【実録】「試しに全員とマッチングしたら、彼氏ができました」コロナ禍に彼氏ができた人がやったこと

どんどんあたたかくなってきて、ちょっとお出かけしたり、恋をしたくなる季節。でもやっぱりコロナ禍の状況はまだまだ安定していなくてまだ外出しづらいし、新しい出会いもなかなか機会がない。
そんな方のために、今回は「コロナ禍で、実際に彼氏ができた人」にインタビュー。
お話をうかがったのは、マッチングアプリ情報総合メディア「マッチングアプリなび」で編集長を務める柏木りさこさん。これまでに200以上のマッチングアプリやサイトを利用し、150人以上と出会ってきた彼女は、2020年の12月にTinderを通じて彼ができたとのこと。
マッチングアプリを知り尽くした柏木さんは「コロナ禍じゃなかったら、今の彼はできなかったかもしれない」と語ります。いったいなぜそう語るのか、出会いから彼ができるまでの過程を、根掘り葉掘りご紹介します。

◆一度、試しに全員とマッチングしてみた

正直、今の彼は「そこまで興味ないな」というところから始まりました(笑)。
使ったアプリはTinder。もともとは、日々たくさんのいいねが来る中から、アプリを使ってきた中でできた自分なりの基準をもとに、かなり選んでいいね返しをしてマッチングする派でした。たとえば「顔写真はなくてもいいけど、拾い画じゃなさそうか」「水商売の男性が得意ではないので、その雰囲気はないか」「経営者は合わない人が多すぎたのでやめておく」「今すぐ会いたいと書いている人は体目当てが多いので避ける」などなど。
でも「一度、試しに全員にいいねを返してみよう」と思い立ったんです。彼もその「全員いいねしようキャンペーン」の中にいたひとり。返信がいつも早くて、職業が書かれていなかったので「この人、何してるんだろう?」と思っていました(笑)。
ヘア&メイクのお仕事をしていると知ったのはずいぶん後。2〜3回目に会ったときです。

◆ある日、突然の電話から始まった

今もひとり暮らしで猫を飼っているくらい、大の猫好きな私。プロフィールにも猫の写真を載せているので、やっぱり犬や猫の話をメッセージで送ってくる人が多いんです。
今の彼も「インスタで人気のワンちゃんに会いました」というメッセージを送ってきて、「私を釣りたいだけなんだろうな〜」と思ったので適当に返して(笑)。そんな風に何度かメッセージを重ねているうちに、Tinderのやりとりではなく、LINEに移行しました。
私はLINEになると返事が遅くなってしまうタイプなので、1週間に1回くらいのペースでメッセージをしていたら、ふと「電話していいですか?」と連絡が来て。私はそれを聞いてくる人が好きではなく「そんなこと聞いてこないで電話すればいいじゃん」と思ってしまうタイプなので(笑)、スルーしていたら、12月1日に突然電話が来たんです。
その突然の電話がなければ、絶対に今はない…それがターニングポイントでしたね。

いざ電話をしたら、初回から1時間半盛り上がって。動物の話をする中で、彼は保護施設に入りきらない、捨てられた動物たちの里親さんが見つかるまで家で預かるボランティアをしていると話してくれて「私の気を引くために動物の話をしているんじゃなくて、本当に好きなんだ」と気づいて、深い部分まで知ることができました。
でも、あとは本当になんでもない話で、唐揚げの話などをしていました(笑)。彼は唐揚げがすごく好きだけど、私は小麦アレルギーなのでなかなか外食では唐揚げが食べられないという話から「じゃあ作ってよ」という流れになり、だいたい料理を作ってほしい話は家に上がりたいだけのことが多いので断ったら「それなら小麦を使っていないお店を探しに行こう」と言われて、それなら体目当てだけじゃないかもしれない、と感じてホッとしました。

実は私は、本当は電話が大の苦手。特に会ったことがない人と電話をするのは、あんまり面白くないことも多いし、必要以上に時間が拘束されてしまうのが得意ではありません。
でも、コロナ禍だからあまりやることもなく、いつもより時間があったので「今なら電話してもいいかな」と思いました。もしコロナ前だったら、そもそも知らない人と1時間半も電話をしていないと思います(笑)。

