ゲイを公表したAAA・與 真司郎が語る、自分らしく生きることの重要性【独占インタビュー第1回】

カミングアウト後、人生はどう変わった？ 與さんのスペシャルインタビュー【第1回／全3回】

2023年7月に無料開催したファンイベントで、自身のセクシャリティがゲイであることを公表したAAA・與真司郎さん。カミングアウト後に感じたこと、大事だと思ったことについてCanCan.jpが独占インタビュー！

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【第3回】LAの自宅での「焚き火」が冬の幸せ！AAA・與 真司郎がファンからの10の質問にアンサー

カミングアウト後、初の帰国。みんなが受け入れてくれる感覚が、素直にうれしい

「セクシャリティについてカミングアウトから、初めて日本に帰ってきたんですが…不思議な感じがしますね。オーバーに考えすぎているのかもしれませんが、『みんな、どんな風に思っているんだろう』って心配になってしまって。でも、たくさんの人に肯定的な言葉をかけていただき、ありがたいことに仕事もたくさんいただいて、みんなが受け入れてくれている感じがします。日々、『これでいいんだ！』って教えてもらっている感じです。みんな意外とLGBTQ+に理解があって、カミングアウトしても『だから何？』って感覚の人が増えている気がしますね」（與さん・以下同）

LAで忙しく過ごしている間、いちばん気をつけていたのはメンタルケア

「7月にカミングアウトしてLAに帰ったばかりの時は、落ち着かなかったですね。日本ではどんな風にニュースになっているんだろうって。マネージャーさんや家族、友人から話を聞いていましたが、自分が日本にいたわけではないので、『世間的にどう思われているんだろう』『（カミングアウト）してよかったのかな』なんてぐるぐる考えてしまって。メンタルが上下することもありました。

LAでの生活は、芸能以外の活動や仕事もあって、結構忙しいんです。日本との時差があるので、夕方から夜中まで打合せすることも多々あります。クリエイティブな時間を過ごしているので、『こういうことしたいな』『こんな音楽作りたいな』『将来これをするには、今あれを始めるべきだな』というのがたくさん思い浮かぶのはいいですね。そういえば、ドキュメンタリーをハリウッドで撮ってもらっているので、撮影もちょこちょこあったりして。生活はかなりバタバタしていますね。旅行は何回か行きました。メンタルケアのためにも、そういう時間は必要。その時は、何も考えずに楽しむようにしました」

自分を偽らずにいられる時間は、何事にも変えられない。真の安心を知った気がする

「今回の日本滞在期間は2週間ほど。すでに半分過ごしましたが、毎日楽しい事ばかり。取材も対面でできて新鮮です。LA移住もあり、オンライン取材が多かったので、不思議な感じですね。しかも、自分をすべてさらけ出して話せるなんて…！ 取材で何も隠さずいられることが初めてだし、日本語で自分のセクシュアリティについて話す経験もあまりなかったので新鮮です。最近はだいぶ慣れてドキドキせずにそのことについて語れるようになりました。友達にもスタッフさんにも、ファンの皆さんにも、本音が言えるってすごく気が楽ですね。今までは何か言おうとするたび『これは話せない」ということが出てきて、それを言い換えるのに苦労していました。なので、思ったことをそのまま返せるっていうのがありがたいし、安心できる。これまで、ストレスがかかるのが当たり前すぎました。

正直、アメリカに住んだのは『オープンでいられる時間が作れるかも』という希望があったからなんです。でも、日本でも同じように気持ちがオープンでいられるようになりました。ただ職業柄、節度は大切にしています。何でも見せるのは違うかなと。人に見られる仕事だからこそ、そこは守っていきたいですね」

受け入れてくれた友人やファンのみんながいてくれるから、自分は今ポジティブでいられる

「カミングアウトしてプラスに変わったことのほうが多いですが、もちろん悩んだこともあります。僕のカミングアウトを知った人が全員肯定的かというと…そうではなくて。メディアでポジティブに報道されていたとしても、コメント欄には辛辣な意見を寄せる人が少なからずいました。もちろん前向きな言葉のほうが多かったですが、落ち込むときもやっぱりあって。メンタルヘルスにはものすごく気をつけていても、『ファンのみなさんを傷つけてしまったんじゃないか』『言わないほうがよかったかな』と考え込んで、最初の1〜2か月は大変でした。日本に帰ってくるのに時間がかかったのは、それも理由のひとつかもしれません。でも今は、ファンでいてくださる方々と周りの皆さんのおかげでポジティブに生きられています。

周囲の人とは、関係性がほぼ変わりませんでした。カミングアウト直後はいろんな人から連絡が来ましたが、それによって何かが変化することはほぼなし。友人やスタッフさんはみんな応援してくれました。傷つく言葉を言われたことがないわけではありませんが、ほんの数人。受け入れたくない人や受け入れるのに時間がかかる人も多くいるだろうと想定していたのですが、こんなに少ないなんて…と驚きです。

これって、日本のよさかも。人に優しく、周りを自然にケアできる日本のカルチャーって素晴らしい。これはアメリカに行って気がつきましたね。そして、日本でもLGBTQ+の存在が認められ始めていることを実感しました。様々なセクシャリティがあることが、メディアを通してもっと広がるといいな」

新たな出会いがもたらす自分の中の変化。苦しんでいる人を、心から助けたいと思う

「帰国中、同性婚を支援してる弁護士さんの集まりに招待されたんです。参加してスピーチさせてもらったんですけど、参加者の90％がストレートのアライ（※編集部注。”ALLY”とは、LGBTQ+当事者たちに共感し、寄り添いたいと思う人のこと）の方たちでした。当事者の方達と悩みを共有できたのはもちろん、こんなにもサポートしてくれるアライの人たちがいることを知れてうれしかったですね。すごく前向きな人ばかりで、LGBTQ+のことをすごく考えてくれているだなって。こういった問題について語る機会があまりなかったので、とても勉強になりました。

僕自身、オープンにできない悩みを抱えて葛藤してきたので、同じように苦しんでいる人を助けたいという気持ちがとても大きいですね。ただ、アクティビストやリーダーになりたいわけではないんです。悲しい思いをみんなにして欲しくないだけ。僕はアメリカに住んで初めて、『自分は悪くない。プライドを持って生きてっていいんだ！』と思えるようになったんです。だからこそ、カミングアウトしようと思いました。公表したら、キャリアが終わってしまうと考えていたのですごく怖かったですよ。それでも、この気持ちを伝えたかった。最悪日本で嫌われて居場所がなくなってもアメリカで暮らせばいい。そう覚悟して切り出したんです。どこかでひとり悩んでいるLGBTQ+の人に『あなただけじゃないよ』って伝えたかった。今後もそのメッセージを、様々な形で届けていきたい。それが僕の今の目標です」（第2回へ続く）