「そういえばなんで爪の先は白いの?」「心と体の状態を反映するって本当?」 爪の専門家に聞いてみた

日常生活でも目に入ることの多い爪。普段何気なく見ているけれど、よく考えてみると爪って不思議だと思いませんか? なぜピンクの部分と白い部分があるのか、爪にはタンパク質が必要だというけれど、それは本当なのかなどなど…。意外と不思議が詰まっている部位なのではないしょうか。

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そこで今回は、「爪にまつわる素朴なギモン」について、育爪(いくづめ)サロン「ラメリック」の代表で、これまで1万人を超える女性たちの爪を美しくしてきた嶋田美津惠さんにお話をうかがいました。

■まず、育爪って何?

育爪とは、すっぴんの爪を育ててキレイにしていくこと。みなさんは、ご自分の爪は好きですか? 好きという人もいれば、もう少し長ければ…と思っている方や、この深爪を直したい! と思っている方もいるはず。「生まれつきだから変えられない」と考えがちな爪の形ですが、実は正しくケアをすることで変えることができるんです!
詳しい育爪の方法については、こちらの記事をご覧ください。

                                     
■なぜ爪の先は白いの?

本来爪は透明ですが、爪の先は乾燥しているため白く見えます。
皮膚に接触している部分の爪は、爪の下の皮膚から水分が供給されているため、半透明になっていてピンク色に見えますが、爪の先は皮膚から水分が供給されていないため、乾燥していて白く見えます。
そのため「爪の先が白い」というのは当たり前と言えば当たり前。しかし、オイルで保湿をして乾燥を防げば、透明にすることができるのも事実です。オイルは水分より蒸発(気化)しにくいため、保湿が長続きするからです。

「クリアネイル」という言葉を聞いたことはありますか? 「クリアネイル」とは、白い部分がなく先端まで透明な爪を指します。
嶋田さんによると「オイルを1日に7回以上塗って保湿をすると、白い部分がだんだん透明に変わっていき、それぞれの爪の状態にもよりますが、早い人では1か月半ほどでクリアネイルにすることができます」とのこと。毎日の積み重ねで美しい爪を得られるなんて嬉しいですよね。さらに爪を美しくするコツは、オイルを塗るときに爪をもむこと。それを1日7回行っていると自然と指先の血行が良くなることにより、爪のピンク部分の色が濃くなって、ピンク部分は桜色に、白い部分はクリアな美しいすっぴん爪にすることができます。

■ピンクの部分に白い点が出るのはなぜ?

爪のピンクの部分にできる、模様のようにも見える白い点は、一般的には外的な衝撃が原因と言われています。
嶋田さんによると「かつて1枚の爪に白い点がいくつもあり、それが4本以上の爪にできていたお客様がいました。それが、薄皮のお手入れをしていったところ、1年ほどですべてなくなりました」というケースもあるとのこと。このように、1本の爪に白い点がいくつも継続してできている場合は、細かく振動するプッシャーマシーンで薄皮のお手入れをしているネイルサロンへ数か月ほど通い、薄皮のお手入れをしてみることがおすすめ。プッシャーマシーンの振動が指先の血行を促進して、健康的な爪が生えてくる傾向があるそうです。

ちなみに「甘皮」は爪と、爪のつけ根の皮膚との境目にあるワクのようなもので、薄皮は爪と甘皮の間にある薄い膜のこと。「薄皮」は爪の表面にへばりついています。
おうちでは、お湯でふやかした後に薄皮をコットンで拭き取る程度のケアであれば行っても大丈夫ですが、甘皮はいじらないほうが無難。甘皮を押し上げたりカットしてしまうと、雑菌が入って腫れてしまうこともあります。

■睡眠や食事は爪の美しさに関係するの?