◆会ってからコミュニケーションの優先度が上がった

その電話で、来週お昼でもどうですかという話になって、12月8日にお蕎麦を食べに行って。まず時間帯がランチなのも気楽で良かったですね。
でも、私はランチだけ行ったら帰る気満々だったんですが、ランチの後に「何する〜?」と聞かれて、あれ?と(笑)。結局、私も彼も九州出身なのですが、ちょうど池袋で福岡の物産展をやっていて「梅ヶ枝餅買いにいかない?」とノリと勢いで買い物に行きました(笑)。でも彼も全員にそれをやっているわけではなくて、他の子とデートに行っても2時間で帰ることが多かったらしいので、何か楽しいと思ってくれたんでしょうね。

その日を境に、彼とのコミュニケーションの優先度が上がりました。

それからは、一度夜ご飯を挟んで、彼が家で里親を探しているワンちゃんを預かっているから、散歩ついでに一緒にどこかに行こうと、ただ代々木公園に散歩に行ったり、ワンちゃんを連れて魚釣りに行ったり……。「彼に会いたい」よりも「ワンちゃんに会いたい」の気持ちが強かった時期もありますが(笑)、次第に会う回数が増えていきました。私が出張で1週間会えない時期はゲームデートをしてみたり、ずっとなんらかのコミュニケーションはとっていました。

彼が車を持っているのでいちご狩りにも行きましたね。男性はデートの回数を重ねるにつれて家で映画を観るとかおうちデートが増える人が多い傾向にあると思うんですけど、彼は「いろんな経験をしようよ」というタイプ。密な場所に行くのでもなく、家でもないデートを重ねられるというのも良かったです。
でも、今思えば、好きな食べ物の話から「いちごといくらが好き」「赤いね〜。じゃあいちご狩り行きたくない?」という話になって、電話が終わった後にすぐ「ここ美味しかったよ」というリストが来て……流れを作るのがうまいな、と思います(笑)。でも「なんとなく会いましょう」ではなく「いちご狩り行きましょう」と自分が好きなものに誘われると、断る理由がなくなりますよね。

 

◆他に3人会っている人はいたけど、決め手に欠けた。

実は最初に彼に会った12月8日の時点で、他に3人くらい会っている人がいたんですよね(笑)。2〜3週間に1回くらい、それぞれ3回くらいずつ会っていたんですが、今の彼が12月8日を機に急にグッと私の中で優先度が高まったんです。

仮にAさん、Bさん、Cさんとします。
Aさんは、仕事がIT系で人事をしている、同じ業界の人。私も仕事で多少人事に関わることがあり、仕事で悩んでいることを相談できるいい関係ではあったんですが、あまりに仕事がドンピシャで近いと、お兄ちゃんみたいになってしまうんですよね。居心地が悪いわけではないけれど、恋愛の一線を越えられない。あとは、向こうが結婚したい欲が強くて、結婚後の話を結構してくるタイプで。そこの温度感の差は感じました。

Bさんは医療系のITの仕事をしている人。いい人なんですけど、3人の中でいちばん印象が薄くて……言い方は良くないですけどキープでした。

Cさんは、サロンを経営している美容師さん。経営者としては素敵な人ですが「俺はモテるんだぞ」アピールがちょこちょこ挟まってきて、たとえば「これまでマッチングアプリで何人か会ってきたけど、正直そのままホテルまで全然行けるんだよね」といったことを普通に話すような人(笑)。美容師なので口が上手くて会話が盛り上がってすごくモテそうな中で「でも君は違うんだよ」と言ってくるのが……ちょっと私が求めている男性像とは違うなと(笑)。おしゃれだし年上だし、遊び慣れているから女の子の扱いも知っているんですけど、でも違う。あとはたくさんお酒を飲ませてこようとするところも引っかかる。私自身お酒は強いんですけど、でも飲むなら自分の意志で飲みたいんです。
そういったちょこちょこ気になる点はありつつも「でもいい人だよな〜」と、ずるずるキープしていた状態です。一緒にご飯行って楽しいデートはできる。でもそれだけ。

