「何もしない時間」好き?苦手?「Z世代の時間の使い方」のリアル

「タイパ」意識してる?

皆さんは生活する中で「タイパ」を意識していますか? 「限られた時間をできるだけ効率的に使いたい!」という人もいれば、「できるだけゆったり過ごしたい」という人もいるはず。

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ここでは、株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが運営するマーケティング機関『SHIBUYA109 lab.』が、15~24歳のZ世代461名を対象としたアンケート調査と、大学生の女性8名対象としたグループインタビューによって実施した「Z世代の時間の使い方に関する意識調査」をご紹介していきます。

効率的に過ごしたいZ世代多数。

図1.時間の過ごし方に関してあなたにあてはまるものを教えてください。 [単一回答] n=461(高校生:229/大学・短大・専門学生:232)

まずはこちら。「効率的な時間の過ごし方をしたい」と思っている人が79.9%で、効率を重視している人が圧倒的に多数派であることがわかります。

一方で、「自分が大切だと思う事柄には時間をかけたい」では「あてはまる」派の人が84.9%と、こちらもかなりの回答を集めていることがわかります。

図2.時間の過ごし方に関してあなたにあてはまるものを教えてください。[単一回答] n=461(高校生:229/大学・短大・専門学生:232)

「『タイパ』という言葉を日常的によく使う」かどうか確認した質問では、「あてはまらない」という人が74.6%と、かなり多いことが分かります。「タイパ」を意識しているイメージのあるZ世代ですが、意外にも「タイパ」という言葉自体はあまり使われていないようでした。

図3.あなたがタイムパフォーマンスや、効率的な時間の過ごし方を意識する理由を教えてください。[単一回答] n=461(高校生:229/大学・短大・専門学生:232) 

「あなたがタイムパフォーマンスや、効率的な時間の過ごし方を意識する理由を教えてください」という質問では、「自分の好きなことをする時間を捻出するため」がトップとなりました。多くの予定をこなすことが目的というよりは、時間を費やしたいこと、時間をかけたくないことを、はっきりと分けているみたいですね。

具体的にはどうしてる?「Z世代のタイパハック」

図4:時間のかけ方に関して、選択肢の中からあてはまるものを教えてください。【複数回答】n=461(高校生:229/大学・短大・専門学生:232)

「効率化したい・時間を短縮したいと思うこと」と「時間をかけても惜しくないと思うこと」を選択式で聞いた質問の結果がこちらです。

「時間をかけても惜しくないと思うこと」では「睡眠時間」が1位になりました。まずは「睡眠」が削れない大切な時間だと思っている人が多いよう。他にも2位に「趣味・習い事」、3位に「推し活」などがランクインしていました。

「効率化したい・時間を短縮したいと思うこと」で、1位になったのは「移動時間」でした。「時間を効率的に使うためにやっていること」という選択式の質問では、「移動時間」に関する回答が、2位・3位にランクインしており、自由回答の質問でも「移動」は非常に目立っていることが分かりますよね。「移動時間」を効率的に使ったり、短縮したりするのを実行している人は多いみたいです。

 

図5:あなたが時間を効率的に使うためにやっていることを全て教えてください。【複数回答】n=461(高校生:229/大学・短大・専門学生:232)

図6:あなたが時間を効率的に使うためにやっていることを具体的に教えてください。【自由回答】n=461(高校生:229/大学・短大・専門学生:232)

時間の効率化を目指す上で、「動画の倍速視聴」を取り入れている人もいるんじゃないでしょうか? 「動画の倍速視聴に関して、ジャンルごとに倍速で視聴する速度を教えてください。」という質問の結果がこちらです。

 

図7:動画の倍速視聴に関して、ジャンルごとに倍速で視聴する速度を教えてください。【単一回答】n=118(高校生:62/大学・短大・専門学生:56) ※倍速視聴をしていると回答した方のみ

「知識・情報コンテンツ」では、「2倍速」が30%弱と多数派のようですが、「映画」の割合を見てみると、「倍速なし」と回答した人が最も多く、「2倍速」は10%未満に留まっていることが分かります。

