「衝撃的な表紙デビューとその後の葛藤ーー」西山茉希
CanCam創刊40周年を記念して、歴代のOGモデルをクローズアップするスペシャル連載。専属モデル時代から今日までの軌跡を振り返りつつ、今だから話せる撮影裏話やプライベートの様子など、前向きに自分らしく輝き続ける彼女たちのリアルなメッセージをお届けします。
第二弾は「小悪魔マッキーOL」で人気を博し、モデルやタレントとして多岐にわたり活躍中の西山茉希さんが登場！ 今回は4日間連続で、西山さんの軌跡を辿ります♡
高校を卒業後、東京に遊びに来ていた2004年にスカウトされ、瞬く間にCanCam専属モデルに抜擢。デビューして間もない2005年6月号にCanCamの表紙を飾り、その後2010年3月号まで約6年間に渡りマッキーの愛称で親しまれた人気モデル♡
当時から飾らない自然体な性格と仕事への誠実さで、モデルやスタッフから愛されていた茉希。彼女をひと言で表すなら、“頑張りすぎ屋”。ハードなスケジュールでも周囲への気配りを忘れない彼女は、現場のムード―メーカーそのものでした。
卒業後は、TVCMや総合格闘技番組のMCなど活動の場を広げ、2児の母となった今もテレビや雑誌のみならず、自身のYouTubeチャンネル「西山茉希の＃俺流チャンネル」を立ち上げ精力的に活躍中。CanCamモデルとして走り続けた10代20代、そして結婚、出産、離婚を経て母として女性として輝き続ける彼女に、これまでのこと、これからのことを聞きました。
右も左もわからないのに初表紙が決まってしまい…
――CanCam時代で、いちばん印象的だった撮影は？
「最初と最後の表紙撮影は、やっぱり今でも鮮明に覚えています。初めて“表紙撮影”というスケジュールをもらってから撮影当日を迎えるまで、言葉では説明できない緊張感や不安な気持ちは、いつまでも忘れられない思い出ですね」
「表紙の撮影って、朝スタジオに入った瞬間から空気感が違うんです。雑誌の顔でもある表紙を作る最初のプロセスなので、いつも以上にモデルやスタッフの気合いや緊張感が伝わってきて独特の雰囲気。モデルデューしたばかりの私にとって、このときの現場は立っているのがやっとというか…、まわりは表紙撮影を経験してきた人たちばかりだったので、大人達の中に子ども（私）がひとりぽつんと入った感じ。必死についていきましたが、正解がわからないまま撮影は進み、無理に溶け込もうとしている間に終わってしまった…というのが本音です」
誌面に初登場して以来、マッキー人気はビュンビュン加速！ 鉄板コンテンツだった4大OL企画でも、先輩モデル蛯原友里さんの大人気キャラクター「かわいい系エビちゃんOL」の妹キャラとして、「小悪魔かわいいマッキーOL」が誕生したほど。CanCamデビューして間もなく、自身がメインとなる新企画が立ち上がって――
生活が一変…「マッキーOL」でぶつかった壁
――人気企画「マッキーOL」時代を振り返って思うことは？
「CanCamの誌面で私をメインにした『小悪魔マッキーOL』というキャラクターが誕生して、うれしいというより、はじめはとにかく戸惑いました。担当の編集者さんから、キャラクターの設定について話を聞いたり、参考になる写真を見せてもらって、“小悪魔マッキー”を必死に模索。『こんな笑顔がマッキーのイメージ。みんなに愛される妹のような、かわいいキャラを演じてほしい』と説明していただいて、撮影ではとにかく笑顔でいることを大事にしました。経験値も余裕もないので、とにかく笑っていようと…。そうやってマッキーを演じているうちに、誌面では“西山茉希＝笑顔”というイメージが定着しました。でも実際は、忙しさが増すほど、カメラの前だから笑っているのか本当に笑っているのか、わからなくなってしまって」
マッキーOLの人気とともに、雑誌『CanCam』は愛され女子のバイブルに。ファッション・美容・読み物など、膨大な情報を発信するため、モデルもスタッフもハードなスケジュールをこなしていた頃。一日に4、5本の企画を撮影することもざらで、専属モデルのスケジュールはとくにハードだった。
――忙しすぎる毎日、正直どんな心境だった？
「早朝からスタートして、最後の撮影が終わるころには夜も遅くて…気力も体力もすり減っていましたね。ヘアメイクの時間だけメイクルームにこもったりもして、スタッフに対して『カメラの前ではちゃんと演じるので、ちょっとだけこもらせて、お願い信じて…』という気持ちと、疲れを見せたことで皆に気を遣わせてしまってるかも…という葛藤の日々。撮影を終えて帰宅すると、自然と涙が出てきました」
「当時は、赤文字雑誌がいちばんキラキラしていて、モデルのファッションやライフスタイルに今以上に憧れがもたれていた時代。経験を積む前にその世界に立たせてもらってしまった私には、スピードが早過ぎました。景色が見えない急行列車に飛び乗った感じというか、20歳くらいのときには心も体もついていけなくて。心で生きているというよりも、現場でただ生きている…みたいな。朝起きて現場に行って、メイクをしてもらって撮影をする、この繰り返しで、ただ毎日が過ぎ去っていきました。『茉希ちゃんの笑顔が、すごくかわいい！』って褒められることが増えるにつれ、本当の自分は笑う場所さえもわからなくて迷子になっているんだけどな…嘘をついているみたいだな、と思いはじめて…」
人気モデルになったことで、環境も大きく変化。心の余裕がなくなり、「笑う」ってどんな感覚だったっけ？と、自問していた西山さんが、自分自身とどう向き合い約6年間の専属モデル時代を駆け抜けたのか。 “頑張りすぎ屋”の性格が垣間見られるエピソードはまだまだ続く…。
☆葛藤を経て突っ走った、西山流のモデル道。明日は、仕事に悩み、それでも前進しようと踏ん張った西山さんのその後に迫ります。
