「こんな子に育ってほしい」「幸せになってほしい」。お父さんとお母さんの想いが込められている赤ちゃんの名前もその年の様子によって人気の名前などがあります。2020年は新型コロナウイルスをはじめとして様々なことがあった1年間でしたが、そんな年に生まれた赤ちゃんの名前には一体どんな意味が込められているのでしょうか。
今回は株式会社ベビーカレンダーが2020年に生まれたお子さん161,321名を対象に行った赤ちゃんの名前に関する調査を基に今年の「赤ちゃんの名前」トレンドをご紹介します。
「赤ちゃんの名前ランキング」TOP10
■赤ちゃんの名前ランキング【男の子】
- 蓮(れん)
- 蒼(あおい・あお)
- 陽翔(はると・ひなと)
- 樹(いつき・たつき)
- 湊(みなと・そう)
- 大翔(ひろと・はると)
- 悠真(ゆうま・はるま)
- 湊斗(みなと)
- 律(りつ)
- 朝陽(あさひ)
男の子の名前ランキングTOP3は、1位「蓮」、2位「蒼」、3位「陽翔」でした。「蓮」は2018年から3年連続で首位に輝き、絶対王者の貫禄を見せつけました。「蒼」は一昨年15位、昨年8位と順位を上げ、今年は2位にランクイン。人気俳優の中村蒼さんや福士蒼汰さんの名前に含まれる漢字でもあり、名前のよみは「あおい」が多数派でした。8位「湊斗」、10位「朝陽」は、ともに昨年TOP10圏外からのランクアップ。TOP10のなかでも「陽」「翔」「湊」の漢字を含む名前は2種類ずつランクインしており、人気の高さがうかがえます。
■赤ちゃんの名前ランキング【女の子】
- 陽葵(ひまり・ひなた)
- 紬(つむぎ)
- 凛(りん)
- 芽依(めい)
- 結月(ゆづき・ゆつき)
- 結菜(ゆいな・ゆな)
- 葵(あおい)
- 莉子(りこ)
- 澪(みお・れい)
- 陽菜(ひな・はるな)
女の子の名前ランキングTOP3は、1位「陽葵」、2位「紬」、3位「凛」という結果に。「陽葵」は2019年にも1位を獲得したトレンドの名前。月間の名前ランキングでも常に上位をキープし、5〜9月の5カ月連続で1位に輝きました。「紬」は一昨年16位、昨年4位と着実に順位を上げ、今年は2位にランクインと人気が右肩上がりです。「紬」をはじめ、古風&日本的なイメージを持つ漢字を使った「凛」「結月」「葵」「澪」や、和風な名前に用いられる止め字「子」を含んだ「莉子」もTOP10入り。さらに11位〜20位にも、15位「杏(あん)」、16位「凜(りん)」(※)、17位「詩(うた)」、18位「彩葉(いろは)」、19位「琴葉(ことは)」がランクインしており、やはり「レトロネーム」が人気でした。
赤ちゃんの名前にも「鬼滅旋風」
近年、ベビーカレンダーの名前調査において人気継続中の名前といえば、古風で日本的な趣を感じる「レトロネーム」です。2020年も、特に女の子の名前で多くのレトロネームが上位に集中しました。今年、空前の大ブームを巻き起こしたマンガ・アニメ作品『鬼滅の刃』は、舞台は大正時代ということもあり、登場人物の名前もどこか古風で日本的なレトロネームばかり。今や社会現象になっている「鬼滅旋風」も、レトロネームの人気を後押ししていると考えられます。
◆「鬼滅キャラ」の名前が増加傾向に
また、『鬼滅の刃』のキャラクターに関連した「鬼滅ネーム」も男女ともに増加傾向に! 先日「週刊少年ジャンプ」で発表された「第二回『鬼滅の刃』キャラクター人気投票」で主人公を追い抜き2位にランクインした人気キャラクター「冨岡義勇(とみおか・ぎゆう)」と同じ「義勇(ぎゆう)」という名前の男の子は、昨年0人であったのに対し、今年は4人に増加。ほかにも、かわいらしい女性キャラクター「甘露寺蜜璃(かんろじ・みつり)」と同じ「みつり」という名前のよみの女の子は、昨年0人から今年は7人に! そのうちふたりは漢字も同じ「蜜璃(みつり)」ちゃんでした。
◆男女ともに「凪」が人気急上昇
さらに、男女共に順位が急上昇したレトロネーム、「凪(なぎ・なぎさ)」にも注目。男の子では、一昨年はTOP100圏外、昨年93位でしたが、今年は24位に大きくランクアップ。女の子では一昨年74位、昨年55位でしたが、今年は27位と、徐々に順位を上げてきています。「凪」は、風や波が静まることを意味する漢字です。上記にもある『鬼滅の刃』の人気キャラクター「冨岡義勇」が使う技の名前が「凪(なぎ)」であることから、これまでより身近な言葉・漢字として定着しつつあるのかもしれません。加えて、2019年に放送されたドラマ『凪のお暇』の主人公、「凪(なぎ)」の人気も影響していると推測されます。
