交渉・お願い事を有利に進めるための心理テクニック4選
仕事やプライベートの場面で、交渉が上手な人は何かとお得。出世や昇給が早かったり、欲しいものをプレゼントされたり……。ただ、可愛げがあるだけではなく、そこには何か心理的な要素が絡んでいるのかも!? そこで今回は、「交渉・お願い事を有利に進めるための心理テクニック4選」をご紹介いたします。
■まずは一度認めることで反論できなくなる
交渉相手に対して有利にもっていくための一番簡単な心理テクニック、それは“イエス・アンド法”です。これは、相手の発言を肯定して、「そうですね。ということは、〇〇でよろしいですね?」など肯定をさらに肯定して、相手の話を受け止めるという手法です。相手の話したことを要約しつつ確認すれば、断ることができずあなたの意見をソフトに提案することができるでしょう。自分の言ったことをまとめて返されるため、それ以上文句が言いにくくなるのです。聞き役に徹することで、自分の意見を通す方法だと言えます。
■多数意見を味方につけて正しさを強調する
アメリカの心理学者ビブ・ラタネの実験によると、自分1人だけの主張よりも複数人の意見であることを強調することで、相手が自分の意見に同調する傾向があることを発見しました。また、心理学者アッシュによると、賛同者が3人以上になると意見の通りやすさが急激に上昇するという“バンドワゴン効果”を提唱しています。そのため、自分のお願いを通したいときには、あなたの味方を2人以上確保して挑むようにしましょう。相手は飲まざるを得なくなるはずです。
■権威を借りて相手を巻き込む
どんな人でも、権威には弱いもの。いかに交渉上手な相手とは言え、自分よりも偉い存在や専門家の意見を無視することはできません。そこで、社会的地位が高い人が「こう言っていました」と付け加えることで論破するのが難しくなるのです。これを心理学では“権威付けの効果”と言います。情報の発信者が偉い人であればあるほど、相手はあなたの発言を権威のある発言であるかのように受け取ってしまうのです。
■相手の弱点を見抜いて不安を突く
どんな相手でも必ず弱点があります。特に、恐怖と結びついた感情は強烈なイメージになります。例えば、「高圧的でなくなれば周囲から好かれますよ」という表現よりも、「高圧的な態度をとっていると拾遺から嫌われますよ」という表現の方が、相手に効果的です。このようにネガティブな要素で相手に訴えることを、心理学では“ネガティブ・フレーム”と言います。人はポジティブな主張よりも、ネガティブな主張の方に目を向けやすいのです。そのため、不安をあおることで、自分の意見を通すことができる場合もあるのです。
おわりに
人は誰もが願望や欲求を内に持っています。そして、交渉をするにあたっては、その内面の欲求が衝突することになります。そこで相手を動かすにあたっては、シーソーのように押し引きが大切になってきます。相手の欲求を叶えるように見せて、自分の欲求を通すという姿勢が大事なのです。自分だけが欲求を通したり、自分だけが欲求を飲んだりするのは避け、“落としどころ”を有利に見つけることがベストなのです。(脇田尚揮)
認定心理士。Ameba公式No.1占い師として雑誌やTVなどに取り上げられ、テレビ東京「なないろ日和」にてレギュラーコーナー担当。また、自身が監修したアプリ 「マル見え心理テスト」はTBS 「王様のブランチ」 などでも紹介され、120万DL。著書『生まれた日はすべてを知っている。』(河出書房新社)。