誰でもなる可能性がある「うつ」。
できればなってしまう前に、「危ない」という心と体からのサインを上手に受け取って対処したいところです。
本日はそんな「うつ」になる前に気づきたい危険信号を、数々の企業で産業医として活躍する三間千寿子先生にうかがいました。
■産業医に聞いた、「うつ」の危険信号症状チェックポイント
Q.うつになる前に気づいておきたい、「これは危ない」というサインはありますか?
A.いくつかありますが、共通しているのは「睡眠」「食事」です。
初期症状として多く見られるのは、例えばこういったものです。
・あらゆる睡眠についての症状。たとえば、寝ても寝ても眠い、寝つきが悪くなかなか眠れない、眠りが浅い、寝てもだるい、寝る時間自体は十分なはずなのに、寝た気がしない。
・頭痛、胃腸の不調や下痢、倦怠感など、なんとなく体調不良が続く。
・食欲がなくなる。
・普段楽しめたことが楽しめない。憂鬱な気分が続く。
・集中力が低下し、家事も仕事も能率が下がる。そこからミスを連発し落ち込む。責任感はあるけれど、それをまっとうできなくなる。
そして、「物事を考えられない、おっくう」と思うことが増えます。決断ができなくなり、「こうしたい」も「これがイヤだ」もなくなります。
たとえば今日何を着ようか、というときに、「どうでもいいや、昨日と同じ服で」となったり、何かを食べるときに、遠慮して……ではなく、本当にどうでもよくなって、決められない。食べたいとも思わないし、美味しいとも思わない。考える時間がない、ではなく、時間はあるのに、決められなくなる。
「拒絶」さえもできなくなる方が多いです。普段は、「何が食べたいかはわからないけど、昨日食べすぎたから、中華は油っこいからイヤだな」など、「これはイヤ」ってことはありますよね。でもそれもなくなってしまうんです。
あとは多いのはこんなところでしょうか。
・お風呂に入らなくなったり、身だしなみに気を配れなくなる。
・女性の場合、お化粧しなくなる人が圧倒的に多い。お化粧しなくなる前に、すごく濃くなったり、加減がわからなくなる人もいます。
・片付けられなくなる。
・月5kgほど体重が減る
・人ごみが嫌になる
・電話やメールでも、人と話をしたくなくなる。さびしいけれど、人には会いたくない、注目されたくない。
・人の名前や電話番号など、さまざまなものが覚えられなくなる。
このあたりの危険信号がいくつか出ている方は、まずは信頼できる身近な人に相談しましょう。家族でも、会社の人でもいいですし、近くの人には逆に話しづらい……ということであれば、今は電話の相談窓口などもたくさんあります。とにかく、1人で抱え込んでいても何も変わらず、悪いサイクルに入ってしまうだけです。
そして、必要があれば病院に行きましょう。なんとなく抵抗がある……という方もいらっしゃるかもしれませんが、皆さん気軽に行っているので、構えすぎる必要はありません。
うつは誰でもなりうるもの。「絶対ならない人」はいませんが、「なりにくい人」はいます。なんでもきっちりこうでなければと完璧にするよりは、ちょっといい意味で適当というか、ゆるいところがあるくらいの人のほうがなりにくいです。ずっと自分にプレッシャーをかけ続けるのではなく、緩急をつけましょう。本当にずっと忙しい人ってほとんどいなくて、誰しも「ちょっと休んでも大丈夫なとき」ってあるはずです。そういうときは臨機応変に、少し息抜きをしながら過ごしていきましょう。いい意味の「適当」という言葉とうまく付き合っていくといいですよ。
監修:医学博士・日本医師会認定産業医 千代田診療所 三間千寿子先生
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