ジェンダーバイアスって? 40.8%が、性別の差による偏見を受けたことが「ある」
「ジェンダーバイアス」とは、“男らしさ”や“女らしさ”など男女の役割について固定的な観念を持つことで、近年ではこのようなジェンダーバイアスをなくそうという動きが強まっています。とはいえ、まだジェンダーバイアスで苦しんでいたり、自分もつい自分自身や相手に対して性別で考えてしまうということもあるのではないでしょうか?
そこで日本トレンドリサーチが全国の20代以下~60代以上の男女100名ずつ、計500名を対象行ったアンケートを元に「ジェンダーバイアス(性的偏見)」についてご紹介します!
なんと40.8%の人が、ジェンダーバイアスを受けたことが「ある」
他の人からジェンダーバイアス(性的偏見)と受け取れるような発言をされたことがあるかについて聞いてみたところ、「言われたことはない」は59.2%で、その他の40.8%の方は他の人からジェンダーバイアスを受けたことがあるようです。
その中で最も多かったのは、「異性・同性両方に言われた」で25.0%でした。具体的にどのようなことを言われたかについても聞きました。
- 「女の子なんだから髪をそんなに短くしない方がいいと思う」など。(20代・女性)
- 「もっと女子らしく」「女でタバコ吸うのはありえない」(20代・女性)
- 「なよなよしてる」とか「女っぽい」とか言われた。(60代・男性)
- 「女なら仕事しながら家事育児を全部こなせて当たり前」と言われたり、「女は仕事ができない」と言われた。(40代・女性)
- 両親から「勉強のできる女は生意気でかわいくない」「女がメガネをかけるのはみっともない」など。(40代・女性)
- 「女なんだから、きちんと化粧して爪も手入れしたら」といわれた。(50代・女性)
- 「家事や料理は女がやれ」的なこと。女性は年配、男性は若い人に言われた。(40代・女性)
- 「男なら少々のいじめにいちいち反応するな」(70代・男性)
- 器械、電機、工具など、「男なら使えて当然」と男性からも女性からも言われたことがある。(60代・男性)
- 過去に事務職を経験したことがあると伝えたときに「男なのに?」と言われた。(40代・男性)
- ジェットコースターが苦手で乗るのを拒否したら「男なのに意気地がない」と詰られた。(60代・男性)
- 母親から、「女の子は勉強ができない方がいい、知っていることも知らないふりをしなさい」とよく言われました。(50代・女性)
- 「大学には一人しか行かせられないから女のお前ではなく弟に行かせる」(50代・女性)
- 「男だから汚い」「男だから使えない」「男だから性的なことばかり考えている」など。(40代・男性)
男女ともに、また年齢を問わずジェンダーバイアスを受けた人が多いようですね。
他人にジェンダーバイアスと受け取られる発言をしたことは?
反対に、他人にジェンダーバイアスと受け取られる発言をしたことがあるかについても聞いてみたところ、71.6%の方が「言ったことはない」と回答しました。
一方で、その他の28.4%の方は他の人にジェンダーバイアスと受け取られる発言をしたことがあるようです。その中で最も多かったのは「異性に言った」で、12.2%でした。
- 「男なのに筋肉ないね」と言った。(40代・女性)
- 「男なんだからしっかりとして」と旦那に言った事がある。(40代・女性)
- 「男のくせに少女マンガ読んでる」とか。(50代・男性)
- 男友達が別れた彼女のことをいつまでも愚痴っていたので「男のくせに女々しい」みたいなことを言った。(40代・女性)
- 息子に「それは女の子が買うおもちゃだよ」と言った事があります。(30代・女性)
- 子供につい「女の子だから食事の用意手伝いなさい」とか「男らしくしなさい」とか言ってしまう。(40代・女性)
- 子供が小さい頃に「男が泣くのはみっともない」といったことがある。(50代・男性)
- ケチくさい息子に「男はそんな事言わないの!」といった。(70代・女性)
- 男性に対して強い不信感を抱いていた時期に、「世の中の犯罪のほとんどは男性がするものだから、彼らがいなくなればいいのに」と友達に言ってしまい、気まずい雰囲気になったことがある。(30代・女性)
具体的に聞いてみると、自分の子供に言ったことがあるという方が多いようです。「昔はそのくらいのことは普通に言っていた」「激励や発破をかけるつもりで言った」という方もいました。
また、「言ったことはあると思うが覚えていない」という意見も複数あり、無意識に言ってしまっていたり「言ったことはない」とい回答している71.6%の中にも気付いてないだけという人も含まれているのかもしれませんね。
ジェンダーバイアスについてみんなの考えは?