やはり人気が高いだけに鬼滅の刃にまつわる言葉が身近なものとして定着していたり、正義感が強かったり義理堅い性格や女の子らしく可愛いながらも強さも兼ね合わせるキャラクターの姿に感動して名付けたいと思う人が多くいることがよくわかります。
「名前のよみランキング」TOP10
■名前のよみランキング【男の子】
- はると
- みなと
- そうた
- りく
- はるき
- ゆうと
- ひなた
- ゆいと
- あおと
- いつき
男の子の名前のよみランキングTOP3は、1位「はると」、2位「みなと」、3位「そうた」という結果でした。「はると」は2018年から3年連続で首位をキープ。月間ランキングでも常に1位に君臨している、名前のよみの絶対的なチャンピオンです。「はると」とよむ名前は、「陽翔」「陽斗」「晴翔」の順に人気で、約230種類のバリエーションがありました。「みなと」は、一昨年6位、昨年3位と徐々に順位を上げている注目のよみで、今年は名前ランキングで「湊」「湊斗」の2種類がTOP10入りしたこともあり、2位にランクアップ。
そして近年の調査で常に人気が高いのは、名前のよみが「と」で終わる『「と」止めネーム』です。「はると」「みなと」「ゆうと」「ゆいと」「あおと」と、今年もTOP10の5割を占める結果に。
■名前のよみランキング【女の子】
- ゆい
- めい
- えま
- あおい
- つむぎ
- ひまり
- みお
- ほのか
- いちか
- あかり
女の子の名前のよみランキングTOP3は、1位「ゆい」、2位「めい」、3位「えま」でした。2音のよみの人気が高まりTOP3を独占する結果に。「ゆい」は3年連続の首位ですが、昨年4位の「めい」が2位、昨年8位の「えま」が3位、昨年10位の「つむぎ」が5位、昨年TOP10圏外の「ほのか」が8位に浮上し、女の子の名前のよみはトレンドに変化が見られました。昨年から5つもランクアップした注目のよみ「えま」は、約115種類の名前のバリエーションがあり、「咲茉」「依茉」「愛茉」の順に人気でした。海外でも通じる呼びやすい名前のよみで、グローバルな印象が人気の理由かもしれません。
また、名前のよみでも「レトロネーム」が人気で、響きが古風&日本的な3音のよみは、「あおい」「つむぎ」「ひまり」「ほのか」「いちか」「あかり」と、TOP10の6割が該当しました。
「名前の漢字ランキング」TOP10
■名前の漢字ランキング【男の子】
- 翔
- 大
- 斗
- 太
- 陽
- 真
- 人
- 優
- 蒼
- 一
男の子の名前に使用された漢字ランキングTOP3は、1位「翔」、2位「大」、3位「斗」でした。止め字によく用いられる「翔」「斗」に加え、「大」も止め字に使用する際には「と」と読ませることがあるので、TOP3は『「と」止めネーム』の人気の影響を受けた結果と言えそうです。さらに、男の子の名前では自然の情景を連想させる漢字や、スケールの大きさを表すような漢字が大人気。空高く飛ぶという意味を持つ「翔」、大きさや広さを表す「大」、星や宇宙を連想させる「斗」、大きくたくましい印象の「太」、太陽の光を表す「陽」、どこまでも続くさまを意味する「悠」、草木が生い茂る様子を表す「蒼」がTOP10にランクインしました。
■名前の漢字ランキング【女の子】
- 花
- 菜
- 結
- 莉
- 愛
- 奈
- 美
- 乃
- 心
- 咲
女の子の名前に使用された漢字ランキングTOP3は、1位「花」、2位「菜」、3位「結」という結果に。「花」「菜」をはじめ、4位「莉」、6位「奈」といった草花や果実を表す漢字が上位に。さらに植物に関連する漢字では「咲」もTOP10入りしています。植物を表す漢字は、やさしい雰囲気に加えて「生命力」や「成長」といったイメージがあります。ウィズコロナ時代を生きる赤ちゃんの健やかな成長を願って、植物を表す漢字が多く用いられているのかもしれません。
『鬼滅の刃』の爆発的な人気や新型コロナウイルスの混乱など今年の世の中の様子が赤ちゃんの名前にも大きく影響していることがよくわかりますね。自分が生まれた年のランキングなどをみて自分の名前と比較したり、その年に何が流行していたかなどを見てみると今まで知らなかった自分の名前のルーツが見えてきて面白そうですね!(山口彩楓)