「CanCamっぽくないってずっと言われていました」【高橋メアリージュン×押切もえ対談・前編】

(右)押切もえさん (左)高橋メアリージュンさん (C)CanCam.jp

女優として活躍する高橋メアリージュンさん。『闇金ウシジマくん』の犀原役や『コウノドリ』での産後うつの妻など、深く印象に残る役を多数演じています。そんな彼女が、著書『Difficult?Yes. Impossible? …No. わたしの「不幸」がひとつ欠けたとして』を発刊。子宮頸がん、潰瘍性大腸炎、家族と借金など、さまざまな苦難を乗り越えた彼女の力強いメッセージは、同世代の女性をはじめ、多くの人の心をつかみ、3月には重版するなど話題となっています。

実は『CanCam』OGモデルでもある高橋さんと、おなじく『CanCam』OGモデルであり、先日めでたく出産されたばかりの押切もえさんとの対談が実現。押切もえさんからみた高橋さんの意外な素顔、著書に込められた想いなどをお聞きしました。

 

「撮影現場で迷ってたら、もえちゃんが助けてくれた」(高橋メアリージュン)


高橋メアリージュンさん (C)CanCam.jp

CanCam編集部(以下、CanCam) おふたりはお会いになるのは、久しぶりですよね? 緊張されますか?

押切もえ(以下、もえ) こうやって改めてCanCam時代の人に会うと、やっぱり照れますね(笑)。

高橋メアリージュン(以下、メアリー) 私にとってはもう、憧れの先輩ですから。

もえ いやいや(照)…!

CanCam 実際にそのお話を、発刊された著書で書かれてますよね。もえさん、その部分読まれて、いかがでしたか?

もえ その時のことはもちろん覚えてるけど、全然知らなかったです。こんなふうに思ってくれていたんだ!って、新鮮な驚きでした。

メアリー CanCamの撮影現場で初めて会ったのが、もえちゃんだったんですよ。

もえ それも本を読んで初めて知りました(笑)。撮影のときって編集部に集合することもあるんですけど、編集部の入り口がわかりにくいんだよね。

メアリー そうなんです。どのビルかも、何階にあるかもわからなくて、迷っているときにもえさんが助けてくれたのは、今でもいい思い出です。

 

「今のメアリーもすごいけど、あの頃からすごかった」(押切もえ)


押切もえさん (C)CanCam.jp

CanCam 今日始まる前に、もえさんと「今のメアリーもすごいけど、でもメアリーって、CanCamにいた頃からずっとすごかったよね」っていうお話をしていたんです。

メアリー えええ。

もえ 最後に一緒になった現場は『Canコレ』っていう、CanCamとAneCanが主催のファッションショーだったんですけど、その時にダンスがあったんです。そのダンスがとびきりうまいっていうのはもちろんなんだけど、真面目さ、一生懸命さがやっぱりずば抜けていて。「モデルとして服もきちんと見せつつダンスも全力でする」という新しい試みの中で、誰よりもベストを尽くしているという印象がずっとありました。

メアリー いやいや…。あのときは、本当みんなで練習しましたよね。

もえ その一方で、ファッション撮影のときって、どちらかというと、ちょっと人に譲ってしまうところもあったよね?

メアリー まさに。その通りです。

もえ すごくやる気もあるし見せてるのに、いざ誰かと組んで撮影するっていうときに「どうぞ」っていうか、譲っちゃう部分、当時ありましたよね。

メアリー はい。

もえ 本を読ませていただくなかで、長女で、人見知りだって書いてあって、すごく頷いちゃいました。いつでも、すごく周りの空気を大事にしていたのを思い出して。若くて勢いもあるのに、本当にいい子だった。

メアリー もえちゃんとは、当時「カッコいい系OL」でよくご一緒させていただいて。(現編集長で当時現場のトップだった)編集部の塩谷さんから、「もえからいっぱい盗みな」って言われていました。言葉でというより、背中でかっこよさを教えてくれました。

もえ 今思い返して、当時ちょっとつらかったこととか、実は苦しかったことはありますか?