体が疲れていたり、睡眠不足だったりすると、爪にも影響が出ます。「絶対に〇時間以上寝ないといけない」という基準はないですが、前日の疲れが残らないようによく眠ることが重要です。

食事については、嶋田さんは次のように話します。

「いろいろな食べ物の好みを持つお客様の爪を1万人以上見てきた経験から『これを食べたら美しい爪になる、という食べ物は特にない』と思っています。自分の体に合っているという感覚があれば、どんな食べ物を食べていても基本的には大丈夫です。
私自身、化学物質過敏症の影響で、医師から『タンパク質を消化することによる内臓への負担が大きいため、一度摂るのを控えてください』と言われ、肉・魚介類・卵・乳製品を摂らない完全菜食(ヴィーガン)の時期が2〜3年ほどありましたが、爪は丈夫でキレイでした。
ただ、注意すべきことが2点あります。

1.一般的な食事を摂ること

食事の代わりにダイエット食品だけを摂っていた方や、三食のうちの一食にお菓子だけを食べていた方がいました。そういった方たちの中には、爪の質がもろくなり、折れやすくなっていた方もいましたが、普通の食事を摂るようにしたところ、もとの健康な爪に戻っていきました。

2.必要最低限以上のカロリー

栄養素や食べ物の種類という意味ではなく、絶対的な摂取カロリーが足りていない場合は、爪が生えてこなくなる場合があります。摂取した栄養は、まず生命維持に欠かせない内蔵などへ優先的に供給され、その後に余った分を生命維持への関与が低い爪や髪に供給します。このため、摂取カロリーが足りていないと、爪に栄養が供給されず、爪が生えてこなくなる場合があります」

■爪は心と体の状態を反映する…という説がありますが、なぜですか?

嶋田さんの書籍の中でも語られているこちらの説を、改めてうかがいました。

「生命維持に欠かせない内臓に問題があると、まずそこで栄養が使われるため、爪や髪にまで栄養が行き届かず。爪や髪がボロボロになってしまう場合があります。このため、爪が健康的でキレイならば、体の末端にまで栄養が行き届いていると言えます。そのため、爪は体の健康状態を判断するひとつの目安になります。

また、爪のお手入れは心に余裕がないと後回しになる傾向にあります。ストレスがあると、爪まで気がまわらず、乾燥しすぎていたり、ヒビ割れていたりギザギザしたままになっていたりしがちです。一方で、ストレスがあるときにこそ、『爪のお手入れをするとストレスがなくなって、心に余裕が生まれる』ということも事実です。忙しくて爪のケアをする時間なんてないと思っていても、目につくところにオイルを置いて、気がついたときに塗る…ということを繰り返していると、自分のことを大切にしているという感覚がわいてきます。そして、自分のことを大切にしている自分のことが、だんだんと好きになっていきます。自分のことが好きになると、爪以外のことでも自分を大切にするようになります。
これらの理由から、爪は心と体の状態を反映すると感じています」

とのこと。
「育爪」は爪を美しくするのはもちろん、心や爪以外のことにまで良い影響を与えられるなんて、実践してみたいですよね。

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普段から健康的な生活を心がければ、体だけではなく爪にも嬉しい効果が。十分な睡眠時間や自分に合った食生活を探りながら育爪をして、2021年は「いつ見ても美しい爪」を目指していきましょう♡

▼育爪について詳しくはこちらもチェック
『女は爪で美人になる』


嶋田美津惠 著
1500円+税(SB Creative)

▼お話を伺ったのは…

嶋田美津惠さん
育爪スタイリスト。育爪サロン「ラメリック」代表。
素の爪を育てる「育爪サロン」を大阪と東京で2店舗経営し、2021年で開業から29年目を迎える。爪を飾る必要すら感じないほど美しくなり、かつ維持するのもラクとリピーターが殺到し、自由が丘店の土日の新規客は2年待ちの状態。これまでに施術してきた人数は1万人を優に超える。著書に『育爪のススメ』(マガジンハウス)、『女は爪で美人になる』(SB Creative)。

育爪サロン「ラメリック」公式サイト https://ikuzume.jp/

構成/平田真碧