仕事をしながら8つの資格を取得。短期間で結果を出した人の暗記法はコレ

知識がどんどん頭に入る!効率良く成果を出す「インプット&暗記法」の仕組み

「勉強はしたいけど、毎日忙しくてなかなか時間を割けない」…という悩みは、社会人になるとありがちなもの。でも、もし『短期間で効率良く成果を出せる勉強法』があるなら、試してみたくなりませんか?

ここでは、偏差値30台の高校時代から東大に合格し、TOEIC950点超を含む8つの資格を独学で取得するなど、勉強において多くの結果を出している石黒由華さんの書籍『夢を先送りしない勉強法』(技術評論社)より、「だれでも、どんなに時間がなくても結果の出る勉強法」のノウハウをお届け。
今回は、効率良く成果を出せる「4つの勉強法」をご紹介します。

「終点読み」×「娯楽読み」で下準備

①わずか30分の「終点読み」で、もう迷わない

勉強で成功するためにまずはじめにやるべきことは、自分が目指すゴールを知ることです。
そのために必要なのが「終点読み」「過去問」や「予想問題」など、自分が目指すゴールとなるものに目を通し、その出題傾向をつかむ読み方のこと。

一般的に、過去問や予想問題は試験直前に見るものだと思われています。しかし、勉強を始める前に、次のようなことをチェックしてください。

【「終点読み」のチェック内容】

・出題範囲
・問題構成・内容
・問題形式
・問題数
・1問あたりの回答時間
・合格点

たった「30分」でかまいません。目的は問題を理解すること、問題を解くことではなく、出題傾向を把握することです。

目指すべきゴールが明確になると、効率的に勉強する方法も見えてきます。たとえば問題形式ならば、選択肢から正しいものを選ぶ「選択式」なのか、語彙力が問われる「穴埋め式」なのか、自分で文章を書く「記述式」なのかで、勉強法は変わってくるものです。

これは試験勉強以外でも有効。「尊敬する上司が作成した企画書やプレゼン資料」「英語が得意な同僚が書いた英文書類」など、目標にしたいものを「終点読み」し、その特徴やポイントを探ってみましょう。完成形をイメージすることで目標にぐっと近づけます。

②「娯楽読み」で、楽しみながら実力をつける

勉強というと、苦しく、退屈なイメージを持つかもしれません。しかし「楽しい」「面白い」ことならどうでしょうか? 推しの芸能人のことなら頭に入ってきたり、趣味で始めたことがいつのまにか上達していた経験はだれしもあると思います。

そこでおすすめなのが、学習マンガ、ゲームアプリ、動画、読みやすい一般書(「マンガでわかる」「イラストで楽しむ」「10時間で学べる」などと題されている本)など、娯楽要素のある教材を楽しみながら読む「娯楽読み」。次のようにして、その分野の面白味や全体像をいち早くつかむ読み方です。

【英語学習】
英語上達の鍵は、楽しみながら英語のシャワーを浴びること。英字新聞や海外ドラマ、NHKの語学番組などを取り入れてみましょう。

【資格試験】
とっつきにくい試験対策には、楽しいスマホアプリなどを取り入れてみましょう。ゲームアプリから始めることで、遊び感覚で覚えられ、スムーズに試験合格を目指すことができます。

このように、「娯楽読み」は学習のファーストステップとして効果的です。

「3段階読み」×「カンニング勉強法」でムダなくインプット

③「3段階読み」で理解と定着が進みやすくなる

参考書や問題集を読むとき、もし1回で全部を頭に入れようとしているなら、その方法はすぐに止めてしまいましょう。どんなに丁寧に読み込んでも1回で理解・暗記できることはほとんどないからです。最初は雑でもいいので、何周も読むほうが、内容が飛躍的に頭に入りやすくなります。そのためのメゾットが次の「3段階読み(STEP1~3)」です。

【STEP1】1日1冊読み

本の全体像を把握することが目的。目次や見出し、キーワードを中心に読み進めます。特に目次は、本を開く前と閉じるときに必ず目を通してください。そして、読んでいる途中にも頻繁にチェックすることで、読んでいる内容が全体の中でどのような位置づけにあるのかを整理することができます。

【STEP2】1日1章読み

本の重要な部分を理解することが目的。キーワードや需要箇所を中心に読みます。到達目標は、問題集の場合は「解答・解説を読んで理解できる」「解答に必要なポイントを把握する」ことです。

