなふうに、漠然とした夢の形をより自分にピッタリ合った形に修正していけるんです」
なるほど。夢の近くに身を置くことで、夢がよりリアルな形に変化していくということですね。ということは、夢が複数ある人や、夢がはっきり見えない人にも向いている手法なのでは?
「そうです。じつはこのやり方は『夢を見つけたい』と悩んでいる人にもおすすめしたい手法なんです」
▼解決のヒント:「夢を見つけたい」Fさんの場合
夢の近くに身を置く「プランド・ハプンスタンス・セオリー」の手法は、もうひとりの相談者Fさんのように「夢がない、夢を見つけたい」と悩む人にとっても役に立ちます。
桑原さん「夢や目標を見つけるために必要なのは、自分に質問し続けること。脳というのは質問されると答えを見つけたくなるんです。『自分は何がしたいんだろう?』と毎日問いかけ続けていると、やがて『これかも』と思える答えが見えてきます。
答えをより見つけやすくするためには、好きなもののそばにいるのが一番です。好きなことや興味のある物事の近くに身を置き、気になることが現れたらどんどん手を出してみましょう。それが思わぬ展開を見せて、夢に変わるかもしれません」
好きなことの近くにいれば、チャンスが巡ってきたときに「ちょっとやってみようかな」と思いやすいですよね。でもやってみて向いていなかったらすぐやめる、なんてことを繰り返していると、周囲からは「飽きっぽい」と思われてしまいそうですが……。
「飽きっぽい性格をコンプレックスに感じる人もいるけれど、決して悪いことじゃありません。手を出したものの数だけチャンスを増やせると考えてみてください。
自分の心に従って、面白そうだと思ったらその場でトライしてみる。やっぱり向かないなと思ったら手放して、次の何かを見つけてやってみる。それを繰り返しているうちに、大きな夢やライフワークに出会えることもあるでしょう。仕事をころころ変えるのは難しいですが、その周辺での活動であればいろいろ試してみるのがおすすめです。
『仕事としてやっていけるのか?』と難しく考え出すと、何もしないうちから面倒になってしまいます。軽い気持ちでどんどんチャレンジした方が、夢とは出会いやすいんです」
「夢」という言葉にはつい圧倒されてしまいますが、「やりたいことの集合体」だと思ってみると良いのかも。やりたいことという小さなカケラをたくさん集めるうちに、だんだん大きな夢が形になっていきそうですね。
▼まとめ:夢の近くでどんどんアクションを起こしてみよう!
相談者Eさんは、夢を叶えるためにいろいろな工夫を始めました。発信したいアイテムやお手本となるコンテンツにできるだけ触れるよう、毎日意識しています。
Eさんのように「何かを発信する仕事に就きたい」と思っている方は多いかもしれません。あなたが目指す夢の形にできるだけ近づけるよう、環境を変えていきましょう。
たとえば、美容ブロガーになりたいならコスメ業界やエステ業界で働いてみたり。人気のあるインフルエンサーの行動を研究して真似したり、自分でも発信してみたり。そんな行動も将来に繋がります。夢の周辺で、夢に役立ちそうなアクションをどんどん起こしていきましょう。
Fさんのように、夢を見つけたい人も同じです。少しでも好きなものの近くに身を置き、気になることにはどんどんトライしてみましょう!
そうすることで、いつかチャンスが訪れたときにタイミングを逃さず波に乗ることができます。こんな生き方ならば、人生そのものもより楽しくなりそうですね。
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次回は「報連相がうまくできない」という悩みについて。上司に報連相するときの上手なコツをご紹介します。
1992年、人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)入社。営業、商品開発、マーケティングマネジャー、コンサルタント職を経て、現在は「新人・若手の育成」をメインテーマとした企業向けトレーニング・研修の開発に携わる。育成ノウハウの体系化に取り組むと同時に、上司・育成担当者向けのセミナーを広く開催。時代に即した新たな「育成のアタリマエ」の普及に尽力している。東京都公立幼稚園・こども園PTA連絡協議会副会長。https://www.recruit-ms.co.jp
(取材・文/豊島オリカ)
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