続いて、ジェンダーバイアスに関する考え方について聞きいてみたところ、「特に気にすることはない」という方が35.0%で最も多いようです。また、「ある程度は仕方がない」と感じている方は34.6%、「なくしていくべき」は30.4%でした。どの回答も同じくらいの割合になりましたが、それぞれの理由について聞きました。
なくしていくべき
- ジェンダー・バイアスに縛られて本人の可能性が狭まるのはよくないことだと思うので。(20代・男性)
- 自分は男とか女とか関係ないのに、と幼少期から今も思ってきたので、いまだにずいぶんと生きづらいから。(40代・女性)
- LGBTQの人だけじゃなく、誰に対しても平等であるべきだと思うから。(20代・女性)
- 性の違いがあるのは事実だが、それに価値観があてはめられることはおかしい。(60代・男性)
- そういった言葉によって傷ついたり不利な立場になる人がいるのであればなくしていくのが好ましい。(30代・女性)
- 今まで傷ついてきた人がいるのだから、やはりやめていくべきだと思う。(90代・女性)
- いい加減時代に合った考え方に変えていかなければならないと思うから。(40代・男性)
ある程度は仕方がない
- 回答理由完全に世の中から差別が無くなるわけがないと思ってます。自分はなるべく気をつけたいと思ってますが気をつけない人もいるので難しいと思います。(40代・女性)
- みんなそれぞれの考え方があるし、自分自身も他人には言わないが、頭の中で、女の子なのにこういう性格してるんだ、とか考えてしまうことがあるから。(10代・男性)
- ジェンダーに違和感のある本人は差別されない方が好ましいが、性別での違いは何かしらあるので、全てを統一することはできないと思う。(30代・女性)
- 価値観もそれぞれなので無理に矯正していく必要はないと思う。それはもちろん違う誰かに自分の価値観を強要しないという意味でもあるが。(20代・女性)
- どの様な事が偏見と思われるのかよく判らない。何でもかんでも偏見やハラスメントと言いすぎる気がする。(70代・男性)
- どうしたって性差はあるのだから仕方ない。差別的な意味合いだけなくせばいいと思う。(30代・女性)
- 言い過ぎも良くないし、気にして何にも言えなくなってきている今の世の中も好きではないから。(40代・女性)
- いろいろな考えの人間がいるので、仕方ない。(50代・男性)
- 女性だけが生理があって出産可能など、男女が全く同一の事が出来るとは限らないし、自分自身でも、内心、それぞれの性に対しての理想はあるので、ある程度は仕方ないと思います。ただ、思っている事をむやみに口に出したり、特に相手を不快にさせるような事は無くしていくべきだと思います。(50代・女性)
- 娘には女の子らしくして欲しいと思ってしまうから。(30代・女性)
特に気にすることはない
- あまり深く考えない方が良いと思う。人それぞれ考え方や価値観が違うと思うから。(40代・男性)
- それぞれ個性があるのは当然で、周りがいろいろ言う事ではないと思うし、特に気にすることはない。(30代・男性)
- こういったことが問題になることが問題。都合のいい時だけ使う人が多い印象がある。(40代・男性)
- あまりにも気にし過ぎだと思う。(60代・男性)
- 今の世の中何をしても批判の対象になりそう。皆がもっとおおらかな気持ちでいたらこの様な問題はおきない。(60代・男性)
- いろいろな考え方があって当たり前、そんなこと統制できるはずがない。こうあるべき論が最近極端すぎます。(50代・男性)
- いちいち気にするほどではない、気にするから余計に言われたりする。(70代・男性)
