最近何かと話題になることが多い「ジェンダーギャップ」の問題。さまざまな制度が整えられ、女性の社会進出が当たり前になったように表面的に見えていても、問題は根深く、まだまだ改善すべきことは数えきれないほどあります。
世界経済フォーラムが3月30日に発表した、各国の「ジェンダーギャップ指数」(※各国の社会進出における男女格差を測る指標)においても、日本は120位と、先進国の中ではもっとも低い順位。
このような状況の中で、株式会社Insight Techは、女性たちの経済的・精神的自立に向けた長期的支援を目的としたソーシャルビジネスを展開する株式会社SHeStandsと共同で、日頃の不安や悩みについての調査を実施しました。20〜40代の男女4535名を対象に行った「日常の悩みとジェンダーギャップの関連性調査」の結果をご紹介します。
◆男女の悩みは違う方向に向かっている
日頃の不安や悩みを見ると、女性のほうがより多くの項目で不安や悩みを抱える傾向が顕著です。特に「家事の負担」や「育児や子育て」などは、圧倒的に女性のほうが多いスコアに。また、共働き世帯では「仕事と家庭の両立」で男女差が拡大している状況が見られ、男性の関与や協力意識がまだまだ低い傾向にあることが垣間見えます。
◆「男性がうらやましい」女性、約9割
「異性をうらやましいと感じたことがあるか」と問うと、女性の約9割が「異性(男性)がうらやましい」と感じることがあると回答しているのに対し、男性は約6割。さらにジェンダーギャップ(性別による待遇や立場の違い)に起因する不安や悩みを抱える人も女性は約8割もいる一方で、男性は55%。多くの女性が「男性が有利になる状況」が多いと感じており、不安や悩みを助長している傾向に。
また、結婚や出産・育児・子育てなどの事情で「キャリア形成を断念したことがあるor断念する可能性がある」人も、いずれも女性のほうが2割程度多い結果が出ています。
◆「女性が活躍社会づくり」…って、ホント?
「女性が活躍できる社会づくり(働きやすい環境づくり)」がどのくらい進んでいるかという実感があるかの実感は、男性で半数程度、女性で3割未満と、全体的に低いが、女性のほうがさらに低い結果に。一見制度が少しずつ整ってきているように見えても、実際に使う女性陣にはまだ実感が伴っていないようです。
◆必要なものは「マインドの変革」
では「女性が活躍できる社会づくり」に対する期待や要望にはどのようなものがあるのか、寄せられたフリーアンサーを文章解析AI「アイタスクラウド」で解析した結果、「託児所や保育園を増やす」などのハード面、「時短勤務や育休取得の推進」などのソフト面の充実だけではなく「日頃の家事や育児へ協力してほしい」「古い風潮を見直してほしい」など、マインド面の変革を求める声が多く寄せられました。
◆今後、どうなっていけばいい?
ジェンダーギャップ指数2021や今回のアンケートの結果を見る限り、日本ではまだ根深いジェンダーギャップが存在していて、女性の社会的な活躍やキャリア形成の推進が妨げられる原因となっています。
政府や自治体がハード(保育施設などのインフラ拡充)や、ソフト(女性活躍推進法などの法律や職場ルール)の整備を進めるだけではまだまだ不十分で、潜在的に抱いている「男女の役割に対する固定観念や、女性に対する差別的な評価や扱い方」を払拭するマインドの変革を促していくことがジェンダーギャップの解消には重要です。
さらに、日本では自分の不安や悩みの相談にカウンセリングや専門家のアドバイスを利用している人がほとんどいないため、悩みをひとりで抱え込んでしまう傾向にあります。女性特有のメンタルケアや仕事にまつわる不安を解消に導くような支援サービスを受けやすい風潮を作り、心理的バリアを解消していくことも解決に向かう方法のひとつなのではないでしょうか。
政府や自治体・会社が整備・制定する施設やルールももちろん重要ですが、ひとりひとりの意識改革を行っていくことで、きっともっと全員が生きやすい世界になっていくはずです。
▼一方SHeStandsは、女性のライフプランやキャリアにまつわる相談や悩みに寄り添い、毎日を前向きに生き、豊かな生活をクリエイトする手助けをすることで、社会の好循環の促進に努めていきたいとのこと。