学校、職場、ママ友グループ……女が集まるとなぜか生まれてしまうもの。そう、それは「いじめ」です。
いじめのターゲットになりそうなとき、あるいはなってしまったときには、どう行動するのが正しいのでしょうか?
いじめに詳しい脳科学者の中野信子さんに教えて頂きました。
▼やめさせるより「回避する」のが正解
「脳科学の観点から見ると、いじめは集団を守ろうとする本能から生まれるもの。さらにいじめている最中はドーパミンが分泌し、脳が快感を覚えている状態です」と、中野さん。
いじめをしている最中、人は本能レベルで快感を覚えます。これを理性で止めようとしても難しいところ。
だからもしターゲットになってしまったら、やめさせることではなく「自分に向いた注意をそらし、回避する」ことに専念した方が良いのです。
とくに女性同士のいじめは巧妙化しがち。真正面から攻撃されない分、反撃もしにくい傾向があります。
危ない気配を感じたら、次のような行動をとりましょう。
▼脳科学の観点から見た「いじめに効果的な3つの対処法」
効果的ないじめ対処法は、次の3つ。
◆1.「意味がない」と思わせる
「一番いいのは、気づかないこと」と中野さん。
「誰かに嫌味を言われてもあまり気にならない人、いますよね。周囲に同情されても、本人は『え、何が?』ときょとんとしているような人。もしあなたがそのタイプであれば、そのままでいることが一番です!」
いじめる側の脳が求めているのは、攻撃中に分泌されるドーパミン。思うような反応が得られなければ自然とクールダウンし、ターゲットから外れます。
◆2.「意外と怖い人」になる
そうは言っても、「受け流せないからこの記事を読んでるんだよ〜!」という人もいるはず。気になってしまうタイプの場合は、無理にスルーするよりも「自分を守る鎧」を作り上げましょう。
「鎧とは、ちょっと強い言葉で言い返す、相手の痛いところを見抜いてそこを突く、といったスキルのこと。身近な人でも小説のキャラクターでも、言い返すのが上手な人を観察してフレーズを研究するのがお勧めです」
小さなダメージでもOK。相手の脳に「この相手は反撃してくる」というイメージを植え付ければ、いじめやすい対象ではなくなります。
「直接言い返せなければ、『外堀を埋める』『強力なバックを味方につける』方法もアリ。
職場なら、相手よりも立場が上の人(できれば人事権を持つ人)に相談します。このときのコツは、感情論ではなく論理的な相談をすること。『彼女のこういう行動が、職場の生産性を下げています』とロジカルに報告した方が、適切な対処に導けます」
◆3.別の刺激を提示する
いじめ以外の刺激をさりげなく提示してあげる、というのも一手です。
「ドーパミンに支配された脳は、次々新しい刺激を求めます。『もっと面白いものがあるよ』と提示することで、いじめを回避できるケースも」
お局様に「これ今ハマってて。お勧めです!」と、お局様がハマりそうなイケメンアーティストのCDを貸し出す、とか。相手がすっかり夢中になれば、いじめどころではなくなる……かも!
▼気をつけて!11月・6月はいじめ増加シーズン
「ちなみに11月と6月は、いじめが増える時期なんです」と、衝撃の事実を明かす中野さん。11月といえばまさに今ですが、いったいなぜ!?
「子どもの場合は学校行事との絡みが大きいのですが、大人の場合は日照時間の変化が原因。
心身を安定させるセロトニンは、日光を浴びることで生成されます。日照時間が大きく変化するこの時期は、体内でセロトニンの量が不安定になって、誰もがイライラしたり、憂うつになったりしやすいんです」
イライラの原因を無意識に探して、「あの人が目障りなせいだ」「あいつが人の輪を乱すのが悪い」と、他人に敵意が向きやすいんですね。
▼職場で使える予防策・ターゲットにされないためには?
要注意のこの季節。毎日を過ごす職場で、いじめを予防するコツはありますか?
「ズバリ、女性らしさと若さを前面に出さないことです。というのも、いじめや嫉妬の対象になるのは『自分に似ている人』や『手が届きそうな対象』だから。
可愛くて若くて、ちやほやされる後輩がいる。私だって同じ女性で、少し前までちやほやされてた。羨ましい、妬ましい……そんな些細な火種から、いじめの炎は燃え上がります。
ファッションや髪型をシンプルにしたり、低めの声でゆっくり喋ったり、無理のない範囲で工夫してみて」
いじめへの対処法・予防法は、中野さんの著書『ヒトは「いじめ」をやめられない(小学館新書)』にも詳しく書かれています。
次回は、ネット炎上などで自分がうっかり「いじめる側に回りそうなとき」、心を落ち着かせるコツについて伺います。お楽しみに!
★詳しくはこちらの本もチェック
ヒトは「いじめ」をやめられない
著/中野信子
780円+税/小学館
中野信子
1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所にて、ニューロスピン博士研究員として勤務後、帰国。脳や心理学をテーマの研究や執筆の活動を精力的に行う。科学の視点から人間社会で起こりうる現象及び人物を読み解く語り口に定評があり、著書多数。また、テレビコメンテーターとしても活躍中。
(構成:豊島オリカ)
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