男にも会社にも裏切られて…33歳、何が幸せ?

突然告げられた理不尽な異動。おとなしく従うべき? 拒否して会社を辞めるべき?

私が異動したくないのには、出世ややりがいより大切な理由があって……。

「バリキャリ未満、ゆとり・悟り以上」を生きる33歳のOL、マユに訪れた突然の転機。今どきの「女の幸せ」ってなんだろう? 世代を超えて共感必至の、女の人生ルポルタージュ、第2回。

★Vol.1はこちら→ 突然告げられた理不尽な「異動」。33歳、何が正解?

 

水野マユ(仮名)33歳/エンタメ関係

1984年生まれ、東京都品川区在住(両親、犬1匹と同居)
職歴/大学卒業後、音楽関連会社に就職。2年勤めて退社。
その後、約1年半のアルバイト期間を経て、27歳で現在のエンタメ関連会社に入社。
似ているタレント/大政 絢
理想のタイプ/藤原竜也
手取り月収/約22万円(税引後)   貯金総額/約1,500万円

Vol.2  男にも会社にも裏切られっぱなし。33歳、何が幸せ?

「インスタフォロー外し」が意味するもの


「ユタカと1か月半ぶりに表参道で会って、焼肉を食べながら会社のグチを言った後、私は我慢できなくて、言っちゃいました。私のこと、どういう感じ、というか…、どう思っているのかなって。私は、付き合えたらいいなと、思ってるんだけど、って。

そしたら、『うん、ごめん…、マユちゃんの期待には応えられそうにない』だって。

失恋決定。考えてみれば、そりゃそうですよ。ユタカが私のこと好きだったら、いくら忙しくても時間つくって会っていただろうし、この2か月で一度しか会ってないって、脈なしだって誰が見てもわかりますよね。早く認めればよかったんですよね。

あー、焼肉してる時間、もったいなかった。またイチから出会って恋愛して、ってやらなきゃいけないんだ。あー、面倒。

最近知ったんですけど、ユタカ、つい最近婚約したらしいです。私のインスタのフォローを外したのも、合点がいきましたよ。いろんなものを整理してたんでしょうね」

 

マユは落ち込んだ気持ちのまま、人事担当者との二度目の面接に臨んだ。9割は前回の話の繰り返しだったが、新しく聞けたことがひとつだけあった。それは「忙しさや長時間勤務は、なくなる予定です。だから、来月からマネージャーの仕事をやってみて、それから判断してもいいんじゃないですか」ということだった。

 

「私が提示した、キャリアアップの道が断たれたという問題は、人事担当者にはすっかり忘れられていましたね。とにかく『働き方改革を』『長時間勤務を改善』の一点張り。そんなもんですよね、会社なんて。期待もしなくなったので、ガッカリもしませんでした。

男にも、会社にも、裏切られっぱなしで、気分はどん底でした。何やっても楽しくないし、つまんない。仕事したくない。考えたくない。これ、絶対にウツです」

 

ユタカに失恋したばかりのタイミングにLINEで愚痴っていた親友から、婚活パーティと合コンに誘われ、気が進まないまでも参加表明した。予定を埋めることで空しさを紛らわせるしかないのだが、婚活パーティなんて初めてだ。合コンだって1年以上ぶりで、結婚したいと言うわりには、特に何もしていなかった自分に気づく。

マユ自身は、少しでも気になる人がいるときは、他の人にまったく身が入らなくなる。だから誘われても断ってきた。ピュアと言っていいのか、うまくウソをつけないというか、基本は「ひとすじ」でいたいという性分だ。それが「婚活」という市場において、いいのか悪いのかは、わからないけれど。

 

 

 

新たな出会い


「人事のデスコールから3週間たち、少しずつ業務の引き継ぎも始まりました。私の後任は、中途採用で入ってきたばかりの5歳下の未経験女子。引き継ぎっていっても、長年かけて私が築いてきたノウハウや人脈は引き継ぎできるもんじゃない。だから、すごーく表面的でマニュアルにある簡単な引き継ぎばっかりやってます。異動を控えた私には、新しい仕事は入ってこないので、残業なしで5時半には会社を出て、ぷらぷら。今日は美容院の予約入れてます。明日は合コン。アフター5の充実が、異動が決まってから唯一の“いいこと”ですかね」

その日、美容院へ向かおうと、渋谷駅で人の流れにそって歩いていると、ふと目が合った青年から、声をかけられた。正確には、一度すれ違ってから、戻ってきて私の前に回り込んで来て、立ちはだかった。

「お茶、しません?」

山崎育三郎に似た、好青年だった。そして、たぶん年下。

そもそも男性に関して、明確に好みがあるわけではない。というか、ストライクゾーンは広めで、後からいいところを見つけて好きになっていくというのが、マユのいつものパターンだ。

「『これから行くところがあるんで、すいません』。そう断りました。そもそも失意のまっただ中だし、ウキウキした気分とはほど遠かったし…。でも、悪い印象ではなかったので、LINE交換はOKしました。翌日にLINEが来て、その翌週に食事に行くことになって。それも、浮かれてというよりは、断る理由もないなーっていう冷静な判断のつもりです。

育三郎(仮名)との最初のデートは表参道。私、ほんとうにストレスがたまってたんだなーって、今振り返ると思うんですが、ほぼ初対面の彼にずーっと会社のグチを言っちゃって。でも、それをずっと聞いてくれる育三郎は、すごく心地よかった。

1軒目は鍋の店、2軒目はカフェ、それでも話し足りなくて、3軒目のバーに行って、結局深夜2時まで。ずっと楽しくて、平和で、癒されて。次は、私が育三郎くんの話を聞くからね、と言って別れました。

それから、週に1〜2回は会ってます。私が延々とグチを言ってたのに対して、彼は将来の夢を語ってくれるんです。子どもの教育に関心があること。今は一般企業で働いているけれど、2年後にはヨーロッパで教育を学んで、それから世界を回って、帰国して教育ビジネスで起業するーー。なんてドリーミング、なんてまぶしい、なんて正義感。そしてすっごく頭がいい。

問題があるとすれば、彼との年齢差かな。彼、8つも年下だったんです。これって私、またダマされてるんですかね…? そんなこと、ないですよね?」

Vol3「いちばん恐いのは、やりたいことがわからないこと」に続く。

 

 

 

文/南 ゆかり
「CanCam」や「AneCan」、「Oggi」「cafeglobe」など、数々の女性誌やライフスタイル媒体、単行本などを手がけるエディター&ライター。20数年にわたり年間100人以上の女性と実際に会い、きめ細やかな取材を重ねてきた彼女が今注目しているのが、「ゆとり世代以上、ぎりぎりミレニアル世代の女性たち」。そんな彼女たちの生き方・価値観にフォーカスしたルポルタージュ。