「動画の倍速視聴」を取り入れている人は、コンテンツごとに視聴速度を調整しているのかも知れません。

「SHIBUYA109 lab.」の所長・長田 麻衣さんは、こうした「Z世代のタイパハック」に対して、次のように解説しています。

■SHIBUYA109 lab.所長解説:マルチタスクが基本。無駄な時間を作らない事前準備
何もしない時間や自分が価値を感じることに充てる時間を捻出するため、そして無駄な時間を過ごすことがないように、移動時間や一人で行動する時間を様々なデバイス・ツールを活用しながら、マルチタスクで進めていることがわかります。
倍速視聴等の時短ツールはコンテンツのカテゴリによって使い分けがされていますが、1.5倍速以上のスピードで視聴・インプットをしています。

「タイパ」だけじゃない。求められる「なにもしない時間」

図8:次のAとBの選択肢の内、あなたの考え方にあてはまるものを教えてください。[単一回答] n=461(高校生:229/大学・短大・専門学生:232)

「何もしない時間」が好きか苦手かについての項目では「なにもしない時間が好き」派が多数派で、「予定を詰め込む」ことについての項目では「予定は詰め込まず余裕をもちたい」派が多数派でした。

さらに、この2つの項目の組み合わせを確認してみても、「なにもしない時間が好き」×「予定は詰め込みたくない」と回答した人たちが最も多いことが分かります。Z世代にはテキパキと時間を効率的に使いたいという人が多いことを考えると、なんだか意外な結果ですよね。

図9:あなたの考え方としてあてはまるものを教えてください。【単一回答】n=461(高校生:229/大学・短大・専門学生:232)

あらためて「何もしない時間が欲しい」かどうか聞いた質問では、「あてはまる」派が約7割を占めていることが分かります。効率的な時間の使い方を求める一方で、その反対の時間の過ごし方にも憧れるZ世代が多いようです。

図10:あなたが「何もしない時間」だと考えている時間はどのように過ごしていますか。その時のあなたの状態について教えてください。【自由回答】n=461(高校生:229/大学・短大・専門学生:232)

では、「何もしない状態」とは、いったいどんな状態をイメージしているんでしょうか? 「あなたが「何もしない時間」だと考えている時間はどのように過ごしていますか。その時のあなたの状態について教えてください。」という自由回答の質問の結果がこちらです。一際大きな「寝る」という回答の他にも、「スマホ」や「SNS」といったワードが目立ちますよね。

その一方で、インタビューによる「Z世代の声」をみてみると、スマホから距離を置こうとしている様子も伺えます。

図11:あなたの考え方としてあてはまるものを教えてください。【単一回答】n=461(高校生:229/大学・短大・専門学生:232)

そこで「デジタルデトックス」について尋ねた質問の結果がこちら。ランキングのうち「やりたいこと」の方でトップとなったのは「自然界隈(※高原や川などの自然を好むコミュニティのこと。自然豊かな場所に出向いた写真や動画に「#自然界隈」をつけて投稿するZ世代が増加している。)」。最近のトレンドになっているそうです。

Z世代にとっては効率的に時間を使うのが当たり前で、メリハリのついた時間を過ごしているからこそ、そうではない「なにもしない時間」の需要が高まっているのかも知れません。

■SHIBUYA109 lab.所長解説:スマホの喧噪を離れて非効率を楽しむ。デジタルウェルビーイングへの意識が高まる
2024年の若者トレンドには、スマホを離れてデジタルデトックスをしに行く体験が多数観測されています。コロナ明けに急激に増えたコミュニケーションとコンテンツ量に疲れ、「効率的にこなす」ことから一時的に距離を置きたいという意識が高まっていることが伺えます。
若者たちはハイスピードなデジタル社会との適切な距離感を模索し、デジタルウェルビーイングを実現しようとしています。

心地よく過ごせる時間の使い方がしたい!

普段の生活を見直してみたら、もっと「タイパ」良く過ごせそうな時間や、もしくは「もっとゆったり時間を使ってもいいかも」と思える時間が見つかるかも知れませんね。

情報提供元/株式会社SHIBUYA109エンタテイメント