- 性差はあって当たり前なのに偏見だの何だの必要以上に神経質になっていると思うから。(40代・女性)
- ジェンダーバイアス自体が、被害妄想的な、社会を分断する危険性をはらんでいる。悪意のないものまで
、神経をとがらせて追及すべきではないと考える。(60代・男性) - 男は男、女は女で何が悪いのか!偏見と云うより違いはあって当たり前。ない方が気持ち悪い。(70代・男性)
「自分自身が生きづらさを感じている」という方がいる一方で、「今まで特に気になることを言われたことがない」という方もいました。身近な問題と感じているかどうかで、ジェンダーバイアスに関する考え方は異なるようです。
71.6%が、“過去の作品”についてはジェンダーバイアスに関して配慮した対応が「不要」だと感じている
昔(特に昭和以前)の作品ではジェンダーバイアスのかかっていることが当たり前の社会が描かれている場合も多くあります。そこで今後は“過去の作品”に対しても、ジェンダーバイアスに関して配慮した対応が必要になると思うかについて聞きました。
71.6%と多くの方が「思わない」と回答しました。過去の作品についてはジェンダーバイアスに関して配慮した対応が不要だと感じている方が多いようです。一方で、28.4%の方は過去の作品にも配慮が必要だと「思う」と回答していました。
過去の作品については、どのような対応が必要だと感じているのでしょうか?
- あまりに差別される発言のあるテレビ番組やDVDなどは、あらかじめ注意書きをするなど、配慮がほしい。(30代・女性)
- そう言う世の中になったのだからみんなが変わらないといけないと思う。(70代・男性)
- ここは当時の価値観ではこうなっているが現代は違うという旨をテロップで解説する。(40代・男性)
- ジェンダーバイアスになりそうな部分の表現などをなるべくぼかして、ほかのことをフォーカスするなど。(20代・女性)
- スカートめくりや、着替えののぞき、男児が女性教師に性的な接触をすることを、良しとするような風潮を生むから。(40代・女性)
- 気になる人達に意見を聞いて、取り入れるのが大事なのかなと思いました。(30代・女性)
- 以前はこのような考え方であったが、今ではこう考えましょうと言うようなコメントが必要だと思う。(60代・女性)
- あからさまな偏見に対しては表現をかえる。(30代・男性)
- その時代に合った一般常識的な一定の配慮は必要。(70代・男性)
- 世代を問わずに愛されるキャラクターになるために、差別的なメッセージを発信しない方がいいと思う。(40代・女性)
- すでに過去の作品を放送するときに当時の表現に対する注意を喚起する字幕を表示しているので、その範囲を拡大したり、必要ならR指定にすることで対応するのが良い。(50代・男性)
ジェンダーに関してみなさんはどう考えますか?
性別や年齢、血液型など…何かとカテゴライズされたりしてしまいがちですが、一番大切なのは自分の気持ちやしたいことですよね。一般的に“女らしい”“男らしい”と言われがちなことでもそれが”自分らしい”ならもちろんOK! 固定観念で考える前に、いつでも自分自身やひとりひとりに向き合ってみる気持ちが大切かもしれませんね。
また、最近話題となったサンリオのキャラクター商品など過去の作品については、多くの方がジェンダーバイアスに関して配慮する必要がないと感じているようです。一方で、28.4%の方は過去の作品にも配慮が必要だと「思う」と回答しており、「あらかじめ注意書きを入れる」「表現を変える」などの対応が必要だと感じている方は少なくないようです。
情報提供元/株式会社NEXER(日本トレンドリサーチ)