メアリー 真冬にキャミソールを着て撮影するのとかは、けっこう寒かったですよね(笑)。今みたいに(防寒用の)ロケジャンとかジェットヒーターもなかったし。あとは、「CanCamっぽくない」とはずっと言われていましたね。当時のCanCamにはハーフのモデルっていなかったんです。だから、「媒体に合ってない」みたいなことは外からもよく言われていました。でもちょうどそのころ発売されたもえちゃんの『モデル失格』を読んだんですよ。あのかっこいいもえちゃんも悩んだりしていたんだ!っていうのは、すごく救いになりました。

もえ 読んでくれてたんだよね。それを聞いて、すごく嬉しかったです。

 

「女優の仕事は初日がすごく怖い」(高橋メアリージュン)


高橋メアリージュンさん (C)CanCam.jp

CanCam 今回の本を出すにあたって、ちょうどその頃を振り返ることもあったかと思うのですが、あの頃と比べて「自分って変わったな」と思うことはありますか?

メアリー あの時は先輩を追うっていう感覚。卒業くらいのタイミングでは後輩というか、自分より後に入ったモデルさんも多くなっていたけれど、お芝居の道に進んでまた一年生からやり直しで、今はまた先輩ばかりです。

もえ 現場によって全然スタッフさんも違ったり、テーマが変わったり自分が背負うものが違ったり…それを続ける女優さんというお仕事、本当にすごいと思います。

メアリー 映画でもドラマでも、初日がすごく緊張するんです。初めましての方に、初めて自分のお芝居を見せるので、そこで自分の力を試される。それがすごく怖くて、いつも怯えながらお芝居しています。だから、初日が終わって監督や他のスタッフさんに「よかったよ」って言ってもらえると、本当にホッとします。

もえ 著書の中で、モデルと女優の違いをすごく上手に書いていたのが印象的でしたよね。女優のお仕事は、メアちゃんのいろんな視野が広がって出会うべくして出会ったのかなって。これからはしばらく、女優のお仕事を続けていきたい?

メアリー そうですね。掘り下げるって楽しいです。私、アンジェリーナ・ジョリーが憧れで。いつかアクションを活かして海外進出できたらと思っているので、今はトレーニングに力をいれています。

CanCam  Instargramでアップしているトレーニング、めちゃくちゃかっこいいですよね。

メアリー かっこいいですか? ちょっとストイックすぎて、結構笑われているみたいですが(笑)。

もえ 女優さんとしてお仕事がずっと続いているのが、本当にすごいよね。

メアリー いやいや、いつも滑り込みセーフです(笑)。これが終わったら何も無いなって思ってたら、急に決まる、ということのほうがまだまだ多いです。

もえ オファーって、どんな風に決まるの? 「メアリーがいい」って作品を観てくれてた人が言ったり、一緒にやってた人が「もう一回やりたい」って言ってくれたり?

メアリー はい。ありがたいことに、どちらもあります。

押切 それは、じゃあ本当にメアちゃんの力だよね。

 

思い出話は尽きませんが、次はいよいよ話題のメアリージュンさんの著書について。後編は4月18日(水)公開です!

 

『Difficult? Yes. Impossible? …NO.
わたしの「不幸」がひとつ欠けたとして』
著者/高橋メアリージュン 1400円+税(KKベストセラーズ)

 

中学時代に突如として訪れた父親の倒産。
闇金から借金の催促でおびえ、今でも返済を続ける日々。
前触れもなく起きた難病「潰瘍性大腸炎」そして、「子宮頸がん」。人から見たら「不幸」に見える人生に対し、彼女は「まったく不幸だと思わない」と言い切る。それはなぜなのか――?
30歳の節目に綴る、衝撃の告白と、幸福な未来を生きるためのメッセージ。【著者プロフィール】高橋メアリージュン
1987年11月8日生まれ。滋賀県出身。「横浜・湘南オーディション」でグランプリを獲得し、芸能界デビュー。2006年3月からファッション誌「CanCam」の専属モデルを務める。2012年、NHK連続テレビ小説「純と愛」で女優デビュー。以降、映画、ドラマ、舞台などで活躍の幅を広げる。主な出演作品に映画「闇金ウシジマくん」、「るろうに剣心」などがある。また、2013年に難病・潰瘍性大腸炎を患っていることを公表。本書で子宮頸がんに罹患していたことを告白。
撮影/田中麻以