山田裕貴、前田司郎監督に「いいやつ止まり」と見抜かれる?

満席の客席を前に、「満席ということで非常に上機嫌でございます」と山田さんが挨拶。いろいろな作品を観ている映画通(?)の実妹からは、「いままで観た映画の中でいちばん面白い映画だった」と言われたそう。

前田監督は「若い人たちに観てもらえるのは嬉しい」という言葉に続けて、「まぁ、山田くんも若いから……でもそんなに若くないのか」という発言から話が反れて、山田さんの年齢のことに。「今年26(歳)になっちゃいます。四捨五入すると30です」と言うと、前田監督も「けっこういい年だね」とポツリ。「若く見られるんですけど、『けっこういってるね』って最近言われるようになりました」(山田さん)

 

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本作では、会話のひとつひとつがリアルな日常のひとコマのように描かれているのに、ふとしたシーンに落とされた“非日常的なモノ”に、思わず目を奪われる場面も。

そこに込められた前田監督の想いを知った山田さんは、「すごく考えさせられる映画だし、いろんな意味が散りばめられていて気になってたので、そう考えてたんだ」とすっきりした表情。

山田さんが撮影中、特に気になっていたのは、彼が「名優。尊敬している」という黒田大輔さんが“白塗り”になったシーン。前田さんに聞くと、「面白いかな……って」というひと言。「そういうことだったんですか?」と山田さんも驚くほど拍子抜けな返事。と思いきや、さらに話を聞くと「死んでいる者と生きている者」を表現する上で描かれたシーンだったようで、隣りで感心した顔でうなずきながら話を聞く山田さん。

名優を白塗りで登場させるという前田監督に対して、「前田監督らしい(笑)」と言う山田さんでしたが、実は本作で、沖田修一監督(Netflixの『火花』を手掛けた監督)やカンヌ国際映画祭で「ある視点」部門審査員賞を受賞したばかりの深田晃司監督も登場しています。

まさかの監督と演者としての共演に、山田さんも「監督と作品の中で会うという不思議な体験をさせてもらった」というほど。「今度、沖田の作品に出たら?」という本人がいない場所でのやり取りに、山田さんも戸惑いながらも「え、じゃあぜひ」と。

 

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ヒサシ役について、山田さんは「まんま僕。僕もバカなところいっぱいありますし……」と言いかけると、監督から「バカなところを“売り”にしているところが出てきたよね、最近」と、鋭い指摘が。山田さん本人も、「見えてきちゃってます?(笑)」と、見抜かれたという顔。

そんな山田さんですが、「でも僕がいつも思っているのは『バカと天才は紙一重』」と、バカでも、いつか「天才」と呼ばれる日がく来るかもしれないというのをテーマに生きていると告白。

するとさらに監督から「でもやっぱり自分で“バカ”っていうのはよくないんじゃない? 産んでくれたお母さんとかさぁ……」という言葉に、思わず「なんでいい人ぶるんですか!(笑)」と大声を出してすぐ、自分が放った言葉に「……いい人なんですけど」と突っ込むという、なんだかうまく前田監督の手のひらで転がされているような……?

 

ところで、山田さんが前田監督と出逢ったのは、昨年2月に行われたワークショップが最初。それがきっかけで、山田さんが本作に出演することになったのですが、前田監督は当時、山田さんのことは「いいやつ」という印象だったとか。

それを受けて山田さんが、女性からも「いいやつで止まることが多い」と言うと、前田さんから「ああ、そうだろうね」と、さらりとした返し。「見抜かれてますね(笑)」と笑うしかない山田さんなのでした。

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前田さんの中では「いいやつ」止まりではなかったよう。8月19日から前田監督の下、山田さん初主演で、舞台『宮本武蔵(完全版)』が始まります。「台本を読みながら笑っちゃうぐらい面白くて、前田さんの本が面白いので、(芝居を)面白くできなかったら僕のせいだと思いながら……」と言い終わらないうちに、かぶせ気味に「そうですね」と、前田さん。「さらりと思いきりパンチされた(笑)」(山田さん)

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お気に入りのシーンで前田監督が挙げたのは、小泉さんと二階堂さんが話している場面、小泉さんと梅沢さんの夜の場面など、「ふたりのシーン」。撮影中というより、編集しているときに「なぜかわからないけど、いいなと思った」のが、そういったふたりでの対話のシーンだったとか。

一方、山田さんが思わず笑ってしまったのが、「橋の向こうで急にアクションが始まるシーン」。山田さん自身も登場しているそうなのですが、殺陣師さんも来て細かく指導してもらったにもかかわらず、「ほとんど映ってない」という場面。バックに映りこんでいる画も、見逃せませんね。

 

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実は、区によって撮影できるシーンとできないシーンがある様子。すると前田監督の「都知事が変わったらいろいろと許してくれるかも」という話に。次の都知事選の結果によっては、映画界の未来にも深くかかわってくる、かも? そんな話の流れで、「(都内でも)撮影場所を増やしてください。よろくお願いします!」と山田さんも懇願。

トークショーの最中、前田監督は気になることはその場で山田さんに訊ねたり、ちょっと突き放すような言葉で山田さんの返しを伺ったりという感じ。時に、面食らった表情を見せつつ、場を楽しませる言葉で対応する山田さん。

本作からだいぶ脱線したときもありましたが、それもまた山田さんと前田監督のトークショーの醍醐味?

 

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「観る人によっていろんなことが感じられたり、何かを受け取ってもらえる映画だと思います。僕はこうやって作品に出させてもらって、(みなさんに)観てもらわないと始まらない仕事なので、こうやってたくさんの方に観ていただけるということは嬉しいと思っています」(山田さん)

“前科持ちで戸籍ナシ”という、奔放でエキセントリックな子供を捨てた母親・“未来子”(小泉今日子さん)と、死ぬほど退屈していた毎日に、ある日突然自分を捨てた母が突然現れ反発する女子高生の娘・“果子”(二階堂ふみさん)。

過去と未来が隣接するストーリーの中、母娘の不協和音を予感させながら、どこかへンで自由な家族が、まるで夏休みに宝島を探しに行くような……、そんな愛と孤独と成長の物語。『ふきげんな過去』は、ただいま絶賛公開中です!(さとうのりこ)

◆ふきげんな過去 http://fukigen.jp/

 

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