「メンズの2014年は“○○○”一辺倒」MEN’S Prescious編集長インタビュー

女性向けラグジュアリーファッション誌『Precious(プレシャス)』の男性版として発行されている『MEN’S Precious』。40代を中心とした、大人のこだわりある男性への訴求力に定評があるこの雑誌。2014年の手ごたえ、そして2015年はメンズファッション業界にどう打って出るのかを、編集長の鈴木 深さんにインタビューしました。

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Woman Insight編集部(以下、WI) 2014年のメンズファッション業界の流れについて教えてください。

鈴木編集長(以下、鈴木) イタリアの「ピッティ・ウォモ」という見本市がここ数年メンズファッションのトレンドを引っ張っていて、全体的にはとにかくクラシカル一辺倒。英国貴族やイタリア貴族的なものが大流行でしたね。MEN’S Presciousの読者の基本は「ジェントルマンスタイル」なので、その「ピッティ」のトレンド……チェックのジャケットや細身のパンツといったものは大好物。だから、みんな本当にイタリアンクラシコな感じでしたね。

WI  Mercedes-Benz Fashion Week TOKYOの今年のイベントの一環で行われた「Tweed Run Tokyo」でも、クラシカルなツイード姿の英国紳士スタイルの集団が自転車で街を走り回ったとか。それくらいの大トレンドだったんですね。

鈴木 そうですね。でもみんながトレンドに流されて、上から下までまったく同じ格好をしているのもダサいっていう風潮も出てきています。例えばラウンドトゥのコロンとしたつま先の靴が流行っているけれど、みんながみんなそれを履いているのは、ちょっと恥ずかしい。ロングノーズ(先が細くて尖ったつま先)が好きな人はずっとロングノーズを履けばいいし、ラウンドトゥが好きな人はずっとラウンドトゥを履けばいい。ただ、以前みたいに、「今はロングノーズですよ」とか「今はラウンドトゥですよ」っていう風に、トレンドに乗って目移りするのはちょっと違ってきています。自分の好みをきちんと持って貫いている人がカッコイイという考え方が、市民権を得てきたんですね。特にMEN’S Presciousの読者は大人なので、トレンドは押さえつつも自分流の好みをはっきりさせてきていますね。

WI そうなんですね! MEN’S Presciousは様式美に沿っていくのを良しとしているのかと思っていました。

鈴木 確かに2013年までのMEN’S Presciousは、ずっとイタリアンクラシコのテイストで引っ張ってきていたんです。でも近ごろは、クラシカルがトレンドであった一方で、実はディオールやサンローラン、ヴァレンティノといった、ハイブランドも元気。そういったハイモードのブランドも、2014年はガンガン入れてみました。「ジェントルマンスタイル」さえ意識していれば、モードなブランド、例えばサンローランやディオールやジバンシィを着ていたって、エッジィになりすぎず、落ち着いた大人のテイストはつくれる!という提案をしたんです。

WI 読者の方の反応はどうでしたか?

鈴木 変えることで去っていく人もいるかなと思っていたんですけど、それはまるでなかったです。そして、広告がすごく増えました。今までのクライアントに加え、モードブランドからの出稿が増えましたね。

トレンドに流されない=着こなしのルールを守ることになりがちな大人のメンズファッションに、「トレンドには流されず、好きなものを貫こう」という提案、そして「好きなものは幅広い中から選んでいい」という気付きのきっかけとして、取り扱うブランドを増やした2014年のMEN’S Prescious。具体的にどういった特集に落とし込んだのかを、次の回で聞いていきます。(安念美和子)

【編集長インタビューシリーズ】

※CanCam編集長が語る、2014年に出現した”プチバブル世代”。その正体とは!?

※AneCan編集長が語る2014年ファッションの変化「先取ることの難しさ」とは!?

※NO.1美容誌『美的』編集長が語る、読者が求める”大人の色っぽさ”とは

※『和樂』編集長が的中させた2014年の大ブーム「○○文化」とは!?

 

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