『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』をレビュー!「AIと共に生きる時代に、どう関係を結ぶのかのヒントが詰まっている」

しんのすけ@今月のMOVIEコレミトコ!

TikTokの映画レビューでバズりまくりのアニキ・しんのすけさんが読者にイチオシの映画をナビ☆

紹介してくれたのは…

しんのすけ
1988年、京都府生まれ。映画感想TikTokクリエイター。映像作家、株式会社MEW Creators代表。映画レビュージャンルを開拓し人気を集める。

Q. 最近ハマった配信系の作品は?

A. 岡田准一さんが主演&プロデューサー、アクションプランナーを務めたNetflixシリーズ『イクサガミ』です!


今月の映画は『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』

STORY

夏休みにドラえもんの提案で海の真ん中でキャンプをすることになったのび太たち。ひみつ道具の「水中バギー」と「テキオー灯」を使い、海底キャンプを楽しむ中、沈没船を発見し、謎の青年・エルと出会う。彼は海底に広がる〈ムー連邦〉に住む〝海底人〟だった──。1983年に公開された『映画ドラえもん』シリーズの代表作のひとつが、新たに生まれ変わります!


機械と人間の在り方はドラえもんで学ぼう!

あなたは機械と友達になれますか? 昔からあったテーマですが、ここ数年でAIをテーマにした映画が増加しました。その中でも国民的アニメであるドラえもんは、ロボットとの共生における身近な存在です。ですが、かなり生き物に寄った描き方であるため、人工知能という認識も薄れているように思えます。

そんな中で2026年に『のび太の海底鬼岩城』が描かれる意味は、単なる名作の再映画化ではありません。AIが会話し、判断し、人の生活に入り込む時代に、冒険のかたちを借りて「AIと共に生きる」というテーマを描きます。ワクワクする海底冒険でありながら、未来の人間関係を老若男女に考えさせる物語になっているのです。

今作でいちばん心をつかまれるのは、海底を冒険するためにドラえもんが用意したひみつ道具、水中バギーの存在です。意思を持ち、感情のようなものを見せるこの車を、しずかちゃんは最初から「道具」ではなく「友達」として接します。命かどうか、役に立つかどうかを判断する前に、自然に声をかけ、気使う。その距離感がとても今っぽい。AIと共に生きる時代に、どう関係を結ぶのかのヒントが、しずかちゃんの態度に詰まっています。

予告でも印象的なのが、水中バギーが人の心を学ぶ中で交わされる「正解と正しいは違う」というのび太の言葉です。論理的に考えれば、正解を選ぶのは簡単です。でも人は、気持ちや迷いに引っ張られて、非効率な選択をしてしまうことがある。その〝不完全さ〟こそが人間らしさだと、この映画は肯定します。自発的に考え、行動しなければならないのは、AIだけでなく人間も同じ。答えを即座に出せる存在が身近になった今だからこそ、このひと言がやけに胸に残ります。

また、今作に登場する海底人は、魚のニュアンスを持つデザインで描かれていますが、違いは見た目だけではありません。環境を汚してきた陸上人への怒りや不信感が、子供にもわかるように描かれています。「怖いから」「知らないから」距離が生まれる。その分断をどう超えるのかを、冒険の中で自然に考えさせてくれるのです。

教育とエンタメのバランスが素晴らしい『映画ドラえもん』シリーズ。43年前の作品を再映画化しても現代へのメッセージはより濃く、むしろ輪郭がはっきりしてい

ることに驚かされます。冷戦や核の恐怖を背負った時代のSFから、今作はAIや分断と共に生きる私たちの時代に向けたSFに。時代が変わっても、変わらず問いを投げかけてくれるドラえもんは、本当の意味で未来から来た存在だったのだと思い知らされるのです。いつかドラえもんのようなロボットと共に生活する日がくるとき、我々人間はどう進化しているのか。その定点観測は、『映画ドラえもん』が担っているのかもしれません。

映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城

配給:東宝/2月27日公開
©️藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2026
CanCam2026年4月号「CCC!」より
構成/小山恵子 WEB構成/久保 葵