■如来……「如」は真理という意味で、真理を得て悟りを開いたお釈迦様が、その真理の世界から「来た」から「如来」と呼ばれ、人々を苦しみから救うために存在。
[主な特徴]
【螺髪(らはつ)】如来最大の特徴は パンチパーマ風の髪型。盛り上がった頭頂部は「肉髻(にっけい)」といい、深い知恵を表しているのだとか。
【施無畏印(せむいいん)】手の形や組み方を「印」といい、意志を表します。右手の「施無畏印」で恐れを取り除き、左手の「与願印(よがんいん)」で願いを聞き入れます。
【蓮華座(れんげざ)】仏像が乗る台座は、泥の中から美しい花を咲かせる蓮。悟りを象徴し、それを象った蓮華座は如来や菩薩の台座として用いられます。
■菩薩……たくさんの装飾品を身につけたり、女性のような姿をしていたり、頭上にたくさん顔があったり手が千本だったり。如来の意志に従ってさまざまな姿に変身し、あらゆる方法で人々を救済する存在。
[主な特徴]
【宝冠(ほうかん)】如来は装飾品をつけませんが、菩薩はさまざまな装飾品をまとっています。インドの王侯貴族の衣装を基にしていて、冠までのせていることも。
【腕釧(わんせん)】手首にブレスレット状の「椀釧」、腕に「臂釧(ひせん)」、足首に「足釧(そくせん)」など、菩薩は宝飾持ち。
【天衣(てんね)】腰布を巻いて上半身には“たすき状”の「条帠」をかけ、ショールのような「天衣」を身につけています。衣の流れるような表現も見どころ。
■明王……古代インドのヒンドゥー教の神々が密教の教えの中に取り入れられ、大日如来の化身として人々を救う仏様に。憤怒の表情や武器は、煩悩にとらわれた者を救済するためで、姿は恐ろしくても人のために尽力します。
[主な特徴]
【光背(こうはい)】背後には体から放たれる光明を表す光背が。仏像によってデザインが異ります。
【羂索(けんさく)】不動明王が左手に持つ縄のこと。右手の剣で絶ち切った煩悩を捉えます。
【結跏趺坐(けっかふざ)】立っているのを立像(りゅうぞう)、座っているのを坐像(ざぞう)と呼びます。座り方にも複数ありますが、両足を組んでももにのせる「結跏趺坐」が基本形。
■天……仏教を守護する神々、如来や菩薩のボディーガード。四天王や十二神将など。自然現象や抽象的な概念を神格化した像も多く、半身半獣なども。大黒天や弁財天など七福神もこれに属します。
[主な特徴]
【戟(げき)】四天王の多聞天は単独で祀られると毘沙門天と呼ばれ、右手に先が三叉になった武具の「戟」を持ちます。
【多宝塔(たほうとう)】四天王のなかで毘沙門天だけが持つ宝物。「戟」で悪を退治し、この「多宝塔」で富を与えるのだとか。
【沓(くつ)】立像には裸足の仏像も多いですが、ブーツのようなものや足袋状のものなどの履物を「沓」と呼びます。
それぞれの仏様の姿形や表情、身に着ける衣や装飾品、手にする道具などに共通した特徴があります。また、それぞれの役割などにも注目しつつ、仏像を拝見していくと、いままで以上に楽しみも増えそうですよね。
さらに、仏像の興り、素材や種類などもさらりと勉強していきましょう。