この3人は、メッセージをまったくしないという共通点もありました。私自身もたくさんメッセージのやりとりをしたいタイプではないけれど、結局付き合う人って、いつもLINEなどのメッセージを重ねているうちに仲良くなる確率が高いんです。それがなかったので、なかなか距離が縮まらなかったのもあるかもしれません。

◆恋愛の一線を越える人と越えない人、何が違う?

今のヘア&メイクの彼と、この美容師さんが何が違うんだろうと考えると、美容師の人はとにかく「異性としてのアピール」がすごかったのが引っかかったんだと思います。一方で今の彼は、友達の延長のような存在で、一緒にいるのがラクで楽しくて、会話もラフ。女として口説かれたことはないけれど、いちご狩りに行ったときに崖のようなところを登ったときはさっと手を差し伸べてくれたり…。私のことを女の子として扱うタイミングも少しだけあるけれど、普段はそうでもない。長く一緒にいる上では、私はあからさまに女性として扱われるよりも、そっちのほうが好きなんだと思います。

あとはやっぱり、連絡の頻度と会う頻度。
今の彼と付き合って1か月経っても、毎日連絡が来るんです。経験を共有したいタイプみたいで、私が返事をしなくても特に何も言わず、ただただ今日はこんなことがあったという写真を送ってくるんです。それで相手のことを深く知れて、プライベートの話がたくさんできるようになったのも大きいですね。

◆付き合った決め手は何?

結局のところ「話していてラク」だということ。お互いに九州出身で、動物とかごはんとかの趣味が合う。そして私も彼も、プライベートではのんびりしている。
これまでの私は「仕事に対する価値観」をかなり重視していて、ゴリゴリ仕事している人が好きでした。重視しているからこそ、さっきお話した3人も仕事の話をたくさん振ってくれて。もちろんそれもイヤじゃなかったんですけど、年齢的にも結婚してずっと一緒にいることを考えると、お互いにいろんな仕事を経験したら価値観がずれてしまうかもしれない。でも今の彼は、まず業種が違いすぎてお互いのしていることがよくわからないんですけど(笑)、「やりたいことやろうよ」「今のまんまでいいよ〜」と、私に何か強要も否定もしない。自分自身の仕事の愚痴も言わないし、自由気ままにやりつつ楽しんでいる。今まで理想としていた像とは違いますが、むしろ理想像は重視しなくていいなと、かなり吹っ飛んだんです(笑)。向こうは9歳上なので、きっと私は子どもどころか猫だと思われているかもしれません(笑)。

ストレスなく、ナチュラルに一緒にいて楽しいんです。一時期岩盤浴とマッサージに週に1回ずつ一緒にいくデートが流行っていました(笑)。すっぴんになるのは嫌だと言っているんですが、全然聞いてくれません(笑)。でも、彼はヘアメイクの仕事をしているので、岩盤浴をしながら美容の話をするのはすごく楽しい。なかなかないことだな、と思います。

◆コロナ禍じゃなかったら、もしかしたら今の彼じゃなかったかもしれない

本当にタイミングがすごく良かったんだと思います。
コロナ禍じゃなければ、全員とマッチングしてみようとも、電話してみようとも思わなかった。偶然に偶然が重なった彼です。
いつもだったら見た目や年収でマッチングしていなかった人も、案外内面でマッチングすることはいくらでもある。本当にそう思います。

 

「いつもだったら、しなかったこと」が重なってできた彼。ついつい「こうでなければ」と考えが凝り固まってしまいますが、一度思い込みの壁を取り払ってみたら…もしかしたら、違う世界が見えるかもしれません。

次回以降は柏木さんのマッチングアプリにまつわる知見をたっぷりとうかがいます。お楽しみに!

取材協力/マッチングアプリなび 構成/後藤香織