むしろ評価が上がる!知っておきたい「上司からの上手な叱られ方」
「自分の評価を上げたい」というのは、キャリア志向の人なら持っている気持ち。その分、上司から叱られたときには、ショックも大きいのではないでしょうか。今回はソフトバンクで2万人の社員教育に関わった「新人育成のプロ」である島村公俊さんに、キャリア志向の30代前後の中堅女性に向けて、上司から叱られたときのうまい対処法を伺いました。
■叱られたときに使える「10秒質問」
これから島村さんに、上司から叱られたときの対策を教えていただきます。その際にあわせて使いたいのは、自分自身に問いかける「10秒質問」。
「10秒質問」とは、島村さんが新人育成で活用しているトレーニング手法のひとつ。上司が10秒質問を新人に投げかけることで、やがて新人は自らこの10秒質問を自分に問いかけるようになり、成長していくというものです。
今回、教わる対策を実践するとともに、各10秒質問を自分自身に問いかけることで、自分自身をより良い方向へと成長させていけます。
■こんなときはどうすれば評価が上がる?上司に叱られたときの「10秒質問」と対策
1.叱られた瞬間に自分の評価を上げるためのリアクションは?
上司から叱られたときでさえ、自分の評価を上げたい。そう思う場合、どんなリアクションをすればいいのでしょうか。
●こんなとき、自分に問いかける10秒質問
「相手の気持ちに配慮すると、お互い感情的にならないかも?」
叱られたときに上司に評価してもらうためには、『成果を出すまで諦めないやつだな』、『粘り強いやつだな』と思ってもらうことが大切です。つまり、一度叱ったくらいで凹んでしまうような姿勢はNG。なぜなら、上司は言いたいことを何度でも部下に言えたほうが、より早く成果に近づくことを知っているからです。そこで、上司が言いたいことを引き続き言えるように、次のようなフレーズがおすすめです。
「言いづらいことを言っていただきありがとうございます。すぐに〇〇を改善します。」
「言ってくださらないと気がつかないことも多いので、引き続きアドバイスお願いします。」
2.叱られた後に評価を上げる行動は?
では、叱られた後、どんな行動をとれば、評価が上がるものなのでしょうか。
●こんなとき、自分に問いかける10秒質問
「叱られたときこそ、今この場で強く伝えるべきことってなんだろう?」
上司は、常に成果を上げることを意識しています。その上で、以下の3点がとても大切です。
1.今日中にできることを示し、すぐに改善行動に移す
2.いつまでに改善するのかの期日を明確に示す
3.再発の防止策をあわせて示す
注意したいのは、叱られたからといって、卑屈にならないこと。前向きに状況を変えていくという強い姿勢を見せることが大切です。
3.日頃の仕事において上司の評価を上げるコツは?
叱られたのをきっかけに、日頃の仕事に取り組むときにも、ぜひ上司の評価を上げたいですよね。そのコツをふたつ教えていただきました。
(1)何度も深く考えてよりよいものを作ることを意識する
●こんなとき、自分に問いかける10秒質問
「あともう1回考えたら、相手はどう思うだろう?」
あまり深く考えずに安易に行動してしまうときというのは、ミスが出やすくなるので注意が必要です。ですから、何事も1回考えて終わりではなく、何度も深く考えてよりよいものを作ることを意識していくことで、評価を取り戻していくことができます。
(2)提案時には相手の立場に立つことを意識する
●こんなとき、自分に問いかける10秒質問
「この提案は、本当に相手が求めていることなのかな?」
自分のやりたいことやチームとしてやりたいことばかり提案すると、相手の立場に立っていないと上司から叱られる可能性が高まります。ですから、例えばお客様が何を期待し、何に悩んでいるのかを知り、それを反映したものにすることで、よい提案だと評価されるようになるでしょう。
4.必要以上に怒るタイプの上司への対処法を教えて!
ところで、上司の中には、必要以上に怒るタイプの人もいますよね。そんな上司にはどう対処すればいいのでしょうか?
●こんなとき、自分に問いかける10秒質問
「必要以上に怒る上司に、私は取り乱されて本当にいいの?」
このようなケースの場合は、こちらが感情で取り乱さないようにすることが大切です。そのためには、次のようなことを考えながら、相手を冷静に眺める訓練が必要です。“この人、自分の感情をコントロールできない、かわいそうな人なんだな~”という感じでその上司を眺めます。そんな部下の様子に気づいた上司は、なんとなく自分の弱いところを見透かされているような気がするという感覚がして、冷静さを取り戻し、怒りの気持ちが落ち着いてくるのです。
上司から叱られたときこそ、自分の評価を上げるチャンス。叱られたのをきっかけに、できることをやり尽くせば、よりデキる自分、成果を出せる自分になることができそうです。(西村朝子)
講師ビジョン株式会社代表取締役
2015年までソフトバンク人材開発部に所属し、2万人を超える社員の内製研修をリードする。最高の講師の称号「匠」を獲得する。その後、独立起業し、現在は、OJT(メンター)研修や社内講師トレーニング等を提供する会社を経営。著書に『10秒で新人を伸ばす質問術』(東洋経済新報社)がある。
https://koushi-vision.co.jp/