ただし、わからないところが出てきた場合は、あまり時間をかけすぎないようにしましょう。不明点はメモして、読み飛ばしてもかまいません。なお、自分の実力次第で「1日2章読み」「1日半章読み」などペースを調整してもOK。あえて量を増やして、自分の限界に挑戦するのもおすすめです。

【STEP3】本気読み

本の内容を完璧にマスターすることが目的。全体を丁寧に精読します。到達目標は、問題集の場合だと「解答・解説なしで、自分で問題が解けるようになる」ことです。

「解答を“紙に写しながら”覚える」「問題集に“解法のポイントを書き込む”」など、「手を動かす」ことがポイント。脳が活性化し、内容を理解・暗記しやすくなることは、科学的にも証明されています。

◆「3段階読み」のメリット

・重要箇所を中心に把握していくことで、全体像がつかめる
・何周も読むとさまざまな情報が有機的につながり、理解する速度が上がる
・短期間で「繰り返し読む」ことで、記憶に定着する
・「これだけ進められた!」という達成感を得られ、モチベーションが上がる
・期限を決めることで、先延ばしを防ぐ

ドイツの心理学者・エビングハウスの「エビングハウスの忘却曲線」によれば、人は覚えたことを、20分後には42%、1時間後には56%、1日で74%も忘れてしまうと言います。一方、1回で暗記しようとせず時間をおいて何回も繰り返し「思い出す」ことで、このような忘却を食い止め、知識を記憶に定着させられることがわかっています。

また、ある章で学んだことが別の章を学ぶときに役立つこともよくあります

④「カンニング勉強法」で考える時間・悩む時間を最小化

◆主教材は「問題集」、テキストや参考書は副教材にする

試験勉強のときに、メインで勉強する教材としておすすめなのが、テキストや参考書よりも、「問題集」や「テキスト付き問題集」です。問題集を使えば、テキストの内容が試験でどのように聞かれるのかがひと目でわかるので、ゴールから逆算できてムダがなく効率的です。

一方で、テキストや参考書のほうが情報量が豊富で、解説が丁寧なことが多いでしょう。そこで、これらは副教材として次のように活用します。

【「テキスト」や「参考書」の活用方法】

・問題集に書いてあることがわからないときに「辞書代わり」に使う
・問題集を読み終えた後の「仕上げ」に読み、知識を補足する
・入手した知識は、問題集に書き込み、情報を1つのところに集約しておく

◆「カンニング勉強法」なら問題集がサクサク進む

「とはいっても、テキストや参考書を読む前にいきなり問題集をやっても、解ける問題はないのでは?」…そう思うことでしょう。もちろん、そのとおりです。

そこで提案したいのが、「カンニング勉強法」。問題を「すべて自力で解こう」とするのではなく、わからないときは「すぐに答えを見るようにして」読み進めたり書き写したりしながら、解法を暗記学習する方法です。

勉強時間の一番のムダは、ズバリ「考える時間」「悩む時間」。「解けないときは解けない」と割り切ることで、大幅に勉強時間を短縮できます。


さらなる勉強法のコツが知りたい方は、ぜひ書籍でチェックしてみてくださいね。

【書籍情報】

『夢を先送りしない勉強法』/技術評論社出版/¥1,760
石黒 由華(いしぐろ ゆか)
東京大学卒業。学生時代から20年以上勉強法を研究し、「だれでも、どんなに時間がなくても結果の出る勉強法」を考案。
高校時代は、学級崩壊しているクラスで「偏差値30台」だったところから、独自の勉強法を確立し、早慶上智、さらに東大に逆転合格。大学では教育学を学ぶ傍ら、大学受験雑誌のライター、全国模試の採点アルバイトを経験し、「結果の出る勉強法」をさらに深く研究。天才・秀才たちの集まる東大を「トップクラスの成績」で卒業。卒業後は、約500倍の倍率を突破し、マスコミ企業に就職。
その後も、限られた時間の中で仕事と勉強を両立、英語・IT・会計など8つの資格を「独学」で取得し、昇進やキャリアアップを果たす。中でも、英語では「TOEIC950点超」を取得したほか、留学経験ゼロで自己紹介もできなかったところから「Google社員レベル」と評価されるほどペラペラに話せるまでにレベルアップ。
結婚・出産後も、なかなか寝てくれない0歳児の子育てで自分の時間がほとんど作れない中で、「約半年で」東大大学院に合格。
趣味は、旅行、美術鑑賞、美容。世界遺産検定、美術検定、化粧品検定などを取得。大好きな趣味を楽しみ、充実したプライベートを過ごす。
 
 
構成/Mai 写真/(c)shutterstock.com